- 危険ドラッグで無罪はあるのだろうか
- 危険ドラッグで無罪のために弁護士は何をしてくれるのだろう
- 無罪を勝ち取るポイントを知りたい
危険ドラッグで無罪を勝ち取るために何をすればよいかを調べている方もいらっしゃるかもしれません。危険ドラッグの所持・使用・譲渡などは基本的に有罪となりすが、条件によっては無罪となる可能性もあります。
そこで今回は、危険ドラッグに詳しい弁護士が、危険ドラッグとはそもそも何かや、危険ドラッグ事件で無罪を勝ち取るために弁護士がしてくれることを解説します。
危険ドラッグで無罪となるのか
まずは、危険ドラッグで無罪となるのかについて、危険ドラッグに関する知識を含めて以下を説明していきます。
- 危険ドラッグ
- 危険ドラッグの症状
- 無罪の可能性
それぞれ解説していきます。
危険ドラッグとは
まずは危険ドラッグとは何かについて説明していきます。
危険ドラッグとは、乾燥させた植物の葉などに大麻や覚醒剤などに類似した化学物質を混ぜた薬物です。これらは体内摂取で規制薬物と同じような有害性があると言われています。
危険ドラッグは元々脱法ドラッグと呼ばれていましたが、危険であることを明確にするために、2014年に危険ドラッグという名称に変更されました。今も「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」という名前で販売されることもあります。
危険ドラッグは医薬品医療機器法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で禁止されている指定薬物が含まれていることがあり、非常に危険なドラッグです。
危険ドラッグの症状
次に、危険ドラッグで現れる症状について説明します。
含まれている指定薬物の成分によって異なるものの、共通して現れる危険ドラッグの症状としては、以下があります。
- 激しい倦怠感
- 幻聴・幻覚
- 集中力の低下
- 極度の興奮に襲われる
- 体が痙攣する
- 吐き気・嘔吐
- 摂取する前後の意識障害
危険ドラッグは、一度の使用でも激しい禁断症状に襲われることもあります。成分の組み合わせによっては摂取すること自体が命に関わる場合もあるため、危険ドラッグには一切関わらないことが大切です。
無罪の可能性
ここまで、危険ドラッグの概要と症状について説明しました。最後に、危険ドラッグの無罪の可能性について解説していきます。
危険ドラッグでは、条件によって無罪となる可能性があります。たとえば下記のようなケースでは、無罪の確率が高まります。
- 本人が所持・使用していないのに噂だけで疑われて逮捕された
- 知人に騙されて知らないまま所持していた
- 違法捜査などが行われた
危険ドラッグ自体には直接法的な定義はないものの、指定薬物が含まれているものが多く、大体が医薬品医療機器法違反にあたります。
噂や購入情報だけで被疑者を取り調べ、実際には危険ドラッグが出てこずに使用した形跡も見られない場合がこれにあたります。また確実ではありませんが、所持していた量が極端に少ない場合も、無罪や不起訴処分となることがあります。
危険ドラッグで無罪判決を勝ち取るためにすべきこと
危険ドラッグで無罪判決を勝ち取るためにすべきことについて、以下5点を説明します。
- 自白させられないための取り調べ対策
- 無罪の証拠を集める
- 弁護士への相談
1つずつ解説していきます。
自白させられないための取り調べ対策
1つ目は、自白させられないための取り調べ対策を行うことです。
危険ドラッグに全く関与していなくとも、警察官から取り調べで恫喝され、自白を強要させられる可能性はゼロではありません。本当は無実なのにも関わらず、警察官からの誘導に負けて、少しでも危険ドラッグと知って手を出したかもしれないなどと話してしまえば、有罪となってしまいます。
自分がなぜ疑われることになってしまったのかの経緯を理解した上で、取り調べで何を聞かれる可能性があるのかを考え、警察官からの誘導に負けないための対策が重要です。
無罪の証拠を集める
2つ目は無罪の証拠を集めることです。
犯罪をしたことを証明しなければならないのは捜査機関ですが、無罪であることの心証を検察官や裁判所に得てもらうためには弁護人側も無罪であることを裏付ける証拠を集めることもするべきです。
基本的に証拠がない状態では違法の疑いにとどまるため、不起訴処分となる可能性が高いです。また証拠が出てきた場合でも、違法な捜査によって集められた証拠の場合は証拠と認められません。これは証拠がないのと同じことなので、起訴されても無罪となる可能性があります。
また「違法なものであると知らずに購入した」「危険ドラッグではないと説明を受け、騙されて使用した」などの場合も、無罪あるいは不起訴処分となる可能性があります。物だけでなく証言も証拠のひとつですので、証言してくれる方を探すことも重要です。
弁護士への相談
3つ目は弁護士への相談です。
危険ドラッグ事件で無実を勝ち取りたいなら、薬物事件の実績が豊富な弁護士へ相談することです。弁護士は法律のスペシャリストです。特に危険ドラッグの実績が高い弁護士であれば、どのような対応をすれば依頼者が不利な状況から免れるかを把握しており、親身になってアドバイスをしてくれます。
危険ドラッグ事件に関わってしまったら、たとえ無実であっても冷静に対応することが非常に難しいものです。自分一人では適切な対応ができず、やってもいないことを自白してしまった、ということになりかねません。そのようにならないためにも、一刻も早く弁護士に相談することが必要です。
危険ドラッグで無罪の可能性を上げる弁護活動
弁護士が危険ドラッグ事件で無罪の可能性を上げるために、どのような弁護活動を行うのか以下2点について詳しく解説します。
- 無罪のための証拠集め
- 違法捜査の有無を調査
それぞれ解説していきます。
無罪のための証拠集め
1つ目は、無罪のための証拠集めです。
弁護士は、依頼者が無実であることを証明するために、証拠集めと証拠集めのアドバイスを実施します。
依頼者が事件を否認している場合は、接見の上事実確認し、無罪であることの証拠を弁護士の視点で集めていきます。たとえば、騙されて購入・使用・所持した証拠や、被疑者が危険ドラッグであることを知り得なかったという証拠を集めていきます。
家族や周りのサポートを受けられる場合は、証拠集めのアドバイスもするでしょう。薬物に強い弁護士は、依頼者が無罪となるためにあらゆる証拠を集めていきます。
違法捜査の有無を調査
2つ目は、違法捜査の有無の調査です。
違法捜査の有無を調査することも、弁護活動に含まれます。裁判の大原則として、違法に収集された証拠であれば証拠として認めてもらえない「違法収集証拠排除の原則」があります。
たとえば、令状なしで被疑者の荷物の裏蓋などを破壊して確認するには、事前に持ち主に許可を取る必要があります。持ち主が拒否しているにも関わらず破壊して検査した場合は令状主義に反する違法捜査にあたります。このように、違法に収集した証拠を排除され、無罪となったケースも実際に存在するのです。
違法捜査が行われた場合は、実際に危険ドラッグを使用していても、確かな証拠があった場合においても無罪になる可能性があります。
危険ドラッグで無罪を勝ち取るポイント
無罪を勝ち取るために気をつけるべきポイントについて、以下4点を説明します。
- 自白調書をとられていないか
- 供述に不合理があるか
- 故意ではないか
- 強制・違法捜査でないか
それぞれ解説していきます。
自白調書をとられていないか
1つ目のポイントは、自白調書をとらせないことです。
依頼者が危険ドラッグの事件に関わっていることを否認しているなら、自白調書を取らせないことが重要です。自白調書とは、本人が犯罪を事実だと認める供述をまとめた調書のことです。自白調書をとられると「裁判所はその自白調書を証拠として、取り調べできる」という特別な扱いを受けます。
逮捕された時点で、もう有罪だと決めつけて恫喝や自白強要などあらゆる手を使って自白させようとする捜査官もいます。捜査官からの圧力に負けて、やってもいないのに自白してしまうと、それが調書に記録され、証拠として取り扱われてしまいます。
裁判となれば基本的に供述を翻すことはできません。自白調書に書かれている内容を否定すれば、裁判官からの信用度が下がり、被告人にとってますます不利な状況となることでしょう。
このような場合、弁護士に依頼しておけば取調べへの対処について、質問への回答内容をどうすればよいかなど、具体的なアドバイスを受けることができます。また依頼者が取調べの雰囲気に飲まれて事実とは異なる供述をしないように、黙秘権を行使することも提案してくれます。
捜査への対応は、自分一人ではどうしたらいいかわからないものです。危険ドラッグ事件の経験が豊富な弁護士に依頼しておけば、取調べに対してどうすべきかのアドバイスをもらうことができます。
供述に不合理があるか
2つ目のポイントは、供述に不合理があるかです。
たとえば、危険ドラッグの所持・使用で逮捕された関係者が「あなたも危険ドラッグに手を出した」と供述をして、それが決め手で逮捕された場合、関係者の供述に不合理がないかを確認することも重要です。
捜査が進むと関係者からの供述も増えますが、時間が経過すると複数の供述調書の内容が一致していなかったり、不自然に変化していたりする場合は注意しなければなりません。
不合理な行動をひとつも取らない人はいませんが、関係者はあなたに責任を押し付けようとしていて、事実とは異なる供述をすることもあります。
弁護士に依頼すれば、関係者の供述に客観的証拠と矛盾するものはないか、供述内容が不自然ではないかを確認していきます。不合理であればそれを見抜いたことや、依頼者が無実であることを検察官や裁判官に正しい証拠を元に主張していきます。
自分一人では、共犯者がいることもありここまで詳しいチェックはできないでしょう。弁護士はこのような不合理な供述がないかについても、しっかり確認をしてくれます。
故意ではないか
3つ目のポイントは、故意ではないかです。
依頼者が危険ドラッグであることを全く知らずに、所持・使用した場合、無実になる可能性があります。知っていて所持・使用したかどうかが重要なポイントとなります。
危険ドラッグを含む薬物犯罪における「所持」「使用」とは、「本人が薬物であることを知っていて所持した」「薬物であることを知っていて使用した」という意味です。
そのため、たまたま誰かが飲んでいた飲み物をもらい、それに危険ドラッグが入っていたような場合は「使用」にあたりません。弁護士は、故意でないかを証明するために隅々まで調べていきます。
強制・違法捜査ではないか
4つ目のポイントは、強制・違法捜査ではないかを調べることです。
前述したとおり、「違法収集証拠排除の原則」により、違法な捜査で得られたものは証拠になりません。たとえば令状なしに強制的に捜査が行われていた場合は違法と判断され、無罪判決の可能性が高まります。
弁護士は捜査の経過や手続きを隅々まで調べて、違法でないかを確認していきます。違法であれば無罪となる可能性が高まります。
危険ドラッグで無罪なら薬物に強い弁護士へ相談を
本記事では、危険ドラッグの概要と、無実の可能性はあるのか、危険ドラッグ事件で無罪を勝ち取るために弁護士がしてくれることついて解説しました。
危険ドラッグは他の薬物犯罪と同じように、証拠品が押収されていることが多いですが、本人が危険ドラッグだと知らずに使用すれば、故意でないと判断されて無実となる可能性が高まります。また違法捜査が行われていた場合、たとえ証拠があっても無実となることでしょう。
危険ドラッグ等の薬物事件に強い弁護士に相談すれば、無罪を勝ち取るためにすべきこと、どのようなポイントを確認すべきなのかを知り尽くしており、依頼者が有利になるように活動してくれます。危険ドラッグ事件に巻き込まれたら、できる限り早く弁護士へ相談してください。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設