• 大麻事件での勾留期間を知りたい
  • マリファナで捕まると絶対に勾留されるのか
  • 大麻事件で勾留期間を短くする方法はあるのか

令和3年の厚生労働省の「薬物乱用対策」によると、令和2年の大麻の検挙人員は7年連続で増加して5,260人となり、過去最多を更新しました。検挙人員の約65%が30歳未満であるなど、近年特に若者層を中心とした大麻乱用の拡大が顕著になっています。

出典:薬物乱用対策 | 厚生労働省

大麻の所持で逮捕されてしまうとどのくらい勾留されるのか、勾留期間を短くする方法はあるのか、など逮捕後にどうなってしまうのか不安に感じている方もいることでしょう。

そこで今回は、薬物事件を専門に解決してきた弁護士が、大麻で逮捕された場合に勾留を回避したり短縮することは可能なのか、勾留回避や短縮のためにやるべきことは何か、逮捕された場合に弁護士は何をしてくれるのか、逮捕から勾留までの流れについて解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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大麻事件で勾留回避・短縮は可能なのか!?

日本では大麻の所持は犯罪となり、発覚すれば原則的に逮捕されます。

大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいいます。ただし、大麻草の茎や繊維などの製品、大麻草の種子及びその製品は除きます。大麻は、乾燥大麻やマリファナとも呼ばれています。

大麻の所持・譲渡・譲受・栽培は、都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者以外は原則的に禁止されています(大麻取締法第3条、4条)。大麻の所持・譲受・譲渡などに違反した場合は、5年以下の懲役が科せられます。また、営利目的がある場合は、7年以下の懲役及び200万円以下の罰金が併料されます。

大麻は軽量で持ち運びが容易であるため、証拠隠滅しやすいといわれています。また、被疑者が密売人をはじめとする薬物仲間に情報提供する可能性があり、罪を逃れようとする傾向もあります。証拠隠滅や逃亡、仲間との口裏合わせをする可能性がある場合は、原則的に逮捕され、身柄が拘束されます。

もっとも、後に詳しく説明しますとおり、大麻事件でも逮捕を回避したり、勾留を回避・短縮できる場合があります。

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大麻事件で逮捕されてから勾留まで

ここでは大麻事件で逮捕されてから勾留までの流れを解説します。逮捕されてから勾留するまでの流れを説明します。

  • 逮捕されるタイミング
  • 大麻事件での逮捕の種類
  • 司法警察職員による取り調べ
  • 検察庁への送致と勾留開始

1つずつ、解説します。

逮捕されるタイミング

大麻事件で逮捕されるタイミングについて解説します。逮捕のきっかけは、職務質問、現行犯、情報提供があった場合の3つです。

まず職務質問について、薬物の単純所持事件の大半はこの職務質問によって現行犯逮捕に至っています。特に路上の不審者・不審自動車は、警察官が発見すればただちに職務質問を行います。

さらに不審な点があれば所持品検査を行い、違法薬物が出てきた場合はその場で簡易検査を行います。簡易検査で陽性反応が出れば、ただちに現行犯逮捕となります。

情報提供があった場合は、たとえば共犯者が先に逮捕され事件の情報を供述した場合、それに基づいて通常逮捕に至るようなケースです。また通報をうけて警察官が駆けつけ、薬物所持で逮捕に至るケースもあります。

大麻事件での逮捕の種類

大麻事件での逮捕の種類は、以下の3つです。

  • 通常逮捕
  • 現行犯逮捕
  • 緊急逮捕

1つずつ、解説します。

通常逮捕(後日逮捕)

1つ目は、通常逮捕(後日逮捕)です。

通常逮捕(後日逮捕)とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとき、裁判官が発する逮捕状によって、検察官・検察事務官または警察官が被疑者を逮捕することを言います。

たとえば、夫の隠していた大麻を妻が見つけて警察に持参した場合、夫の大麻所持の嫌疑により夫に対して逮捕状が出され、この逮捕状によってその夫を後日逮捕するような場合です。

現行犯逮捕

2つ目は、現行犯逮捕です。

現行犯逮捕とは、裁判官の発する逮捕状なくして現行犯人を逮捕することです。ここで言う現行犯人とは、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者をいいます。
たとえば、公園で職務質問を受けた者が任意で尿検査をして陽性反応が出た場合、大麻所持の嫌疑がかけられます。そして、所持品検査や家宅捜査によって大麻が発見され、大麻所持違反によって逮捕されるような場合です。

緊急逮捕

3つ目は、緊急逮捕です。

緊急逮捕とは、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁固にあたる罪を起こしたことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」に、その理由を告げて、検察官・検察事務官・または司法警察員が被疑者を逮捕することをいいます。

緊急逮捕した後は直ちに逮捕状の発布を求めなければなりません。

たとえば、警察官が巡回中に大麻所持の通報があった人物と、容姿・年齢・人相に合致する不審者を発見しました。職務質問したところ、不審者が逃走しようとしたため、容疑が充分であり急速を要することであることをこの不審者に告げて逮捕するような場合です。

司法警察職員による取り調べ

大麻事件で逮捕されると、まず司法警察職員による取り調べが行われます。

逮捕後、被疑者は留置所などに身柄を拘束されます。警察では被疑者の身柄を拘束したまま取り調べを行います。取り調べでは、大麻事件の事実関係の確認、実況見分などの証拠収集が行われます。

警察では捜査の一環として取り調べを行うために、大麻事件の被疑者や参考人に任意で出頭を求めることができます。出頭の理由は、犯罪の嫌疑がある場合、あるいは事件の参考人などがあげられます。いずれにせよ、警察への出頭は身柄の拘束を受けるわけではないので、逮捕ではありません。

出頭後は、司法警察職員による取り調べが行われます。取り調べが終われば、供述調書が作成され、被疑者または参考人はその内容に同意したという署名捺印をします。この供述調書は、裁判での重要証拠となります。したがって、事実と異なるような供述はただちに訂正してもらうようにしましょう。

検察庁への送致と勾留開始

逮捕後は、検察庁への送致と勾留が開始されます。

警察は48時間以内に、事件と被疑者の身柄を検察庁に送致します。送致を受けた検察では、24時間以内に被疑者の取り調べを行い、裁判所に勾留の請求をするのか否かを決定します。証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断した場合は、勾留請求します。

検察の勾留請求に基づいて、裁判官が勾留決定の判断を下せば、被疑者は原則10日間、延長によりさらに10日間、逮捕の日数を含めると最大23日間、勾留され取り調べが行われることになります。

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大麻事件で勾留回避・短縮のためにやるべきこと

ここでは大麻事件で逮捕された場合に勾留回避・短縮のためにやるべきことを、以下の順番で解説します。

  • 大麻所持・使用が発覚したらすぐに弁護士に相談
  • 釈放後の生活のサポートの検討

1つずつ、見ていきましょう。

大麻所持・使用が発覚したらすぐに弁護士に相談

1つ目は、大麻所持・使用が発覚したらすぐに弁護士に相談することです。

大麻事件で逮捕されると、逮捕から勾留決定の期間中、被疑者は面会禁止となり長期間に渡って取り調べを受けることになります。逮捕されると間もなく、当番弁護士が接見しますが事件の流れを教えるだけで弁護活動を行ってくれるわけではありません。また国選弁護士は、勾留が決定してから介入してくるので、基本的には取り調べは一人で対応しなければいけません。

しかし、依頼した弁護士に介入してもらえば自由に接見が可能となります。弁護士と接見することで、取り調べでの対応方法、今後の戦略の打ち合わせなどが自由に話し合え、また家族が弁護士に相談に行くこともでき連絡の代行にもなります。

大麻事件の専門弁護士であれば、素早い対応をしてくれるので、すぐに接見に行き、本人と今後の戦略の打ち合わせをしてくれるでしょう。その場合、直通の電話番号や連絡先を教えてくれるような、いつでも連絡がとれる担当弁護士を探すことが重要です。

関連記事:大麻で不起訴処分になる割合・条件とは?薬物に詳しい弁護士が徹底解説

釈放後の生活のサポートの検討

2つ目は、釈放後の生活のサポートを検討することです。

被疑者が釈放された後の、具体的なサポート・プログラムの検討をあらかじめ行っておくことが必要です。そのためには家族の協力が欠かせません。釈放後の被疑者は、家族が愛情だけで優しくしても、悪いことだと叱っても薬物の影響から良い効果が得られない可能性があります。

そのためまずは、サポートする家族が薬物犯罪を犯した被疑者のために、医学的・心理学的にどのような状態なのか理解をし、回復に有効な治療法やプログラムは何か、またそれがどこで行われているのかを調べて検討することが重要です。
このような、釈放後の被疑者の具体的なサポート案や本人の反省を弁護士が主張することで、勾留回避・短縮・保釈が視野に入ることができるようになります。

大麻事件で勾留回避・短縮のために弁護士ができること

大麻事件で勾留を回避・短縮するために弁護士ができることは、以下の3つです。

  • 逮捕しないように求める
  • 検察官、裁判官を説得する
  • 不服申し立てで釈放を求める

1つずつ、見ていきましょう。

逮捕しないように求める

1つ目は、逮捕しないように求めることです。

弁護士は、警察官に説明して逮捕を回避することが可能です。

警察官に面談し、被疑者が罪状を素直に認めていること、罪証隠滅や逃亡のおそれがないこと、再犯防止の取り組みなどもあることを主張して、あるいは犯罪が成立しないことを主張して、逮捕はしないよう求めることが可能です。その結果、逮捕されずに在宅捜索になることがあります。

検察官・裁判官を説得する

2つ目は、逮捕された場合であっても検察官・裁判官を説得して勾留を回避することです。

大麻事件で逮捕された後にただちに弁護士が介入すれば、検察官や裁判官に勾留は不要であることを説得してくれます。その場合は、被疑者が十分に反省して再犯を犯さない旨を記した誓約書・身元引受書、意見書などが必要になります。

こうした資料を精査して、検察官や裁判官が釈放を決定することもあります。罪証隠滅・逃亡の可能性が低いことをを説得できれば釈放してもらえることを期待できます。

不服申し立てで釈放を求める

3つ目は、勾留決定がなされても不服申し立てをして釈放を求めることです。

大麻事件で勾留決定がなされても、弁護士は準抗告という不服申し立ての手続きを裁判所に申し立てることが可能です。

勾留が長期化すれば、仕事や学校など被疑者の生活に重大な支障をきたすこともあります。弁護士は、被疑者の罪証隠滅や逃亡のおそれのないことを裁判官に訴えることで、勾留期間を短縮し早期に釈放を求めることが可能です。

関連記事:大麻事件なら弁護士に依頼!メリット・頼れる弁護士の特徴を解説

まとめ

今回は、薬物事件を専門に解決してきた弁護士が、大麻で逮捕された場合に勾留を回避したり短縮することは可能なのか・勾留回避や短縮のためにやるべきことは何か・逮捕された場合に弁護士は何をしてくれるのか・逮捕から勾留までの流れについての解説でした。

大麻所持で勾留されると、逮捕から最大23日間身柄が拘束される可能性があります。大麻事件が発覚した場合は、ただちに弁護士に相談し事件の解決に向けた迅速な対応をとることが何よりも重要になります。薬物事件を専門とする弁護士に依頼してサポートを受けましょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設