薬物事件 初犯では刑罰を免れることは可能?専門弁護士が解説

  • 違法薬物を使用しているのがバレて初犯として逮捕された
  • 違法薬物事件は初犯でも有罪なのか?
  • 違法薬物事件での初犯は刑罰を免れることは可能なのか?

薬物事件に関与すると、逮捕・勾留される可能性が非常に高まります。薬物は軽量なものであるため処分しやすく、関係者と共謀して証拠隠滅をする可能性が高いためです。となると、初犯であっても薬物事件で逮捕されれば刑罰を免れられないのでは、と気になる方も多いことでしょう。

そこで今回は、薬物事件に詳しい弁護士が、薬物事件は初犯であっても逮捕されるのか、違法薬物事件の初犯で逮捕されたらどうなるのか、量刑は軽くなるのか、被疑者の家族はどのような行動をとるべきかについて解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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薬物事件は初犯であっても逮捕されるのか?

薬物事件は初犯であっても逮捕されるのかについて、以下の3つの観点から弁護士が解説します。

  • 違法薬物事件は必ず逮捕されるのか?
  • 違法薬物の所持・使用がばれるときとは?
  • 違法薬物事件初犯でも刑罰はあるのか?

それでは、1つずつ解説します。

違法薬物事件は必ず逮捕されるのか?

1つ目は、違法薬物事件は必ず逮捕されるのかについて解説します。

違法薬物事件とは、違法な薬物を所持・使用・販売することです。違法薬物を取り締まる法は、以下の4つがあり、薬物4法と呼ばれています。

  • 覚醒剤取締法
  • 大麻取締法
  • 麻薬及び向精神薬取締法
  • あへん法

また、その他にも以下の2つの法律により違法薬物が規制されています。

  • 医薬品医療機器等法(旧薬事法)
  • 毒物及び劇物取締法

違法薬物事件は、多くの場合が逮捕勾留される身柄事件となります。なぜなら違法薬物は、証拠隠滅を懸念されるからです。また、薬物犯罪は、営利目的でなくても、5年以上の懲役と厳しく処罰されています。

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違法薬物の所持・使用がバレるときとは?

2つ目は、違法薬物の所持・使用がバレるときについて解説します。

まず、警察官の職務質問を受けたときです。違法薬物を使用していると、挙動不審であったり、ハイテンションであったりするなど様々な薬物の症状が出ることがあります。周囲の通報や警察官の巡回中に職務質問を受けた場合には、薬物の所持・使用が発覚することが多いでしょう。

また、共犯者が供述したときも発覚しやすくなります。共犯者は、薬物の保存場所、他の共犯者の氏名・住所など、様々な供述をする場合があります。捜査が開始されると、逮捕される確率は高まります。

他にも、違法薬物の使用を通報されたときも、犯罪が発覚する可能性が高いでしょう。捜査機関は、逮捕が確実な時期を狙って逮捕へと至ります。

違法薬物事件初犯でも刑罰はあるのか?

3つ目は、違法薬物事件初犯でも刑罰はあるのかについて解説します。

以下の表は、それぞれの違法薬物ごとの初犯の量刑の相場をまとめたものです。

罪名 初犯の量刑相場
覚醒剤取締法違反 懲役1年6か月
執行猶予3年程度
大麻取締法違反 ・所持・譲渡・譲受
懲役6か月〜1年
・営利目的の輸出入
懲役3年以上、罰金150万円以下
・栽培
懲役1年6か月~2年、
執行猶予3~4年程度
麻薬及び向精神薬取締法違反
ヘロイン・コカイン・モルヒネ・
LSD・MDMAなど
・初犯で少量の所持である場合
懲役1年6か月、
執行猶予3年程度
・大量所持・輸入
初犯でも実刑の可能性
毒物及び劇物取締法
シンナー・トルエンなど
懲役6か月〜1年
執行猶予3年程度
医薬品医療機器等法(旧薬事法)
危険ドラッグ(ラッシー等)などの所持
購入・譲渡・譲受・授与・使用
懲役6か月~1年
執行猶予3年程度
関税法
医薬品医療機器等法に規定する指定薬物の輸入
懲役1年6か月
執行猶予3年程度

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違法薬物事件の初犯で逮捕されたらどうなるのか?

違法薬物事件の初犯で逮捕されたらどうなるのでしょうか?逮捕後は、以下の流れになります。

  • 留置場での身柄拘束
  • 裁判官による勾留決定による勾留開始
  • 起訴・不起訴の決定

それでは、1つずつ見ていきましょう。

留置場での身柄拘束

1つ目は、留置場での身柄拘束です。

薬物事件で逮捕されると警察から検察へ48時間以内に事件が送致されます。その後24時間以内に検察官は勾留を裁判官に請求され、勾留が認められると、そこから10日間勾留されます。10日間の勾留期間内に捜査が終わらないときには、更に最大で10日間、勾留が延長されます。

薬物事件の場合は、捜査で必要な薬物鑑定がすぐに終わらなかったり、共犯者の取り調べをしなければならなかったり、などの理由から勾留が延長される場合が多くあります。入手ルートや共犯者など証拠隠滅の恐れも高いことから、多くの薬物事件では勾留決定が出されます。

裁判官による勾留決定による勾留開始

2つ目は、裁判官による勾留決定による勾留開始です。

検察官が勾留を請求した後、裁判官による勾留が決定され勾留が開始します。勾留期間は、最大で20日間です。

20日間もの長い間、身柄を拘束されると、当然会社から懲戒解雇される可能性も高くなります。また、子どもがいる、介護が必要な両親を家に残したままである、などを理由に、勾留を短縮するために弁護士が働きかけることは可能です。

起訴・不起訴の決定

3つ目は、起訴・不起訴の決定です。

検察に事件が送致された後、検察官が起訴・不起訴の決定をします。犯行を否認しており、捜査機関が有罪判決を得るに足りる証拠を得られないような場合は、事件は不起訴処分になります。

たとえば、弁護士がこの段階で介入すれば、検察官に不起訴処分にしてもらえるように働きかけることができます。初犯の薬物使用・所持事件であること、再犯の可能性が低いこと、本人が十分に反省していることなどを弁護士が代弁して検察官に働きかけることで、起訴猶予を獲得することも可能になるでしょう。

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違法薬物事件の初犯での量刑は軽くなるのか?

違法薬物事件の初犯で薬物の所持罪で起訴された場合、刑事裁判で有罪判決が下されたとしても、執行猶予の判決になる可能性は高いでしょう。

ただし、営利目的で大量所持していたり、誰かに販売していたりする場合には、初犯であっても執行猶予がつかずに、実刑判決が下される可能性が高まります。一般的には、薬物事件で言い渡された量刑が3年以下の懲役であれば、執行猶予がつく場合が多いと言えます。

薬物事件の初犯に対して被疑者の家族が取るべき行動は?

薬物事件の初犯に対して被疑者の家族がとるべき行動は、薬物事件で逮捕されたらば、何よりもすぐに弁護士に相談することです。

相談が早ければ弁護士の初動が早まり、その後の被疑者にも有利に事が動くことがあります。薬物事件では、逮捕から72時間に接見できるのは、弁護士のみです。

保釈後は、被告人と同居して家族が監視することで、再犯の可能性も低くなります。また、薬物治療のために入院を検討することも、被告人の更生に向けて重要でしょう。薬物は、常習性・依存性が高いために、被告人だけの努力で薬物から更生するのは大変に困難を伴います。家族の協力が何よりも重要です。

まとめ

今回は、薬物事件に詳しい弁護士が、薬物事件は初犯であっても逮捕されるのか、違法薬物事件の初犯で逮捕されたらどうなるのか、量刑は軽くなるのか、被疑者の家族はどのような行動をとるべきかについて解説しました。

薬物事件の場合、初犯であれば刑事裁判は執行猶予判決となりますが、弁護士が介入することで保釈や不起訴処分を目指せる可能性も高まります。薬物犯罪に巻き込まれた際には、刑事事件の解決が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設