向精神薬で裁判になる?要因と必要な弁護活動を解説

  • 向精神薬では裁判になるのだろうか
  • 裁判に繋がる要因について詳しく知りたい
  • 向精神薬に関わる事件で裁判になったら、弁護士は何をしてくれるのだろうか

近年では、日常生活への不安やちょっとした好奇心から、睡眠薬や抗うつ剤などの向精神薬を乱用してしまう方が増えています。

向精神薬は、麻薬や覚醒剤などと比較して容易に入手することができます。しかし誤った方法で服用してしまった場合、身体に重大な影響を及ぼすばかりでなく、刑事事件へと発展する危険性があります。

向精神薬事件は、私たちが想像する以上に身近な犯罪です。誰もが当事者になり得ることから、万が一身近な方や家族が事件に関与してしまった場合のために、向精神薬事件の概要や裁判に繋がる要因を理解する必要があります。

そこで今回は、薬物事件の対応実績が豊富な弁護士が、向精神薬で裁判に繋がるケースやその要因、向精神薬事件における裁判で弁護士が行う活動について詳しく解説します。

向精神薬による裁判

まずは向精神薬で裁判になるのかについて、以下2点を説明します。

  • 向精神薬の特徴
  • 起訴されると裁判に

それぞれ解説します。

向精神薬の特徴

まずは向精神薬の特徴について説明します。

向精神薬は、広義には大麻・覚醒剤・リゼルグ酸などの幻覚剤・モルヒネ・ラッシュや合法ハーブなどのいわゆる危険ドラッグも含みますが、一般的には睡眠薬(睡眠導入剤)・抗うつ剤・抗不安薬など、精神疾患の治療に用いる薬物のことを指します。

もともとは、不眠やイライラ・不安感などの症状の改善を目的として処方されるものです。医師からの決められた処方量を守って服用すれば、精神疾患の改善を期待することができます。

しかし処方量を超えた服用やアルコールなどと一緒に摂取してしまえば、極度のショック状態・言語不能・情緒不安定・不眠・昏睡状態・最悪の場合には死に至るケースもあり、極めて危険な作用を及ぼすこととなります。

また、向精神薬は依存性の高いものが多く、当初処方された量では効果を実感することができなくなるという場合がしばしばあります。

「不眠や不安感などを和らげたい」「向精神薬によって味わった快楽を再び手に入れたい」という欲望から、後述する処方箋の偽造・変造による手口や、無免許のブローカーなどにより不正に向精神薬を入手しようとするケースが近年増えています。

自身の社会的信頼の喪失や家庭・人間関係の崩壊を招く可能性や、場合によっては殺人や放火などの重大犯罪へと発展する危険性もはらんでいることから、向精神薬には決して気軽な気持ちで手を出してはいけません。

起訴されると裁判に

向精神薬事件において起訴されると、裁判に繋がる可能性があります。

向精神薬は、主に精神疾患の改善を目的とする医薬品として流通しています。「麻薬及び向精神薬取締法」では、向精神薬の使用そのものは規制はされていません。

ヘロインやモルヒネなどの麻薬とは、向精神薬よりも更に依存性が高いことから使用そのものが同法による罪に問われるという点で違いがあります。しかしその依存性の高さや薬物事件がはらむ事件の重大性から、極めて厳格な管理や取り扱いが求められています。

そのため、向精神薬を医療目的外で譲渡したり、譲渡する目的で所持したりすると「麻薬及び向精神薬取締法」違反の罪に問われ、3年以下の懲役に処せられる可能性があります。

向精神薬は麻薬などと比較すると容易に入手できることに加えて、近年では、日本のみならず世界的に向精神薬の使用者や処方量が増えていることから、誰もが薬物事件の当事者となる危険性を秘めています。

ちょっとした気持ちで行った行動が、重大事件や裁判へと繋がる可能性があることに、十分留意する必要があります。

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向精神薬が裁判に繋がる要因

向精神薬で裁判に繋がる要因について、以下3点を説明します。

  • 処方箋の偽造
  • 不正ルートからの入手
  • 営利目的の譲渡・所持など

それぞれ解説します。

処方箋の偽造

1つ目の要因は、処方箋の偽造です。

「医師から定められた処方量では不眠や抑うつ感などの解消を実感することができない」「薬物によって得た快感をもう一度味わいたい」という理由で処方箋を偽造・変造して、不正に向精神薬を入手する事例が多発しています。

しかし向精神薬の処方箋の偽造・変造は、以下のような罪に問われ、起訴される可能性があります。

内容 法律 問われる罪
1 向精神薬処方せんの偽造・変造 「麻薬及び向精神薬取締法」第72条第4項違反
20万円以下の罰金
2 詐欺 「刑法」第246条違反
10年以下の懲役
3 私文書偽造及び同行使(未遂を含む) 「刑法」第159条及び第161条違反
3年以上5年以下の懲役

 

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不正ルートからの入手

2つ目の要因は、不正ルートからの入手です。

向精神薬を不正ルートから入手した場合、不正流通に関与しているとみなされ、逮捕・起訴へと繋がるケースがあります。

過去には、開業医による向精神薬の大量不正譲渡事件や、無免許の医薬品ブローカーによる向精神薬の横流し事件などが明るみに出て、大きな問題となりました。

不正ルートから入手した向精神薬を服用すれば、人体に思わぬ副作用をもたらすケースがあるばかりでなく、事件が悪質であると判断された場合には、罰金や懲役が併科される可能性もあります。

近年では、インターネットやフリマアプリなどを通じた向精神薬の不正取引も問題視されており、知らず知らずのうちに向精神薬事件の当事者となることも否定できません。

営利目的の譲渡・所持など

3つ目の要因は、営利目的の譲渡・所持です。

向精神薬を金銭を得ることを目的として、譲渡又は譲渡する目的で所持するという悪質性の高いケースにおいては、麻薬及び向精神薬取締法の違反で、5年以下の懲役及び100万円以下の罰金が併科される場合もあります。

また、向精神薬をみだりに輸入・製造・製剤・小分けにした場合は、5年以下の懲役に処せられます。金銭を得ることを目的とした場合には、7年以下の懲役及び200万円以下の罰金が併科される場合もあります(未遂を含みます)。

向精神薬は、その依存性や乱用した際の危険性などから、極めて厳格な管理や取り扱いが求められています。特に営利目的と判断される悪質性の高い事件では科せられる罪が重くなる傾向にあります。

向精神薬事件は、決して他人事ではなく誰もが当事者となる可能性を秘めています。裁判へと繋がる要件や事例を理解することが、不幸な事件を防ぐための大きな役割を果たすこととなります。

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向精神薬の裁判で行う主な弁護活動

ここまで、向精神薬で裁判に繋がる要因について説明してきましたが、向精神薬の裁判で行う主な弁護活動には何があるのでしょうか。ここでは以下2点を挙げて説明します。

  • 検察官側の証拠の検討
  • 弁護方針の立案

それぞれ解説します。

検察官側の証拠検討

1つ目は、検察官側の証拠の検討です。

弁護士は、検察側の証拠を公判前に確認できることから、依頼者にとって効果的な弁護活動を行うことができます。

弁護士に対して検察官側の証拠が開示されるタイミングは、おおむね起訴された後3週間後となります。

薬物や吸引器などの証拠物、供述調書をはじめとした証拠書類は、弁護士であれば検察庁の庁舎内の閲覧や写真の撮影も行うことができます。

検察側の証拠を入手した後は、依頼者にも確認してもらい、事実や記憶と異なる部分はないかを検討します。

依頼主の検討結果を元に弁護士が証拠意見書を作成し、検察官と裁判所へ提出します。

場合によっては、検察官は弁護士の証拠意見書を確認した上で公判期日において証拠調べを撤回する可能性もあることから、薬物事件に精通した弁護士へと弁護活動を依頼することが重要です。

弁護方針の立案

2つ目は、弁護方針の立案です。

向精神薬事件において起訴されてしまった場合、弁護士は依頼者の早急な社会復帰に向けて無罪や執行猶予付き処分、減刑などの獲得に向けた活動を行います。

依頼者が向精神薬事件に関与していない場合には、検察官側の証拠を検討しながら無罪の獲得に向けた弁護活動を行います。

依頼者が向精神薬事件に関与したことを認める場合には、依頼者の前科歴・更生の意思・反省の有無・家族からのサポートや定職の有無など、諸般の事情を勘案しながら、執行猶予付き処分や減刑の獲得に向けた弁護方針を立てることとなります。

薬物事件の対応実績が豊富な弁護士であれば、依頼者にとって少しでも有利な結果の獲得に向けた活動を行うことができるでしょう。また、医療機関やダルクなどの自助グループとの連携を行いながら、依頼主の社会復帰に向けたサポートを行うことができます。

万が一、向精神薬事件に巻き込まれてしまった場合には、迷うことなく当事務所へとご相談ください。

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向精神薬の裁判に向けて早急に弁護士への依頼を

今回は薬物事件の対応実績が豊富な弁護士が、向精神薬で裁判に繋がるケースやその要因、向精神薬事件における裁判で弁護士が行う弁護活動について解説しました。

向精神薬は、使用そのものが罪に問われる可能性は低いです。しかし処方箋の偽造や不正流通に関与した場合や、金銭を得ることを目的として譲渡・製造した場合には、起訴される可能性があります。

向精神薬の依存性や危険性に鑑み、営利目的で事件に関与したと判断されるケースでは、より重い罪に問われる傾向にあることから、近年では特に、インターネットやフリマアプリを通じた向精神薬の取引にも注意する必要があります。

薬物事件の対応実績が豊富な弁護士であれば、検察官側の証拠を検討した上で無罪や執行猶予付き処分、減刑などの獲得に向けた活動はもちろん、医療機関や自助グループなどと連携した更生サポートも行うことができます。

身近な方や家族が薬物事件に巻き込まれてしまった場合でも、諦めることなくまずは当事務所へとご相談ください。

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