- 危険ドラッグで逮捕・起訴された場合、保釈は認められるのか?
- 認められる場合、保釈金はどれくらいかかるのか?
- 保釈を認めてもらうために弁護士は何をしてくれるのか?
危険ドラッグで逮捕・起訴されてしまった場合、保釈されることはあるのか、保釈が認められるためには何をしなければならないのか、不安に思う方も多いでしょう。
そこで今回は、危険ドラッグに詳しい弁護士が、保釈が認められるケース・保釈請求の流れ・保釈請求を弁護士に依頼する場合に気を付けるべきポイントを解説します。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
危険ドラッグ事件での逮捕と保釈
危険ドラッグ事件での逮捕と保釈について、危険ドラッグに関する知識を踏まえながら、以下の3つを解説します。
- 危険ドラッグの所持は薬機法・関税法違反
- 保釈とは?
- 危険ドラッグで逮捕されても保釈の可能性はあるのか?
それでは、1つずつ解説します。
危険ドラッグの所持は薬機法・関税法違反
1つ目は、危険ドラッグの所持は薬機法・関税法違反であることについて解説します。
危険ドラッグは、麻薬や向精神薬として指定されているものではありませんが、使用することで興奮、幻覚、多幸感などを得る目的で販売されている製品をいいます。かつては、合法ドラッグとも呼ばれていました。合法ハーブ、アロマオイル、芳香剤、クリーナー、フレグランスパウダー、などと表示して販売されることもあります。
なお危険ドラッグを所持するなどした場合は、指定薬物に該当するため、医療品医療機器等法医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、関税法で規制されます。
保釈とは?
2つ目は、保釈について解説します。保釈とは、起訴後に認められる身体拘束からの解放をいいます。
勾留されている被告人の身元が確かめられており、保釈金を裁判所に納付することで保釈が求められます。保釈には、権利保釈、裁量保釈、職権保釈の3つがあります。
原則として、「勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹」からの保釈の請求があった場合は、法律に規定する該当事由にあたらない場合は、保釈が認められることを権利保釈と言います。(刑事訴訟法第88条)
法律に規定する事由に該当するために保釈が認められない場合であっても、裁判官の裁量により保釈が認められることがあります。これを裁量保釈といいます。
職権保釈は、不当に拘禁が長くなった場合に認められる保釈をいいます。保釈を請求する際には、裁判所に保釈金を納付することが要件とされています。保釈金の額については、営利目的の有無、薬物の量、など事案により決定されます。
危険ドラッグで逮捕されても保釈の可能性はあるの?
3つ目は、危険ドラッグで逮捕されても保釈の可能性はあるのかについて解説します。
保釈が認められるためには、被告人の逃亡や証拠隠滅がないことが必要です。危険ドラッグで逮捕されても、弁護士が事件後すぐに介入して、自首を検討しながら、適切な手続に従い保釈請求をすれば保釈が認められる可能性が高まります。起訴され被告人となっても、被告人に逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、真摯に反省し、依存症の治療など厚生に向けた活動を行うことを主張し、裁判官を説得すれば、ここでも保釈される可能性はあります。
危険ドラッグ事件で保釈が認められるケース
危険ドラッグ事件で保釈が認められるケースについて解説します。危険ドラッグ所持事件などでは、起訴前の捜査段階で釈放されることは難しいと言われています。危険ドラッグで逮捕・起訴された場合には以下のことを行う必要があります。
- 弁護士から保釈請求を行う
- 保釈金を支払う
それでは、1つずつ解説します。
弁護士から保釈請求を行う
1つ目は、弁護士から保釈請求を行うことです。
危険ドラッグ事件で保釈の請求を行う場合は、一般的に弁護士が裁判所に請求します。弁護人以外にも、被告人本人・被告人の家族も保釈請求をすることができます。
保釈を認めてもらうためにはどのような手続きをとるべきかを熟知している弁護士に介入してもらえば、裁判官への働きかけにより保釈が認められやすくなるでしょう。そのためには、弁護士のサポートをうけることが重要です。
保釈金を支払う
2つ目は、保釈金を支払うことです。
裁判所に保釈を請求する場合には、裁判所に保釈金を納付しなければなりません。保釈金を支払うことで一時的に身柄が解放されます。保釈金の金額は、罪状の内容や営利目的の有無、危険ドラッグの押収量など事案によっても異なります。また、被告人の経済状況によっても異なります。
一般的な保釈金の相場は、標準的な資力の被告人であればおよそ150万円とされています。経済力のある被告人であれば、数百万円から数千万円になるケースもあります。
危険ドラッグ事件での保釈請求から保釈までの流れ
危険ドラッグ事件での保釈請求の流れについて見ていきましょう。
保釈は、事件が継続している裁判所に対して請求します。保釈請求は、「勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹」などが行うことができます(刑事訴訟法88条第1項)。
保釈が請求されると、裁判官は保釈の決定をする前に検察官に意見を求めます。検察官は保釈を相当とするのか不相当とするのか、或いは裁判官の裁量に委ねてしかるべき意見に従うのか、を裁判官に回答します。弁護人は裁判官に面接を希望して、被告人の保釈の必要性を説得します。裁判官は、検察官の意見、弁護人との面接を経てから、保釈の決定を行います。
裁判所が保釈の決定をすると、保釈金の納付を行います。保釈金の納付が完了すれば、被告人はその日のうちに釈放されます。釈放後は、基本的に保釈の条件に反しない限り、自由に生活できます。
危険ドラッグ事件での保釈請求は弁護士への依頼がおすすめ
危険ドラッグ事件で保釈請求をしたい場合、早期解放を目指すのであれば早めに弁護士に依頼することをおすすめします。そこで、弁護士に依頼する場合にどのような基準で弁護士を探したらよいのか、迷う方もいるかもしれません。危険ドラッグ事件で保釈を請求する場合に、許可を得やすい弁護士を見極めるためには、以下のポイントに注意してください。
- 危険ドラッグ事件をはじめとする薬物事件に多くの実績がある
- 保釈請求の経験が豊富
それでは、1つずつ解説します。
危険ドラッグ事件をはじめとする薬物事件に多くの実績がある
1つ目のポイントは、危険ドラッグ事件をはじめとする薬物事件に多くの実績があることです。
弁護士は、法的な紛争を解決することを職務としますが、弁護士にもそれぞれ専門分野があります。刑事事件、特に薬物事件の実績が多い弁護士であれば、事件によりどのような準備や手続きが必要であるのかを熟知しています。
弁護士を通じて、事件の犯情、身元引受人のサポート、逃亡や証拠隠滅のないことを裁判官に説明して、被告人の身柄を解放するため弁護活動を行います。
保釈請求の経験が豊富
2つ目のポイントは、保釈請求の経験が豊富であることです。
保釈が認められるか否かは、罪の大きさ、刑の重さ、証拠隠滅の可能性、「拘束の継続により被告人が受ける不利益」、被告人の職業、家族の事情など、さまざまな要素を考慮して判断されます。
保釈事例を豊富に持つ弁護士であれば、どのような手続きをすべきかを熟知しているので、保釈許可決定を早く得やすいといえるでしょう。
まとめ
今回は、危険ドラッグに詳しい弁護士が、危険ドラッグ事件での逮捕と保釈、危険ドラッグ事件で保釈が認められるケース、保釈請求の流れ、保釈請求を弁護士に依頼する場合に気を付けるべきポイント、などについて解説しました。
危険ドラッグで逮捕・起訴された場合は、早期に弁護士に介入してもらうことで、その後の保釈請求など身柄の解放活動がスムーズに行えます。保釈が認められるような適切な環境づくりをするためには、弁護士のサポートが重要になるでしょう。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設