大麻で在宅捜査となった場合起訴されるのか
大麻事件で在宅起訴となる条件を知りたい
マリファナ事件で在宅起訴後の弁護士の活動を詳しく知りたい
アメリカのワシントン州やカナダ・イギリスなどで大麻の使用が合法とされていることから、抵抗感なく大麻を所持・使用してしまう方が少なくありません。
しかし日本においては、大麻の所持は5年以下の懲役に該当する重大な犯罪行為です。また、営利目的での製造販売等を行ってしまった場合には、7年以下の懲役と200万円以下の罰金を併科されるケースもあり、社会的に大きな問題となっています。
大麻事件を起こしたことを周囲に知られてしまえば、職場の懲戒解雇や学校の自主退学へと追い込まれてしまう場合があり、社会的に大きな信頼を失うことは免れません。そのため、身体拘束(勾留)を受けない在宅起訴や無罪判決・執行猶予付き処分を目指す必要があります。
そこで今回は、薬物事件に強い弁護士が、大麻事件で在宅起訴される場合の条件と逮捕後の流れ、弁護士による弁護活動について解説いたします。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
大麻で在宅起訴される?
まずは、大麻での在宅起訴について、基本を確認していきます。
- 現行犯逮捕が多い
- 在宅起訴されるケース
1つずつ、見ていきましょう。
現行犯逮捕が多い
大麻事件で逮捕されてしまう場合、その多くが現行犯逮捕によるものです。
たとえば、交通取締中の検問や路上を歩いていた際の職務質問で、大麻の所持が判明し、その場で簡易鑑定を行った結果、陽性反応が出た場合などが現行犯逮捕の典型的な事例として挙げることができます。
一方で簡易鑑定の結果が偽陽性の場合や、大麻の所持量が微量で本鑑定を行うための大麻が残らないケースなどでは、現行犯逮捕が行われず一旦帰宅を許され、本鑑定の結果が出た1〜2週間後に通常逮捕となることが多いです。
近年では、電子タバコ用の大麻リキッドの所持が問題となるケースも多数報告されていますが、大麻リキッドは簡易鑑定を行うことができないため、一旦帰宅を許された後に通常逮捕されることとなります。
在宅起訴されるケース
上述した通り大麻事件においては、その多くが現行犯として逮捕され、その他のケースでも一旦帰宅が許された後に通常逮捕となることが殆どです。
しかし、大麻の共同所持が認定できるか微妙なケース(現場に被疑者以外にも複数人がいた事例)や、大麻の所持量や態様から、故意に大麻を所持していたと立証できない証拠不十分な事件では、逮捕を行わずに在宅捜査となるケースもあります。
在宅捜査となった場合には、不起訴処分となることも多いですが、立証可能と判断された場合には、在宅起訴されることとなります。
大麻で在宅起訴される条件
ここでは、大麻で在宅起訴される3つの条件について見ていきます。
- 比較的軽微な事件であること
- 逮捕や勾留の必要性がないこと
- 被疑者に医療が必要な場合
1つずつ、見ていきましょう。
比較的軽微な事件であること
大麻事件で在宅起訴される条件の1つとして、比較的軽微な刑事事件であることが挙げられます。
大麻の所持量がごく微量であった場合や被疑者本人に反省が見られる場合、前科・前歴の有無、家族関係、事案の悪質性など様々な事情が考慮され、事案ごとに個別判断が行われます。
一方で、悪質性が認められるケースや重大事件と判断される事例としては、再犯である場合や営利目的で販売を行った場合などを挙げることができ、後者の場合には、7年以下の懲役と200万円以下の罰金が併科される可能性があります。
逮捕や勾留の必要性がないこと
従来、大麻や覚醒剤などの薬物事件においては、関係者との口裏合わせや証拠隠滅防止等の観点から、勾留による身体拘束を行うことが必須といわれていました。
しかし、被疑者本人が初犯の末端ユーザーであり、罪を認め反省が見られる場合などでは、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断され、在宅起訴となるケースがあります。
また、専門機関による薬物依存症回復治療の実施や、ダルクなどの更生支援施設の入所意思の有無なども、在宅起訴として事件を取り扱うための考慮要素となる場合もあります。
逮捕や勾留による身体拘束を避けるためには、弁護人による意見書の提出が重要視されており、一刻も早く弁護士へと相談を行う必要があります。
被疑者に医療が必要な場合
重大な大麻事件であっても、逮捕又は勾留することにより被疑者が受ける身体拘束の影響が大きいと認められる場合には、在宅起訴が行われる場合があります。
具体的には、怪我や病気・高齢者・妊娠後期など、被疑者が定期的に医療や介護を受ける必要があると判断された場合で、逮捕又は勾留に耐えることができないと認められるケースを挙げることができます。
大麻で在宅起訴されるとどうなるか
では、大麻で在宅起訴されるとどうなるのか、具体的な流れについてご説明します。
- 刑事裁判になる
- 前科が付く
- 日常生活に影響が出る
1つずつ、見ていきましょう。
刑事裁判になる
刑事裁判とは、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にどの様な刑罰を科すべきか判断を行う手続きのことを指し、裁判においては、無罪判決・執行猶予付き判決・実刑判決のいずれかが決まります。
前科が付く
刑事裁判の場で有罪判決を言い渡されると前科が付くこととなります。
前科は、有罪判決を言い渡された場合に付くもので、罪を犯したことが認められたことを表すものです。
仮に、執行猶予付き処分が言い渡された場合でも前科が付く点には注意が必要です。
前科が付くことによって、海外旅行への規制や一定の職業制限(国家公務員・医師等)を受ける他、国家資格の受験が行えなくなるなど、日常生活において様々な支障をきたす可能性があります。
また、懲役刑のみならず、略式命令を受けた場合でも前科が付くという点にもご留意ください。
日常生活に影響が出る
大麻をはじめとした薬物事件においては、被疑者本人が犯行を認めている場合や軽微な事件を除いては、逮捕・勾留による身柄拘束が行われた上で捜査が行われることが一般的です。
勾留による身柄拘束は、起訴前で最大で20日と長期間に渡るケースが多く、起訴されてしまうとそのまま更に身柄拘束が続くこととなります。
長期に渡る身柄拘束が続けば当然職場や学校などに通うことはできず、加えて、大麻事件を起こしたことを周囲に知られてしまえば社会的に大きな信頼を失うこととなってしまいます。
結果として、被疑者自身が懲戒解雇や自主退学へと追い込まれてしまう事例はもちろん、バッシング等で家族へまで飛び火するケースも多く報告されており、日常生活に大きな影響を及ぼすこととなります。
また、大麻や覚醒剤等の薬物事件では、その依存性も大きな問題となっています。薬物依存状態となってしまうと、自身の意思だけでは薬物を断ち切ることが極めて困難となります。
もう一度薬物による快楽を味わいたいという欲求や、薬が切れた際の不安感や徒労感などから逃れるために、窃盗・傷害・殺人事件などの重大犯罪を起こしてしまうというケースも珍しくなく、社会復帰はもちろん、通常の日常生活を送ることにも支障が出る可能性があります。
一度薬物に手を出してしまえばあなた自身や家族等の周囲の人々の人生をも大きく狂わせてしまうこととなります。決して安易な気持ちで大麻を所持・使用してはいけません。
大麻で在宅起訴となった場合に弁護士ができること
ここまで大麻で在宅起訴されるのか、条件と逮捕後の流れについて見ていきました。では、大麻について弁護士に依頼をすると、何をしてくれるのでしょうか。弁護活動について紹介します。
- 不起訴・無罪判決のための証拠収集
- 執行猶予を目指す
1つずつ、見ていきましょう。
不起訴・無罪判決のための証拠収集
大麻取締法違反に該当する事実がない場合や、その事実があっても証拠が不十分である場合、弁護士は不起訴処分に持ち込むための捜査対応、起訴されたときには検察官の証拠が不十分であることを指摘するとともに、犯罪が成立しないことを示す当方に有利な証拠を提出していきます。
自身の日常生活を守り早急な社会復帰を目指すためにも、迷うことなく薬物事件に強い弁護士への相談を行うことが大切です。
執行猶予を目指す
起訴されることが決定した場合でも、起訴猶予を目指すために行ってきた弁護活動が無駄になることはありません。刑事裁判において、これまでの被疑者の主張が情状として考慮され、執行猶予付き判決を勝ち取ることができる場合があります。
薬物事件においては、個人使用や初犯の場合、被疑者に反省が見られる場合などでは執行猶予付きの判決となる場合が多いです。
しかし、営利目的で製造販売を行った場合や、再犯のケースは実刑判決となる可能性が高まりますが、再犯防止のために家族や友人によるサポートを得ることや生活の見直しを約束することで、刑事裁判において執行猶予付きの判決を勝ち取ることができる場合もあります。
執行猶予付きの判決では前科は付いてしまうものの、服役することなく日常生活を送ることや、学校や勤務先などに通い1日も早い社会復帰を目指すことができます。
不起訴処分や執行猶予付き処分を勝ち取るための弁護活動はもちろん、被疑者が再び事件を起こすことなく生活を送るためのサポートも弁護士の職務ですので、安心してご相談ください。
大麻で在宅起訴されたなら早急な弁護士への依頼が必要
今回は、薬物事件に強い弁護士が、大麻事件で在宅起訴される場合の条件と逮捕後の流れ、弁護士による弁護活動について解説しました。
大麻事件においては、大麻の所持量がごく微量のケースや被疑者に反省が見られる場合、初犯の末端ユーザーである場合など、軽微な刑事事件と認められる際や、被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断された場合には在宅起訴となることがあります。
在宅起訴となった場合、勾留による身体拘束が行われないため通常通りの生活を送ることが可能ですが、対応を誤ってしまえば職場の懲戒解雇や学校を自主退学へと追い込まれてしまうことも珍しくありません。
不起訴処分を目指す、またその後の刑事裁判において無罪判決や執行猶予付き処分を目指すためには、弁護士による早急な弁護活動が必要となりますが、より被疑者にとって有利な結果を勝ち取ることができるかどうかは、弁護士の経験や技量、熱量なども大きく影響します。
あなた自身の日常生活や社会的信頼を守り一刻も早い社会復帰を目指すためにも、躊躇うことなく薬物事件に強い弁護士への相談をご検討ください。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設