- 大麻事件では有罪が確定なのか
- 大麻事件で無罪判決の事例を知りたい
- マリファナ事件で無罪になるためにできることは
大麻事件で逮捕された場合、高い確率で有罪が確定する傾向にあります。逮捕されたとしても、たとえば事実無根の場合などの被疑者は無罪判決を獲得したいと考えるでしょう。そのためには対策としてまず知識・事例を抑えておく必要があります。
そこで今回は、大麻で無罪判決を獲得するために知っておきたいこと、逮捕から無罪判決を獲得するまでの流れ、弁護士ができること、実際の判例を解説します。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
大麻事件で無罪判決を獲得するために知っておきたいこと
大麻事件で無罪判決を獲得するために知っておきたいこととして、以下の2つを解説します。
- 大麻事件の傾向と起訴率
- 大麻事件で逮捕されるタイミング
1つずつ、見ていきましょう。
大麻事件の傾向と起訴率
1つ目は大麻事件の傾向と起訴率です。
大麻事件では逮捕される確率が高くなっています。なぜなら、証拠隠滅・再犯の可能性があるからです。また、仲間に情報が漏れたり、口裏を合わせたりする危険性も否定できません。大麻取締法での起訴は、2008年から2009年の1年間にかけて、2,484人と増加傾向でした。しかし、翌年から減少傾向になりましたが、2018年以降は増加傾向です。
起訴率は約50%と、2人に1人が起訴されています。大麻事件で逮捕された場合は、起訴される確率が高いと言えるでしょう。
大麻事件で逮捕されるタイミング
2つ目は、大麻事件で逮捕されるタイミングです。
大麻事件で逮捕されるタイミングとして、職務質問による現行犯逮捕・周囲からの情報提供が挙げられます。たとえば巡回中の警察官が怪しいとおぼしき人物に声をかけて、職務質問をしたときに持ち物検査を実施します。
カバンの中からポケットの中まで怪しいと思われるところはすべて調べられます。そのときに、所持していることがわかると現行犯逮捕されてしまいます。また、同時に尿の簡易検査が行われ、他の薬物の使用があるかどうかもチェックされることもあります。
他にも所持・使用を口外するなど、他人に知られた場合、その人が警察に情報提供をする可能性もあります。
大麻事件での逮捕から無罪判決を獲得するまでの流れ
大麻事件での逮捕から無罪判決を獲得するまでの流れとして、以下の5つを解説します。
- 逮捕
- 司法警察職員から検察官への送検
- 勾留
- 起訴・不起訴決定
- 裁判
1つずつ見ていきましょう。
逮捕
1つ目は逮捕です。
大麻を所持や譲渡した人は大麻取締法に違反し、逮捕されます。所持や栽培していた乾燥大麻はその場で押収され、現行犯逮捕される場合もあります。ただし、大麻を使用することに関しては、罪に問われません。
司法警察職員から検察官への送検
2つ目は司法警察職員から検察官への送検です。
逮捕後、司法警察職員によって取り調べが行われます。そして、取り調べの後、48時間以内に検察官へ送検されます。
勾留
3つ目は勾留です。
送致後、検察官は勾留請求を行うのか判断します。勾留請求があると裁判官は、被疑者を勾留する必要があるのか見極めます。
勾留が決定されると、勾留期間は勾留請求を出した日から10日間です。延長が必要と判断した場合はさらに10日間の勾留が認められます。
大麻事件においては、検察官の勾留請求率が98.7%と高い数値になっていますが、弁護士が介入すれば、勾留を回避できる場合があります。
起訴・不起訴決定
4つ目は起訴・不起訴決定です。
勾留期間中、検察官は起訴または不起訴を決めます。捜査した結果、有罪になる証拠が揃った場合は起訴される確率が高まります。
しかし、弁護士によって、本人が十分に反省していること・釈放後には家族のサポートが受けられること・治療が必要な場合は療養先の目処があることなどを主張することで、起訴猶予を獲得できる場合があります。
裁判
5つ目は、裁判です。
裁判は通常の裁判と即決裁判の2つです。通常の裁判は、多くの場合1か月〜2か月の期間で判決が出されます。ただし、複雑な事件に限っては期間が延びる可能性があります。
一方、即決裁判は原則1回の審理で判決が出るケースです。通常の裁判に比べ、素早く判決を出しますが、即決裁判は有罪になり、執行猶予がつきます。
大麻事件で無罪判決を獲得するために弁護士ができること
大麻事件で無罪判決を獲得するために弁護士ができることとして、以下の3つを解説します。
- 迅速な接見での打ち合わせ
- 起訴される前の捜査段階での不起訴処分
- 否認の裏付けを裁判で明らかにする
1つずつ、見ていきましょう。
迅速な接見での打ち合わせ
1つ目は、迅速な接見での打ち合わせです。
弁護士は被疑者が逮捕後、接見できる唯一の存在です。迅速に接見する弁護士であれば、今後の打ち合わせや事実確認などを素早く行ってくれます。
刑事事件では、初動の早さが判決に影響を与えます。迅速な対応を行ってくれる弁護士は、被疑者の意向に沿った結果に導いてくれるでしょう。
起訴される前の捜査段階での不起訴処分
2つ目は、起訴される前の捜査段階での不起訴処分です。
弁護士は、起訴が決まる前に、起訴猶予・嫌疑なし・嫌疑不十分などによる不起訴処分への働きかけが可能です。
起訴猶予の判断内容として、所持・使用していた大麻の量が微量であったことなどが挙げられます。嫌疑なし・嫌疑不十分に対しては、弁護士から判断材料として意見書を提出します。意見書によって、嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
否認の裏付けを裁判で明らかにする
3つ目は否認の裏付けを裁判で明らかにすることです。
起訴された後、弁護士は裁判で否認、つまり犯罪は成立しないことを裏付ける証拠の提出を行うこともあります。犯罪を証明しないといけないのは検察官であり、被告人は犯罪が成立しないことを証明する必要はありません。検察官の証拠では犯罪を証明できないことを主張しつつ、可能な限り被告人の主張を裏付ける証拠を提出していくのです。
大麻事件で無罪判決を獲得した事例を紹介
大麻事件で無罪判決を獲得した事例として、「職務質問が違法だった事例」として仙台地裁の判決を解説します。
仙台地裁は、大麻所持による大麻取締違反の罪に問われた男性に対して、「令状主義の精神を没却する重大な違法があった」として無罪を言い渡しました。
警察官の強引な行動が問題になりました。警察官は職務質問を行った男性の車のドアを許可なく開いたり、5時間にも及ぶ長い時間その場から動けないようにしたりと違法行為におよびました。さらに、被疑者への所持品検査が許容限度を超えていたことを指摘します。
裁判では違法性が認められ、無罪になりました。
まとめ
今回は、大麻で無罪判決を獲得するために知っておきたいこと・逮捕から無罪判決を獲得するまでの流れ・弁護士ができること・実際の判例を解説しました。
大麻事件では逮捕や起訴される確率が高く、身柄を拘束される可能性が高いと言えます。そのため、被疑者や家族は早期に弁護士に相談し、弁護活動を開始してもらうことが望ましいでしょう。弁護士からアドバイスをもらったり、不安を解消してもらったりと全面的にサポートしてもらいましょう。
大麻事件で、無罪判決を勝ち取りたいのであれば、最後まで諦めずに寄り添ってくれる弁護士がおすすめです。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設