• 薬物事件で逮捕されたらどのくらい勾留されるのか?
  • 薬物事件で早期に勾留から解放される方法はあるのか?
  • 薬物事件で勾留されたとき弁護士は何をしてくれるのか?

薬物事件で逮捕されると、どのくらい勾留されることになるのかと不安を抱かれるのではないでしょうか。「早期に勾留から解放される方法はあるのか」「弁護士に依頼すると、早期釈放はされるのか」などの心配や疑問をもつ方も多いです。

そこで今回は、薬物事件に精通している実績のある弁護士が、薬物事件で勾留になるパターンや早期釈放を目指すためにできることについて解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

刑事事件でお困りの方へ

・無料相談受付中・全国対応

24時間・土日祝日も受付0120-855-995

薬物事件で逮捕されたら勾留は確実なのか?

薬物事件で逮捕されたら勾留は確実に行われるのでしょうか?以下の流れに沿って解説します。

  • 薬物事件とは?
  • 薬物事件での処罰
  • 高い確率で勾留される

1つずつ解説します。

薬物事件とは?

1つ目は、薬物事件について解説します。

薬物事件とは、覚醒剤や大麻・コカイン・MDMA・向精神薬・指定薬物・危険ドラッグなどの薬物を取り締まる法律に違反した場合に成立する犯罪を指します。

薬物事件の対象となる薬物の濫用は、人の精神や身体を蝕みます。依存性や中毒症状から社会生活に支障をきたすだけでなく、幻覚・妄想等の精神障害に陥ることも多く、家族にも多大な負の影響があります。

関連記事:薬物事件の捜査はどのように行われる?一連の流れを専門弁護士が解説

薬物事件での処罰

2つ目は、薬物事件での処罰についてです。

薬物事件では、覚醒剤取締法違反・大麻取締法違反・麻薬および向精神薬取締法違反・都道府県の条例によって罰せられます。

罰せられる行為としては、適用される法律によって所持・使用・栽培・製造・輸出入などがあります。中でも営利を目的とした場合は拡散の恐れがあるため、罰則が重くなっています。

高い確率で勾留される

3つ目に、高い確率で勾留されることを解説します。

薬物は依存性が強いことに加え、隠匿・滅失・投棄・焼却等が容易で証拠隠滅のおそれが高い特徴があります。それらの理由から、薬物事件では一般的に勾留される確率が高いといえます。

出典:覚醒剤取締法 | e-Gov法令検索
出典:大麻取締法 | e-Gov法令検索
出典:麻薬および向精神薬取締法 | e-Gov法令検索
関連記事:薬物の所持で考えられる処罰と不起訴を目指すための方法を弁護士が解説

刑事事件に強い弁護士による逮捕・不起訴・裁判の無料相談!

薬物事件で勾留になる逮捕のパターン

薬物事件で勾留になるパターンには現行犯で逮捕されたとき・売人が逮捕されたときの2つがあります。

現行犯での逮捕は、その場で簡易検査を実施し、違法薬物の陽性反応が出れば現行犯逮捕となります。たとえば、警察官が挙動不審な人物に職務質問をして所持品検査をした結果、違法薬物と疑われる物品が発見されたり、別件で家宅捜索を実施したとき、違法薬物と疑われる物品が発見されたりするパターンがあります。

売人が逮捕されたころから、客が逮捕されるケースもあります。警察官・検察官による売人の取調べにおいて、売人が譲り渡した相手の客を自白した場合などに、客の薬物事件への関与が発覚します。その場合、通常、逮捕状により客も後日逮捕となります。

刑事事件に強い弁護士が逮捕・不起訴・裁判を強力解決!

薬物事件での逮捕・勾留開始からの流れ

ここでは、薬物事件での逮捕・勾留開始からの流れについて解説します。

  • 逮捕
  • 勾留開始
  • 起訴・不起訴の処分
  • 刑事裁判

1つずつ解説します。

逮捕

1つ目は、逮捕です。逮捕には、通常逮捕(後日逮捕)・現行犯逮捕・緊急逮捕の3つがあります。通常逮捕では警察官が逮捕状を持って薬物事件の被疑者を逮捕しますが、現行犯逮捕は逮捕状がなくてもその場で逮捕が可能です。

例えば職務質問から薬物の所持が発覚した場合・簡易検査で陽性反応を示した場合などが考えられます。緊急逮捕は、殺人罪・傷害罪・強盗罪など重罪に対して可能な逮捕です。要件の1つに「3年以上の懲役・禁固刑」があるため、薬物事件においても緊急逮捕は可能といえます。

勾留開始

2つ目は、勾留開始です。

司法警察員は、逮捕された被疑者に対して所要の手続きを行います。留置の必要があると判断したときは、被疑者が身体を拘束されたときから48時間以内に、被疑者を検察官に送致する手続きをとります。

次に検察官は、被疑者に弁解の機会を与えて弁解録取書を作成します。留置の必要があると判断したときは、被疑者を受け取ったときから24時間以内で、かつ最初に被疑者が逮捕されたときから72時間以内に、裁判官に被疑者の勾留を請求します。

裁判官は、検察官の勾留請求を受け、被疑者に対し勾留質問を行います。そして勾留の理由および必要性があると判断したときは、検察官の勾留請求の日から10日間の拘束を認める勾留決定をします。

薬物事件については、10日間の勾留期間の延長が可能で、勾留請求の日から最長で20日間の勾留となる場合があります。逮捕による最大72時間の拘束時間を合わせると、身柄拘束期間は最長で23日間です。

起訴・不起訴の処分

3つ目は、起訴・不起訴の処分についてです。

検察官は、原則として10日間の勾留期間内で起訴・不起訴の判断を行います。勾留期間が延長された場合には、その勾留期間内で、起訴・不起訴の判断をします。

検察官は、受理した薬物事件の被疑事実について、的確な証拠に基づき有罪判決が得られる見込みが高い場合は起訴し、被疑事実について有罪判決の見込みがなければ、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」などの理由で、それぞれ不起訴の処分をします。

起訴された場合の起訴後の勾留期間は、公訴の提起のあった日から2か月です。特に継続が必要な場合には、1か月ごとに更新されます。

刑事裁判

4つ目は、刑事裁判です。

刑事裁判は、被告人が、起訴された犯罪事実を犯したかどうか(有罪かどうか)を認定するとともに、有罪と認定した場合には、被告人に科すべき刑の種類および重さを決める(量刑)手続きです。

刑事裁判の手続きは、検察官が裁判所に対して被告人の処罰を求めて訴えを起こす「起訴」によって開始されます。

刑事裁判の手続きは、以下の4つです。

  1. 冒頭手続き
  2. 証拠調べ手続き
  3. 論告・弁論手続き、
  4. 判決宣告手続き

1つずつ解説します。

冒頭手続き

冒頭手続きでは、裁判所に出頭した被告人が人違いでないかどうかを確認するための人定質問に引き続き、検察官が起訴状の朗読を行います。その後、裁判官が被告人に対し、黙秘権などの権利の説明をした上、起訴事実に対する陳述の機会が与えられます。

証拠調べ手続き

証拠調べ手続きでは、一般的には証人・証拠書類・証拠物の取調べが行われます。被告人には黙秘権がありますが、被告人が自ら供述する場合には、被告人に対する質問が行われ、その結果も裁判の証拠となります。

たとえ起訴された事実関係に争いがない場合であっても、情状証人やその他の情状に関する証拠が取り調べられるのが通常です。

論告・弁論手続き

論告・弁論手続きでは、まず検察官が論告を行い、事実認定や法律の適用に関する意見を述べ、通常は最後に、相当と考える刑を述べます。

次に弁護人が弁論を行います。事実認定と法律の適用に関する意見を述べ、有罪を争わない事件においては「執行猶予が相当」などの量刑に関する意見を述べます。

手続きの最後では、被告人に対して事件についての意見を述べる機会が与えられます(最終陳述)。

判決宣告手続き

冒頭手続き・証拠調べ手続き・弁論手続きが終わると裁判所は審理を終結し(結審)、その後判決が宣告されます。

薬物事件での勾留から早期釈放を目指すためにできること

薬物事件での勾留から早期釈放を目指すためには、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。

薬物事件で逮捕されている場合、最短での釈放を目指すためには初動のスピードが重要です。逮捕されてから72時間は被疑者は、証拠隠滅や関係者への口封じなどを防ぐため、弁護士以外とは面会ができません。

被疑者本人が身動きがとれないため、家族が被疑者本人に代わって、すぐにでも弁護士に依頼することで、初動が早まります。

深夜の逮捕であってもかけつける方針の法律事務所もあるため、そのようなところに依頼すると被疑者本人・家族にとっては心強いでしょう。

また、被疑者の家族の方は、逮捕中は被疑者と接見できないため、携帯電話・LINEなど連絡手段が豊富な弁護士がおすすめです。

まとめ

今回は、薬物事件に精通している実績のある弁護士が、薬物事件で勾留になるパターンや早期釈放を目指すためにできることについて解説しました。

薬物事件で逮捕された場合、原則として勾留は免れません。しかし、弁護士に依頼することで早期に勾留からの解放に向けた動きができ、早期釈放の可能性が高まります。薬物は依存性も高いため、社会復帰後に更生するには、家族の支えが欠かせません。

薬物事件で逮捕された場合には、被疑者本人だけでなくその家族の方であっても、ぜひ専門の弁護士へ相談することをおすすめします。

家族が逮捕されたら!即日の接見を専門弁護士に依頼!

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設