覚醒剤で不起訴処分の可能性はあるのか
覚醒剤事件で不起訴処分となる条件・ケースを知りたい
弁護士は不起訴処分のためにどのような活動をしてくれるのだろう
覚醒剤取締法違反で逮捕されると、高確率で起訴されてしまうというデータがあります。
また、覚醒剤事件における刑罰は、「懲役」または「懲役・罰金刑の併科」と重い罪を科せられることとなります。
起訴されてしまえば、社会的信頼を大きく失うことは免れ得ないことはもちろん、日常生活に与える影響も計り知れません。そのため、弁護士による弁護活動を通じて早期に不起訴処分の獲得を目指す必要があります。
そこで今回は、薬物事件に強い弁護士が、覚醒剤事件で不起訴となるケースや、不起訴に強い弁護士の特徴について解説します。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
覚醒剤で不起訴となる可能性
まずは、覚醒剤で不起訴となる可能性について、基本を確認しておきましょう。
- 大半が起訴される
- 状況によっては不起訴処分もある
- 執行猶予付きの判決も
1つずつ、見ていきましょう。
大半が起訴される
令和2年版犯罪白書によると、令和元年において発覚した覚醒剤事件における起訴率は75.7%で、約4人中3人が起訴されています。
一方で、起訴猶予率は9.1%程度に留まっています。その背景として、覚醒剤事件は覚醒剤所持による現行犯逮捕や、挙動不審であるための職務質問と任意の尿検査により陽性反応が出た結果、通常逮捕されるケースが大半であり、言い逃れが難しいことが考えられます。
他にも、法定刑が重いことや、再犯率が高く、再犯の場合には情状を考慮して起訴猶予にされる可能性が低いことも理由です。
状況によっては不起訴処分もある
覚醒剤事件は、その多くのケースで明確で具体的な証拠があることから、起訴処分を免れることは容易ではありません。
しかし、一緒にいた友人が所持していたもので本人は無関係である場合や全く身に覚えのない場合、事実と異なる場合には、不起訴処分を勝ち取ることができる可能性もあります。
この場合には、弁護士による弁護活動や取調べ時の対応が非常に重要です。
身体拘束から免れるために嘘の自白をしたり、供述が二転三転したりすれば、信用性がないと判断されてしまい、不利な状況へと追い込まれてしまいます。
早期に弁護士との面会を実施し、容疑をかけられるまでの経緯や友人等の関係性を詳細に伝えることで、取調べに臨む上での心構えやアドバイスを受け、冷静な対応を行うことができます。
執行猶予付きの判決も
覚醒剤事件における刑罰は、「懲役」または「懲役・罰金刑の併科」と、重い罪が予定されており、実刑判決を受けてしまった場合には、日常生活や社会的信頼に大きな影響を及ぼすことは免れ得ません。
明確で具体的な証拠があり起訴処分を逃れることが難しい場合や、容疑の内容が事実である場合には、速やかに罪を認めた上で減刑や執行猶予付き処分を目指すこともできます。
減刑や執行猶予付き処分を目指すためには、「反省の態度や専門機関による薬物克服プログラムを受ける意思が見られること」「覚醒剤の入手ルートを正直に話す等、被疑者本人が再犯防止に努め、更生の可能性が高いこと」を弁護活動の中で主張する必要があります。
懲役刑による実刑・執行猶予付き処分のいずれも前科が付くことは免れることはできませんが、懲役刑の減刑が行われれば早期の社会復帰を目指すことが可能です。執行猶予付き処分の場合には身体拘束を受けることなく日常生活を送ることができます。
覚醒剤で不起訴となるケース
ここでは、覚醒剤で不起訴となる3つの条件について見ていきます。
- 事実と異なる場合
- 身に覚えがない場合
- 証拠が不十分な場合
1つずつ、見ていきましょう。
事実と異なる場合
覚醒剤を所持・使用している家族や友人がたまたま同居していた、偶然覚醒剤が使用されている場に居合わせてしまったことを理由に自身が被疑者となった場合等、事実と容疑が異なる場合には不起訴処分となる可能性があります。
自身の冤罪を証明するためにも、尿検査等に積極的に協力を行うことや、取調べのときに意図せずして不利な証言を行わない様に、事前に弁護士からアドバイスを受けることが大切です。
身に覚えがない場合
持ち物の中に「パケ」と呼ばれる覚醒剤の小袋を仕込まれた場合等、覚醒剤の所持・使用を疑われているものの、本人に全く身に覚えのないケースも不起訴処分となる可能性があります。
この場合にも、取調べに協力するべきかどうかの検討や、弁護士に対して容疑をかけられるまでの経緯や交友関係をしっかりと伝えた上で、監視カメラによる映像や証言等の不起訴処分を勝ち取る為の証拠収集が大切です。
証拠が不十分な場合
過去に覚醒剤を譲り受け使用した経験がある場合は、逮捕される可能性が高いです。
しかし覚醒剤使用の罪は、尿検査の実施により立証されることが通常であることから、尿検査で陽性反応が出なければ、証拠不十分として不起訴となる可能性があります。
また、何らかの形で少量の覚醒剤が衣類に付着してしまった場合等でも、所持の故意(覚醒剤を所持していることの認識)が認められず、覚醒剤所持罪が成立しない場合もあります。
弁護士のアドバイスにより、不起訴処分を勝ち取ることができた事例は多く存在しますので、諦めることなく相談をご検討ください。
覚醒剤で不起訴を目指すには何をすべきか
では、覚醒剤で不起訴を目指すためには何をすべきかについてご説明します。
- やっていない証拠を集める
- 弁護士への相談
1つずつ、見ていきましょう。
やっていない証拠を集める
覚醒剤事件で不起訴を目指すためには、被疑者本人が覚醒剤を所持・使用していないという証拠を集めることも検討します。
尿検査へ積極的に協力を行うことはもちろん、家族や友人などの証言、監視カメラの映像等の証拠収集も可能かもしれません。また、自身にとって不利益な事実と異なる証拠を作らせない対応を取ることも重要です。
具体的には、身体拘束から早期に解放されたいがために、嘘の証言や署名押印をしない、自身に不利益な取調べに対しては黙秘権を行使する等があります。
2019年6月より取調べの可視化が進められていますが、対象とされるのは検察の独自捜査事件と裁判員裁判対象事件のみと、まだ十分な運用が行われているとはいえません。
冤罪を防ぐという意味でも、取調べ前に受ける弁護士からのアドバイスは重要な役目を果たします。
「攻め」と「守り」両方の観点から、被疑者にとって有利な証拠、状況を揃えることが、不起訴処分を勝ち取るための鍵となります。
弁護士への相談
覚醒剤事件で不起訴処分を勝ち取るためには、薬物事件に強い弁護士による弁護活動が何よりも重要です。
多くの方の場合、慣れない身体拘束や取調べに対する動揺から、自身にとって不利益な証言や嘘の証言を行ってしまう傾向にあります。
その結果、不起訴処分や減刑を勝ち取ることができたはずの事件でも、長期間に渡る身体拘束を受けることや前科がつくことも珍しくなく、社会的な信頼を失いかねません。
覚醒剤事件を起こしたことを周囲に知られてしまえば、自身が職場や学校に通えなくなるだけではなく、家族や友人へもバッシングが向かう可能性があります。そうならないためにも早期に弁護士へ相談を行い、不起訴処分を目指さなければなりません。
覚醒剤で不起訴に強い弁護士の特徴
ここまで覚醒剤で不起訴となる可能性、不起訴となるケース、不起訴を目指すために何をすべきかについて見ていきました。
それでは、覚醒剤事件で不起訴を目指すためにはどのような弁護士を選ぶべきでしょうか。具体的な特徴について説明します。
- 覚醒剤事件について経験豊富な弁護士か
- 適正価格か
1つずつ、見ていきましょう。
覚醒剤事件について経験豊富な弁護士か
覚醒剤事件で不起訴処分を目指すためには、薬物事件に強い経験豊富な弁護士を選ぶことがポイントです。
弁護士はプロの法律家ですが、その中でも企業法務に特化して活動を行う方や、刑事事件を得意とする方等、専門分野は様々です。
覚醒剤事件においては、どの様なケースで起訴・不起訴となるのかに詳しい弁護士や、薬物事件の解決実績が豊富な法律事務所を選ぶ必要があります。
また、不起訴処分を勝ち取ることが困難な事例でも、弁護活動によっては減刑や執行猶予付き処分を目指すことができます。
依頼主が再び事件を起こさないためにも、専門機関による治療や自助グループへの参加の手助け等、再発防止やアフターケアに力を入れた弁護活動を行う、熱意のある弁護士を選ぶことも重要です。
適正価格か
弁護士や法律事務所を選ぶ上では、適正な報酬価格が設定されているかという点もポイントとなります。
弁護士費用は、依頼する弁護士や法律事務所によって大きく変わります。先述した通り、覚醒剤事件においては、約76.9%と高い確率で起訴されるという特徴があります。不起訴処分・減刑・執行猶予付き処分等の依頼主にとって有利な結果を勝ち取ることができた場合には、その分弁護士費用が高額となってしまうかもしれません。
薬物事件の解決実績が豊富な法律事務所であれば、不起訴処分等の有利な結果を勝ち取ったときの弁護士費用についても明確に設定されているため、納得した上で報酬の支払いを行うことができます。
また、複数の候補の中からどの弁護士や法律事務所を選ぶか悩まれている場合には、直接法律事務所まで足を運び、弁護士費用や事件解決に向けた熱意等について詳しく確認することをおすすめします。
まとめ
本記事では薬物事件に強い弁護士が、覚醒剤事件で不起訴となるケースや、覚醒剤事件で不起訴に強い弁護士の特徴について解説しました。
覚醒剤事件は多くの場合で、起訴されてしまうというのが実情です。
しかし、被疑者本人が実際に覚醒剤を使用していない事例や全く身に覚えのないケースでは、早急に弁護士へと相談を行うことで不起訴処分を勝ち取る可能性が十分にあります。また、不起訴処分を勝ち取ることが難しい場合でも、弁護活動によって減刑や執行猶予付き処分を目指すことも可能です。
早期に弁護士からアドバイスを受けることは、自身の日常生活を守り1日も早い社会復帰を目指すことはもちろん、家族や友人などあなたにとって大切な方を守ることにも繋がります。
万が一覚醒剤事件を起こしてしまった場合には、迷うことなく薬物事件の解決実績が豊富な弁護士や法律事務所へご相談ください。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設