• 指定薬物で逮捕されたら、保釈の可能性はあるのか?
  • 保釈される条件を知りたい
  • 指定薬物の保釈されるメリット・デメリットを知りたい

指定薬物事件で逮捕・勾留され、長期間に渡って身柄の拘束を受けている場合、「保釈で身柄の解放をしてほしい」という相談が少なくありません。しかし、保釈は起訴された後でなければ請求できず、保釈金の納付や一定の条件を満たさなければなりません。

あらかじめ、どのようなケースであれば保釈が認められるのかや、保釈が及ぼす日常生活への影響を知っておくと、万が一の際に早期の身柄の解放に向けて動くことができます。

そこで今回は、薬物事件の対応実績豊富な弁護士が、指定薬物で保釈される条件や、保釈を得るための弁護活動について詳しく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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指定薬物事件で保釈を得るための条件

まずは指定薬物事件で保釈を得るための条件について、以下2点を説明します。

  • 保釈される条件
  • 初犯の場合保釈の可能性は低くない

それぞれ解説します。

保釈される条件

まずは保釈が認められるための条件を説明します。

刑事訴訟法第89条で、被告人が以下の6つの要件のいずれにも該当しなければ、権利保釈の対象として保釈されます。

  1. 被告人が、死刑又は無期、若しくは短期1年以上の懲役、若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
  2. 被告人が、前に死刑又は無期、若しくは長期10年を超える懲役、若しくは禁錮に当たる罪につき、有罪の宣告を受けたことがあるとき
  3. 被告人が常習として、長期3年以上の懲役、又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
  4. 被告人が、罪証を隠滅すると疑うに足りる、相当な理由があるとき
  5. 被告人が、被害者その他事件の審判に、必要な知識を有すると認められる者、若しくはその親族の身体、若しくは財産に害を加え、又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる、相当な理由があるとき
  6. 被告人の氏名、又は住居がわからないとき

上記の要件に当たらないケースでも、仕事上どうしても被告人の出社が必要である場合や、被告人に対して入院等による病気の治療が必要な場合に、裁判官が職権で保釈を認めるケース(裁量保釈)、勾留が不当に長期化しているケース(義務的保釈)でも認められる場合があります。

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初犯の場合保釈の可能性は低くない

初犯である場合には、刑事訴訟法第89条の各条項にあてはまらないケースがほとんどであるため、保釈される可能性は低くありません。

ただし保釈を勝ち取るためには、裁判官が重視する点を踏まえた保釈請求書を作成することや、裁判官との面接など専門的な対応が重要となります。

1日も早く日常生活を取り戻すためにも、早い段階で弁護士に対して弁護活動を依頼することが重要です。

関連記事:指定薬物使用は罪にあたるのか?影響やすべきことについて徹底解説

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指定薬物事件で保釈を得られた場合のメリット

指定薬物事件で保釈を得られた場合のメリットとして、以下3点を説明します。

  • 日常生活を続けられる
  • 裁判への準備期間ができる
  • 家族からサポートを受けられる

それぞれ解説します。

日常生活を続けられる

1つ目は、日常生活を続けられることです。

保釈されると、通勤や通学など基本的には起訴される以前の生活を送ることができます。
特に、就業されている方の場合、生活基盤の安定や有利な情状へと繋がることから、積極的に通勤を行いたいところです。

ただし、裁判を受ける前の身であるため、裁判所から指定された一定の条件に違反しないという制約は設けられます。

一定の条件には、たとえば以下のようなものがあります。

  • 裁判所から呼び出された場合に出頭すること
  • 裁判所が指定する制限住居で生活すること
  • 証拠隠滅や逃亡を企てたり事件関係者と接触しないこと
  • 3日以上の旅行や海外旅行をするときには、事前に裁判所の許可を受けること

これらに違反すると保釈が取り消されたり、保釈金が没収されたりするケースもあるので、注意が必要です。

裁判への準備期間ができる

2つ目は、裁判への準備期間ができることです。

薬物事件で起訴された場合、下記のような諸般の事情を考慮して刑罰が決定されます。

  • 被告人本人が罪を認め、反省の様子が見られるか
  • 前科の有無
  • 協力的に捜査に応じているか(薬物の入手ルートや共犯者の情報の提供)

薬物事件の対応実績が豊富な弁護士であれば、執行猶予付き処分の獲得や減刑など、起訴後も依頼者にとって有利な結果を勝ち取るための弁護活動が可能です。

上述したように、保釈中は事件前とほぼ同等の日常生活を送ることができるため、弁護士と時間をかけて相談することで、裁判に向けてしっかりと準備を整えることができます。

家族からサポートを受けられる

3つ目は、家族からサポートを受けられることです。

保釈中は、家族と直接会って話をすることができます。さらに、指定薬物に再び手を出さないためのケアや就業環境、住居の確保など、生活基盤を整えるためのサポートを受けることで、早期の更生が目指せます。

場合によっては、家族や親族へのケア・身辺整理をした上で服役することも可能であり、後述する家庭崩壊などを防ぐことにも繋がります。

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指定薬物事件で保釈を得られなかったときのデメリット

指定薬物事件で保釈を得られなかったときのデメリットについて、以下3点を説明します。

  • 職を失うことも
  • 十分な供述ができない
  • 家族への影響

それぞれ解説します。

職を失うことも

1つ目は、勾留が長期に渡り、職を失う場合があることです。

長期に渡る身体拘束を受け続ければ会社を休まざるを得なくなり、結果として薬物事件を起こしたことが会社にもばれてしまいます。

指定薬物等に手を出してしまった場合、多くのケースで解雇を免れることができないばかりでなく、その後の再就職も非常に困難となります。

生活への不安などから、別の重大犯罪へと手を染めてしまう事例も珍しくはなく、早期に身柄の解放を目指し、就業環境を守らなければなりません。

十分な証言ができない

2つ目は、裁判への準備不足から十分な供述ができないことです。

勾留による身柄の拘束を受けた状態では、弁護士との打合回数を十分に確保することができず、裁判において自身にとって有利な証言を行うことが困難となってしまいます。

家族への影響

3つ目は、家族への影響です。

起訴後の勾留期間には期限が設けられていないため、裁判が長引いてしまえば、それだけ家族に会うことができず、自身とその家族双方が不安な気持ちを抱いたまま日々を過ごすこととなってしまいます。

場合によっては、家族に対して謂れのないバッシングが飛び火することや、嫌がらせの矛先が向けられてしまうケースも珍しくありません。

勾留による長期の身柄拘束により家族に対するケアを十分に行うことができなかった結果、子どもの登校拒否や離婚など、家庭崩壊へと繋がるケースも多いです。

このように、保釈が認められない場合には、多くのデメリットを被る危険性があります。あなた自身はもちろん、家族などの身近な方・大切な方を守るためにも、保釈の獲得に向けて早急に弁護士へと相談を行いましょう。

指定薬物で保釈を得るための弁護活動

ここまで、指定薬物で保釈の可能性はあるのかについてと、保釈を得られた場合・得られない場合について解説しました。それでは、指定薬物で保釈を得るために、弁護士は何をしてくれるのでしょうか。ここでは、指定薬物事件における弁護活動について、以下2点を挙げて説明します。

  • 保釈請求
  • 保釈金の納付

それぞれ解説します。

保釈請求

活動の1つ目は、裁判所に対しての保釈請求です。

保釈請求とは、保釈金の納付等を条件とし、被告人の身柄を解放する様請求することをいいます。

刑事訴訟法第88条では、被告人本人またはその弁護人・法定代理人(父親や母親)・保佐人・配偶者・直系の親族若しくは兄弟姉妹が、保釈請求を行うことができると定められています。

本人やその家族でも保釈請求を行うことができますが、実務上では、自力で十分な保釈請求書を作成することは極めて困難であり、弁護人に対して依頼を行うことが一般的です。

薬物事件の対応実績が豊富な弁護士であれば、被告人本人に反省の様子が見られ、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことなどを裁判所へと主張し、保釈率を少しでも高めるための弁護活動を行うことができます。

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保釈金の納付

活動の2つ目は、保釈金の納付です。

保釈金は、被告人の家族や親族が現金で用意し、弁護士が裁判所の出納官吏か会計課へ納付します。

被告人が逃亡せずに裁判を終えた場合には、保釈金の全額が返還されるため、保釈金の納付時に返還先口座を記載した書面の提出も併せて行います。

現在では、事前登録を行うことによって銀行やネットバンキングで保釈金を電子納付することが可能となっています。保釈請求に慣れた弁護士であれば保釈が許可されたら即日、保釈金を納付して保釈されるよう無駄のない手配をしてくれます。

関連記事:指定薬物の再犯で逮捕された!弁護ポイントや解決の流れなどを解説

指定薬物事件で保釈を得るなら早急に弁護士への依頼を

今回は、指定薬物で保釈される条件などについて、薬物事件への対応実績豊富な弁護士が解説しました。

保釈は、法律上認められた被告人の権利となっていますが、実務上では、証拠隠滅や逃亡防止の観点から容易に認められないという実情があります(薬物事件のケースでは特に、否認事件・組織的犯罪・共犯事件などの場合)。

そのため、早期に保釈を勝ち取るためには、薬物事件への対応実績が豊富な弁護士へと依頼し、裁判所を説得するための弁護活動を受ける必要があります。

指定薬物をはじめとした刑事事件における弁護は、時間との戦いとなります。

1日も早く日常生活を取り戻すためにも、万が一家族などの身近な方・大切な方が指定薬物事件に巻き込まれてしまった場合には、迷うことなく弁護士へとご相談ください。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設