覚醒剤取締法違反で逮捕されたらどうなるのか?刑罰や流れを弁護士が解説

  • 覚醒剤取締法とはどのようなものなのだろう
  • 覚醒剤取締法違反で逮捕されたらどうなるんだろう
  • 覚醒剤取締法違反で逮捕されたら、弁護士はどのような活動をしてくれるのだろう

自分自身や、家族・知人が覚醒剤取締法違反によって逮捕されたら、どのように対応したらいいのか不安に思う方も少なくないでしょう。覚醒剤を使用したわけでなくとも、自覚がないままに売買や譲渡などに関わってしまうことがあるかもしれません。

日本は特に覚醒剤の取締りが厳しく、逮捕されれば重い刑罰が科せられます。万が一、覚醒剤取締法で罪に問われたときには、適切に対応しなければ日常生活への影響は甚大だといえます。

そこで今回は、数多くの覚醒剤事件を解決に導いてきた専門弁護士が、覚醒剤取締法の概要や、覚醒剤取締法違反で逮捕された場合に弁護士ができることについて解説します。

覚醒剤取締法違反での逮捕とは

ここでは、覚醒剤取締法違反での逮捕に関する基礎知識として、以下の2つを解説します。

  • 覚醒剤取締法とは?
  • 違反したときの刑罰は?

それでは1つずつ解説します。

覚醒剤取締法とは?

1つ目に、覚醒剤取締法とは?という点に関して解説します。覚醒剤取締法は、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止することを目的としています。したがって、単に覚醒剤を使用した場合だけではなく主に以下の項目が取締りの対象となります。

  • 覚醒剤の輸入・輸出

どのような人であっても、覚醒剤を輸入したり、輸出したりすることは禁止されています。

  • 覚醒剤の使用・所持・譲渡・譲受

特定の医療関係者や研究者、認可を受けた業者など以外は覚醒剤を使用することはもちろん、所持するだけでも取締りの対象となります。また、譲渡をしたり、譲受することも禁止されています。

  • 覚醒剤の製造

特定の研究者や、認可を受けた業者など以外は覚醒剤の製造を禁止されています。

違反したときの刑罰は?

2つ目に、覚醒剤取締法に違反したときの刑罰は?という点に関して解説します。覚醒剤取締法違反によって科せられる刑罰は、取締り対象になる行為が営利目的か非営利目的かによっても異なります。以下の表に刑罰をまとめます。

取締り対象行為 非営利目的 営利目的
輸入・輸出・製造 1年以上の有期懲役 無期もしくは3年以上の懲役、または情状により無期もしくは3年以上の懲役お呼び1,000万円以下の罰金
所持・譲渡・譲受 10年以下の懲役 1年以上の有期懲役、または情状により1年以上の有期懲役お呼び500万円以下の罰金
使用 10年以下の懲役 1年以上の有期懲役、または情状により1年以上の有期懲役お呼び500万円以下の罰金

 

出典:覚醒剤取締法 | e-GOV

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覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけになること

ここまで、覚醒剤取締法の概要と、違反した場合の刑罰に関して解説してきました。ここからは、実際に覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけになることを3つ見ていきましょう。

  • 職務質問を受けた
  • 家宅捜索を受けた
  • 売人・共犯者の逮捕

1つずつ見ていきましょう。

職務質問を受けた

覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけの1つ目は、職務質問です。職務質問とは、警察官が巡回中に発見した不審な挙動をとる者を対象に、路上などで行う職務上の聞取りのことを指します。

職務質問により鞄や自動車の点検を行い、所持品から違反薬物だと疑われるものが出てきたりなどして、予試験(簡易検査)が実施され陽性反応が出た場合は、その場で緊急逮捕となります。

予試験を行うときには違反薬物の種類を事前に判別して検査キットを使い分ける必要があります。その場で薬物の推測がたたない場合には、別途詳細な鑑定が行われ、鑑定結果によって後日逮捕となるケースもあります。

家宅捜索を受けた

覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけの2つ目は、家宅捜索です。覚醒剤の使用を知る者からの通報などがあった場合、警察は通報された人の家に立ち入って捜索をする場合があります。家宅捜索は強制処分のため、本人の同意は必要とされておらず事前の連絡もありません。

捜索の結果、覚醒剤と疑わしきものが発見された場合はその場で覚醒剤の予試験(簡易検査)が行われ、陽性の場合は覚醒剤所持で逮捕されます。また、覚醒剤使用の痕跡が見られたときには尿の鑑定が行われ、陽性反応が出れば覚醒剤使用で逮捕されます。

売人・共犯者の逮捕

覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけの3つ目は、売人・共犯者の逮捕です。覚醒剤は製造や売買に至るまで複数の人間が関わっているケースが殆どです。先に逮捕された売人や共犯者が、覚醒剤の売買先などを供述することによって、芋づる式に関係者があぶりだされ逮捕に至るケースは珍しくありません。

覚醒剤取締法違反に関わる違法活動を巧妙に隠ぺいしようとしても、関係者が1人でも逮捕されれば、厳しい捜査の手を免れるすべはありません。

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覚醒剤取締法違反で逮捕されたらどうなる?

ここまで、覚醒剤取締法の概要や逮捕のきっかけに関して解説してきました。それでは、実際に覚醒剤取締法違反によって逮捕されたらどうなってしまうのでしょうか?逮捕後の流れを以下の7つの点から解説していきます。

  • 留置場での身柄留置
  • 警察官による取調べ
  • 検察官への送致
  • 勾留請求
  • 勾留開始
  • 勾留期間の延長申請
  • 起訴・不起訴の決定

それでは1つずつ見ていきましょう。

留置場での身柄留置

逮捕後、被疑者は警察署の留置所または法務省所管の留置施設に身柄を留置されます。殆どの場合、留置期間に弁護士以外の人間にあうことは決してゆるされません。もちろん、自由に外部と連絡することができないので、長期に渡って仕事や学校を休まざるをえないといえます。

したがって、事前に適切な対応をとっておかなければ、たとえ不起訴になるなどした場合でも、日常生活にもたらすマイナスの影響は測り知れません。

警察官による取調べ

被疑者は身柄を留置されながら、警察官による取調べを受けます。外部との接触を遮断された状態で、事件の真相が厳しく追及されます。

このとき、特殊な環境下におけるプレッシャーなどから事実と異なる供述をして、自分の首をしめてしまわないように気を付けなければなりません。基本的に警察は48時間以内に全ての事件を検察に送る必要があります。

検察官への送致

警察から検察へ事件が送致されたあとは、警察署から検察庁に移動して検察官の面談をうけることになります。検察官は面談結果や、警察から引き継いだ事件の資料をもとに裁判官に勾留請求するか否かを判断します。

勾留とは被疑者が逃亡したり、証拠を隠ぺいしたりすることを防ぐために、警察署の留置施設などに引き続き身柄を拘束する手続きのことを指します。勾留は最長で20日間に及びます。

勾留請求

検察より勾留請求を受けた裁判官は、勾留の理由やその必要性を厳格に判断します。勾留請求が認められれば原則10日間、被疑者を拘束することになります。

検察によって勾留請求するか否かを検討している時点で、勾留の要件を満たすかどうかも検討され、要件を満たすと判断された場合にのみ勾留請求されます。勾留請求された場合には、裁判官は被疑者の弁解をきく勾留質問を行います。

勾留開始

検察官の勾留請求が認められた場合、留置所に身柄を拘束され、検察官によって取調べをうけることになります。勾留中は相手が弁護士の場合には、ある程度柔軟な面会の時間が設けられることになります。

基本的に家族や友人などと面会することも可能になりますが、厳しい日時の制限が設けられるうえに警察官の立ち合いも必須です。また、接見禁止がつけば身柄留置期間と同様に家族や友人などとあうことはできなくなります。

勾留期間の延長申請

10日間の勾留期間では十分な取調べが行われないと判断されれば、検察官によって勾留期間の延長申請がされることがあります。勾留を延長する場合には裁判官による勾留質問は行われず、最大で10日間延長されます。

起訴・不起訴の決定

検察官は、被疑者の勾留期間が終わるまでに被疑者を起訴するか、起訴しないか(不起訴処分とするか)を決定します。被疑者が罪を犯した疑いがない場合やその嫌疑が不十分な場合は起訴しないという判断になります。起訴されなければ釈放され、前科がつくこともありません。

反対に、起訴されれば事件は刑事裁判にかけられ、被疑者は被告人となって有罪か無罪かの審判をうけることになります。前科がつくことを免れるためには不起訴処分をめざすことが現実的だといえます。

関連記事:覚醒剤事件で在宅起訴!?在宅起訴の種類や流れなどを解説

覚醒剤取締法違反による逮捕が決まってから弁護士ができること

日本では覚醒剤は非常に厳しく取り締まられています。少しでも罪を軽くするために弁護士が行ってくれる活動は以下の3つです。

  • 逮捕前であれば自首に付き添ってくれる
  • 逮捕後すぐであれば接見で一緒に戦略を立ててくれる
  • 被疑者の家族の不安に寄り添った対応をしてくれる

1つずつ見ていきましょう。

逮捕前であれば自首に付き添ってくれる

覚醒剤取締法違反を犯してしまった自覚があり、いつ逮捕されるかの不安があれば自首することがおすすめです。覚醒剤取締法違反を犯してしまえばいつかは逮捕されてしまう可能性は非常に高いといえます。

刑法第42条においては、以下のように規定されており自首することで逮捕を避けられたり、勾留を免れたりする可能性が高まります。

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

ある日急に逮捕されて訳がわからないまま勾留されるのではなく、事前に弁護士と話しあったうえで自らの意志で自首する事は、罪を軽くするうえでも非常に有効です。もちろん、警察署に自首する当日も、弁護士は付き添う事が可能です。

出典:刑法 | e-GOV

逮捕後すぐであれば接見で一緒に戦略を立ててくれる

逮捕後、留置されている72時間のあいだも弁護士であれば接見できます。その後も続く可能性がある検察官送致や勾留請求の前に、弁護士と戦略をたてることができます。

これまでに多くの覚醒剤取締法違反の事件を解決してきた専門弁護士であれば、そのノウハウをもとに、その後の手続きの流れや被疑者が押さえておくべきポイント、不起訴処分に至るための道筋をアドバイスしてくれるでしょう。

また、たとえ起訴されてしまったとしても、無罪や執行猶予を勝ち取るための準備は、早めに行っておくに越したことはありません。弁護士にしかできない法的手続きも数多くあります。専門家ならではの知見を与えてくれることも弁護士が行ってくれる重要な活動だと言えます。

被疑者の家族の不安に寄り添った対応をしてくれる

逮捕後、不安を抱えているのは被疑者本人だけではありません。その家族も急な事態に気が動転し不安な日々を送っていると考えられます。被疑者だけでなく、家族にも寄り添い、細かな疑問に回答し、相談にもしっかりとのってくれる専門家の存在は周囲の人間にとっても心強い味方となります。

事務所の代表番号のみを窓口として伝えるのではなく、弁護士直通の携帯番号やLINEなど連絡がとりやすい環境づくりをしてくれる弁護士を選ぶことも重要です。

関連記事:家族が覚醒剤取締法違反で裁判になったときに弁護士に頼めること

まとめ

この記事では覚醒剤取締法の概要や逮捕の流れや、弁護士が行ってくれる活動などを横断的に解説しました。往々にして人は過ちを犯してしまいます。罪の重さはしっかりと受け止めつつ、自分や身の回りの大切な人を守るためには、逮捕後の流れや弁護士の活用ポイントをしっかりと押さえておくことが重要です。

費用に関して気になる部分もあるかもしれませんが、まずは問合せをしてみて不安や疑問を解消していきましょう。緊急時ほど、弁護士との迅速なコミュニケーションが何よりも重要です。

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