ラッシュで在宅起訴の可能性を知りたい
在宅起訴と起訴の違いは何があるのか
ラッシュで在宅起訴になったら弁護士は何をしてくれるのだろう
ラッシュで在宅起訴に悩まされている方もいるかもしれません。ラッシュは医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器法」という。)に定められた指定薬物であり、原則として製造や輸入、販売や所持を禁止されています。
違反した場合には、起訴され実刑判決が下ることもありますが、ラッシュでは在宅で取調べが進み、在宅起訴となるケースもあります。
そこで今回は、ラッシュの在宅起訴に詳しい弁護士が、在宅起訴があるのかとその影響、またラッシュで在宅起訴となった場合の弁護活動を解説します。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
ラッシュで在宅起訴はあるのか?
まずは、ラッシュで在宅起訴があるのかに関して、以下3点を説明します。
- 在宅起訴とは
- 在宅起訴と起訴の違い
- 在宅起訴となる条件
1つずつ解説していきます。
在宅起訴とは
在宅起訴とは、身柄拘束を受けることなく起訴されることです。
逃亡の恐れがないなどの条件下で、在宅事件として身柄を拘束されないまま事件の捜査が進むことがあります。警察からの出頭要請や任意同行はあるものの、身柄の拘束を受けません。一度は逮捕された後、釈放されて身柄の拘束が解除され、在宅事件と扱われるケースもあります。
在宅起訴と起訴の違い
在宅起訴と起訴の大きな違いとしては、逮捕されてから裁判までの流れが異なることです。
身柄事件で起訴される場合の流れとしては「犯罪の露見→逮捕→送検→勾留→起訴→裁判」となります。身柄の拘束が入るのが特徴的です。
在宅起訴の流れとしては以下のようないくつかのパターンがあります。
- 犯罪の露見→書類送検→在宅起訴
- 犯罪の露見→逮捕→釈放→書類送検→在宅起訴
- 犯罪の露見→逮捕→送検→釈放→在宅起訴
どの流れでも起訴の時点では身柄拘束・勾留がないことが特徴です。
通常の起訴の場合は裁判までの間身柄拘束されますが、在宅起訴の場合は日常生活を送りながら刑事事件の手続きが進むこととなります。
在宅起訴となる条件
在宅起訴となる条件としては、在宅事件として取り扱われる必要があります。在宅事件は、以下の条件に当てはまるときに適用されることが多いです。
- 単身身軽ではないこと
- 証拠隠滅の恐れがないこと
- 住所不定ではないこと
- 身体拘束の必要性がないこと
たとえば、被疑者に家族がいなかったり、定まった住所がなかったりする場合は在宅事件にならず、在宅起訴となる可能性は低下します。
ラッシュで在宅起訴となった場合の影響
ラッシュで在宅起訴となった場合の影響について見ていきましょう。
- 前科がつく
- 長期化する恐れ
- 日常生活への影響
- 家族・友人への影響
それぞれ解説していきます。
前科がつく
影響の1つ目は、前科がつくことです。
在宅起訴でも、裁判が行われ、有罪の場合は前科がつくということには変わりありません。ラッシュでの所持や使用による罰則は、懲役または罰金がほとんどです。裁判で有罪判決が出れば、それがどんな刑であろうと前科がつきます。
前科というと懲役や禁錮を思い浮かべるかもしれませんが、罰金刑でも前科になります。執行猶予がついたとしても、有罪判決であることには変わりなく、この場合も前科がつきます。
長期化する恐れ
影響の2つ目は、長期化する恐れがあることです。
在宅事件は起訴までの期間が決まっていないことから、長期化する傾向にあります。
身柄事件の場合は「逮捕→勾留→送検→裁判」の流れで進みます。刑事訴訟法203〜205条で定められている通り、逮捕は72時間以内、勾留は最大まで延長しても20日間と決められているため、起訴・不起訴の判断が出るまでは最大で23日間となっています。
一方で在宅事件の場合は、勾留を受けません。勾留は最大で20日間と定められ、期限までに起訴か不起訴の判断をする必要があります。しかし在宅事件の場合は勾留がないため、捜査の期限が決められていません。
そのため、在宅起訴となるまでに半年から1年もかかってしまうことは多くあります。起訴となるまでの間には、警察からの出頭要請や任意同行を求められることもあり、いつ起訴されるのかもわからず大きなストレスがかかります。
日常生活への影響
影響の3つ目は、日常生活への影響です。
在宅起訴されて前科がついた場合、日常生活に大きな影響を及ぼします。
特に大きいのが職業の制限、資格の剥奪です。たとえば、禁錮以上の刑罰を受けた場合、多くの国家資格で欠格事由となります。また、一定期間は資格取得に制限がかかる場合があります。
教員の場合は職につくことができません。宅地建物取引士や建築士・古物商は、刑期満了から5年を経過するまでは欠格事由に当たり、宅地建物取引士や建築士・古物商として働けません。また国家資格ではないものの、取締役・監査役・執行役に関しても刑期の満了までは欠格事由に当たります。
このように、現在の職業や保持している資格によっては大きな損失となる恐れがあります。
家族・友人への影響
影響の4つ目は、家族、友人への影響です。
在宅起訴されて前科がつくと、家族や友人関係にも大きな影響を与えてしまいます。明文化されてはいないものの、家族や血縁が近い親族に前科がついた方がいる場合、親戚全体への就職に悪い影響を与えることがあります。
公務員や警察官など、高い倫理性が求められる職業では、一般的に親族の前科・前歴照会が行われることがあると言われています。事実は明らかではないものの、もし本当に前科・前歴照会が行われていて採用に影響があるのなら、前科がつくことは家族や親族に迷惑をかけることにも繋がりかねません。
また親しい友人に前科があることが知られてしまうと、その後どのような態度を取られるかわかりません。場合によっては友人が皆離れてしまい、孤独になることもあるでしょう。
在宅起訴されて前科がつけば、自分だけでなく家族や友人関係に大きな影響を与えることになります。
ラッシュで在宅起訴となった場合の弁護活動
ラッシュで在宅起訴となった場合の弁護活動について以下を説明します。
- 被疑者との相談
- 違法捜査の確認
- 執行猶予を目指す
- 無罪を目指す
1つずつ解説していきます。
被疑者との相談
弁護活動の1つ目は、被疑者との相談です。
弁護士は依頼を受けると、まずは被疑者と面談し、事実確認から始めます。どのような事実があるのか、現在の被疑者の状況について確認し、弁護活動の計画を立てます。
被疑者が容疑を認めている場合は、執行猶予の獲得や、軽刑を目指して行動します。被疑者が反省の意思を見せているか、家族フォローの体制が整っているか、再犯防止プログラムなどへの参加意欲があるかなどを確認し、取調べにおいて被疑者がどのような態度で臨めば少しでも有利になるかをアドバイスします。
被疑者が事件を否認している場合、なぜ疑われることになったかの詳しい調査や関係者の調査を行います。
弁護士は被疑者との相談で、被疑者の様子を見ながら事実確認を行い、今後の計画を立てていきます。
違法捜査の確認
弁護活動の2つ目は、違法捜査の確認です。
裁判には「違法収集証拠を排除する」という違法収集証拠排除法則があり、たとえ証拠があったとしても、違法な捜査が行われている・違法に証拠が収集されているということを弁護士が証明できれば、無罪になる可能性があります。
警察が証拠を違法に収集したことを裁判で弁護士から指摘され、無罪となったケースもあります。捜査の状況を詳しく知り、違法捜査による証拠集めがなかったかという確認を徹底して行います。
執行猶予を目指す
弁護活動の3つ目は、執行猶予を目指すことです。
裁判が始まると、裁判所に対して被疑者側の主張を行います。被疑者が容疑を認めている場合は、執行猶予を目指すことになるでしょう。その場合は、事前に被疑者と面談したときに確認した情報を元に、執行猶予をつける、あるいは軽い刑にとどめるように主張します。
被疑者に反省の念が強くあれば、家族のフォローを期待できて再犯の可能性が低いことを弁護士が主張できます。本人に再犯防止プログラムへの参加意欲などがあること、被疑者が二度と薬物に関わらないという強い意志をしっかりと伝えていきます。
無罪を目指す
弁護活動の4つ目は、無罪を目指すことです。
被疑者が容疑を否認している場合には、基本的に弁護士は無罪を主張していきます。たとえ証拠があったとしても、状況によっては無罪を主張できます。たとえばラッシュが薬物であることを本人が知らなかった、違法性を認識していなかった、ラッシュを所持していることに全く気づいていなかったなどがあります。
また、誰かに騙されて所持・使用することになった場合も、本人に「意図的に薬物を使用する」という意思がなかったと認められる可能性があります。この場合も無罪となるかもしれません。
捜査および証拠収集に違法性があった場合においても、捜査自体が無効であるということを主張し、無罪を目指します。
ラッシュで在宅起訴なら早急に弁護士への相談が必要
本記事では、ラッシュで在宅起訴にある可能性とその影響や、ラッシュで在宅起訴となった場合の弁護活動について解説しました。
ラッシュで在宅起訴を受けた場合、重い刑罰となることは少ないです。しかし弁護士に相談せずに不利な供述から有罪判決を受けてしまうと、前科がついてその後の生活に大きな影響を及ぼします。
たとえ在宅事件であっても、被疑者となってしまうと警察や検察からの出頭要請に対応しなければならないなど、環境の変化が起こります。そのような中で冷静かつ適切に、取り調べに対応できるかというと難しいでしょう。
ラッシュで在宅起訴となる可能性がある場合は、早急に弁護士へ依頼することをおすすめします。取調べの対応についてアドバイス、裁判への対応、様々なサポートを受けることができますので、迷ったらできる限り早く薬物に強い専門弁護士へ相談してください。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設