向精神薬で逮捕される条件とは何か?必要な弁護活動を徹底解説

  • 向精神薬を使用すると逮捕されるのか
  • 向精神薬で逮捕される条件は何か
  • 向精神薬に関する罪の弁護活動には何があるのだろう

向精神薬は、医療の現場で使われているものですが、乱用した場合は麻薬及び向精神薬取締法違反として、逮捕される可能性があります。

本記事では向精神薬に詳しい弁護士が、向精神薬によって逮捕される条件や、逮捕されたときに必要な弁護活動について解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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向精神薬で逮捕されるのか?

まずは向精神薬の概要や関連する罪について、以下2点を説明します。

  • 向精神薬とは
  • 問われる罪

それぞれ順番に解説します。

向精神薬とは

向精神薬とは、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入剤などの精神科の診療を基に処方される薬の総称です。一般的なうつ病や不安障害の治療でも使われることが多く、処方された経験がある方も少なくないのではないでしょうか。

がんの患者にも処方されることがある薬であり、強い不安感や抑うつ状態を和らげる効果があります。

「向精神薬は有害である」と考える方が多いものの、医師の指導のもと、指示の通りに服薬するのであれば、問題は起こらないとされています。

問われる罪

向精神薬は、医師が処方し、医師の指示の下で利用する場合は罪には問われません。しかし、麻薬を含む向精神薬を医師の指示がない状態で使用・譲渡すると罪に問われる可能性があります。

麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕される原因と、それぞれにおける刑罰を、下記表にまとめました。

罪に問われる行動 刑罰
ヘロインの輸入・製造 1年以上の有期懲役
営利目的の場合:無期又は3年以上の懲役などの併科
情状によって異なる
ヘロインの製造や小分け・譲渡・譲受・交付・所持・使用・廃棄など 10年以下の懲役
営利目的の場合:1年以上の有期懲役や500万円以下の罰金の併科の可能性
向精神薬の輸出入・製造、製剤・小分け 5年以下の懲役
営利目的の場合:7年以下の懲役、200万円以下の罰金の併科の可能性
向精神薬の譲渡・譲渡目的の所持 3年以下の懲役
営利目的の場合:5年以下の懲役、100万円以下の罰金の併科の可能性
ヘロイン以外の麻薬の輸出入・製造・販売 1年以上10年以下の有期懲役
営利目的の場合:1年以上の有期懲役、500万円以下の罰金の併科の可能性
ヘロイン以外の麻薬の製造・小分け・譲渡・譲受・所持・施用・施用のための交付 7年以下の懲役
営利目的の場合:1年以上10年以下の懲役、300万円以下の罰金の併科の可能性

 

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向精神薬で逮捕される条件

向精神薬を利用するときは、あらかじめ許可されている利用方法を理解した上で、遵守することが大切です。ここからは、向精神薬の利用によって逮捕される条件について解説します。

  • 医療目的の場合は逮捕されない
  • 故意に使用・乱用していた場合

それぞれ順番に解説します。

医療目的の場合は逮捕されない

向精神薬は、所持や使用に対して厳しく取締まりが行われていますが、医療目的で譲渡・譲受し製造する場合は、罪には問われません。そのため、医師の指示に従って向精神薬を使用する場合は、罪に問われず、安心して利用できます。

故意に使用・乱用していた場合

医療目的ではない向精神薬の利用や、営利目的による所持や譲渡、譲受を行った場合は、「麻薬及び向精神薬取締法」に違反するとして罪に問われます。この法律は麻薬や向精神薬の乱用によって、保健衛生上の危害が与えられることを防止し、公共の福祉の増進を図ることを目的として制定されているものです。

麻薬や向精神薬は、大麻や覚醒剤、アヘンなどと並ぶ薬物として位置づけられています。そのため、医師の指示なしに服薬したり所持することは非常に危険です。

たとえ医師から処方された向精神薬であったとしても、医師の指示に従わずに服薬した場合は、乱用として罪に問われる可能性があります。処方された向精神薬の効き目が感じられない場合などは、自分の判断で向精神薬の量を増やすのではなく、医師に相談をした上で指示を仰ぐようにしましょう。

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向精神薬で逮捕されたときの弁護活動

向精神薬の利用等によって逮捕されたときに、行われる弁護活動は大きく分けて下記の5つです。

  • 接見禁止の解除
  • 釈放請求
  • 嫌疑不十分による不起訴
  • 起訴猶予
  • 執行猶予

それぞれ順番に解説します。

接見禁止の解除

麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕され、勾留された場合、一般的に家族などは警察署で被疑者と面会することが可能とされています。しかし実際は、裁判官が関係者と被疑者間で証拠隠滅が行われることを防ぐために、面会を禁止することが多くあります。そうなった場合、接見禁止となり、被疑者と直接会話ができるのは弁護士のみとなります。

接見禁止になった場合、被疑者の精神的苦痛と、取調べ時の誘導尋問などによって、事実とは反した自白をしてしまうことが珍しくありません。そうなると裁判で大きく不利になってしまうかもしれません。

弁護士は事実と反する事態を防ぐために、接見にて被疑者にアドバイスを行うとともに、家族などとの接見禁止を解除するための活動を行えます。

たとえ逮捕されてしまったとしても、必要以上に大きな刑罰を受けずに済むように、弁護士を頼ることをおすすめします。

釈放請求

逮捕されると、まずは48時間以内に検察官へ身柄が送致されます。その後24時間以内に裁判官への勾留請求が行われます。勾留が決定すると、最長20日間は警察署などの留置施設に勾留されます。

逮捕期間も含めると最大23日間の身柄の拘束は、被疑者の心身にとって大きな負担です。この過度な負担が原因で、虚偽の自白や裁判で不利になる言動を行う可能性があります。不利な言動を防ぐためにも、弁護士は裁判官や裁判所に対して、勾留が必要でないことを説明するとともに、勾留を回避できるように努めます。

向精神薬に強い弁護士に依頼することで、勾留を回避する、勾留されていた場合も釈放となる可能性が高まるでしょう。

嫌疑不十分による不起訴

嫌疑不十分とは、罪を犯したことを証明するに足りる証拠がない状態のことです。嫌疑不十分になると「前歴」は付くものの、起訴はされず、前科とはなりません。

嫌疑不十分の場合は警察や検察側の捜査によって、強引に証拠となるものが用意されるなど、違法捜査が行われるリスクもあります。そのような事態を防ぐためにも逮捕当初から弁護士による弁護が必要となります。

起訴猶予

起訴猶予とは犯罪を証明することはできるものの諸事情を考慮して、起訴処分はしないと検察官が判断することです。起訴猶予となるかは、「被疑者が十分に反省しているか」「家族のサポートや薬物依存に対する治療を行う意思があるか」など、被疑者の情状によって判断されます。

つまり、起訴猶予にしてもらうには、犯行の悪質性が高くなく、再犯の可能性が乏しいことなどを客観的に訴える必要があるのです。

弁護士に依頼することで、様々な観点から起訴猶予を付してもらうための効果的な主張を行ってくれます。

執行猶予

執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予してもらうことです。執行猶予期間内に再度犯罪を起こさなければ、刑罰権を消滅させられます。執行猶予が付された判決を下してもらうためにも、弁護士は再犯の可能性が低いことや、被告人のよい情状など、適切な方法で訴えます。

また、裁判で執行猶予を付してもらえるように被告人へのアドバイスも行います。被告人は弁護士の指示に従うことで、執行猶予が付される可能性が高まります。

もちろん、弁護士は執行猶予の獲得だけではなく、実刑を軽くするための活動も行います。執行猶予を獲得したり、刑罰を軽くしたりするためにも、弁護士と密に話し合いをした上で、アドバイスをしてもらうとよいでしょう。

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まとめ

本記事では向精神薬の乱用などによって逮捕される条件や、逮捕されたときの弁護活動について解説しました。

向精神薬を乱用してしまったり、譲渡・譲受に荷担してしまったりして逮捕されてしまった場合は、まずは薬物に強い弁護士に相談しましょう。薬物事件に豊富な弁護士は、不起訴処分や、軽い刑に抑えられる可能性が高まります。ぜひ一度、向精神薬の乱用に強い弁護士にご相談ください。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設