大麻所持でトラブルになったら必見!事件発生後の流れと弁護士介入による3つの解決策を解説
大麻は所持しているだけで処罰されるのか?
大麻所持が事件になったあとはどうなるのか?
大麻所持事件では弁護士は何をしてくれるのか?

大麻に手を染めてしまった場合、使用(吸引)もしていないのに持っているだけで処罰されるのかと不安を覚えることでしょう。また、大麻所持が事件になったあとどうなるのかと心配は尽きません。

このような場合、相談にのってくれる弁護士がいてくれれば心強いのにと思う反面、弁護士は自分のために何をしてくれるのかわからない方もいることでしょう。

そこで今回は、薬物事件に精通している実績のある弁護士が、大麻は所持するだけで処罰されるのか・逮捕後の流れ・弁護士ができること・解決策などについて解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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大麻は所持するだけで処罰される

大麻は所持するだけで罪になるのでしょうか。ここでは、大麻所持での処罰について2つ解説します。

  • 大麻の「所持」とは?
  • 大麻の「使用」が処罰されない理由

1つずつ解説します。

大麻の「所持」とは?

1つ目は、大麻の「所持」についてです。

大麻を「所持する」とは、事実上大麻を管理・支配していることになります。たとえば手に持っている・鞄に入れている・家に置いてある、などはいずれも所持しているといえます。

しかし、大麻取締法は、規制対象とする「大麻」について、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品と定義しています。そして大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)並びに大麻草の種子及びその製品を規制対象から除外しています。

そのため、もし大麻草の成熟した茎や種子を持っていたとしても、大麻取締法違反として処罰されることはありません。

出典:大麻取締法 1条 | e-Gov法令検索

大麻の「使用」が処罰されない理由

2つ目は、大麻の「使用」が処罰されない理由についてです。

大麻取締法では、所持・譲渡・譲受・栽培・輸出入が罰せられますが、使用(吸引)についての処罰規定はありません。一般人が大麻を「研究のために使用」した場合や、大麻取扱者が所持以外の目的に大麻を使用した場合に処罰されるだけです。

なぜ大麻の使用が処罰されないのかについて、実はその理由が明らかではありません。

一説には、大麻草に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビール)という成分が影響しているというものがあります。THCは幻覚症状などを引き起こす成分で成熟した茎や種子にはほとんど含まれていませんが、大麻草全体に含まれています。たとえば大麻草の栽培農家が、大麻草を刈る作業を行い大気中に大麻の成分が飛散した場合、それを吸引する場合があります。検査をして陽性となると、「大麻を使用した」として処罰対象になってしまうのです。

大麻の使用を処罰対称にしなかったのは、このように職務上使用する可能性があることを考慮しているという見解もあります。

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大麻所持で事件になったあとの流れ

大麻所持で事件になったあとはどのような流れで進むのかを3つの段階に分けて解説します。

  • 原則は勾留
  • 起訴・不起訴の判断
  • 起訴後は公判

1つずつ解説します。

原則は勾留

大麻所持で事件になったあとの流れの1つ目は、勾留についてです。

まず、司法警察員は、逮捕した被疑者に対して直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与えます。そして留置の必要があると判断した場合は、逮捕してから48時間以内に書類・証拠物と一緒に被疑者を検察庁に連行し、検察官に送致します。

次に検察官は、司法警察員から送致された被疑者を受け取ると、弁解の機会を与え、勾留の必要があると判断した場合は、被疑者を受け取ったときから24時間以内または、逮捕から72時間以内に、裁判官に被疑者の勾留を請求します。

裁判官は、検察官の勾留請求を受けたら、勾留質問を行い審査します。身柄の拘束が必要と判断した場合、10日間の拘束を認める勾留決定をします。

検察官は、事件の複雑・困難、証拠収集の遅延・困難、期間満了時における起訴・不起訴決定の困難など、やむを得ない事情がある場合は10日を上限として勾留期間の延長を裁判官に請求します。裁判官が請求理由を認めると、勾留期間の延長が決定します。

大麻所持の罪についても勾留期間延長は可能であり、勾留期間は最長20日間におよぶ場合があります。逮捕による最大72時間の拘束時間を合わせると、身柄拘束期間は最長で23日間です。

出典:刑事訴訟法 204条 | e-Gov法令検索

起訴・不起訴の判断

大麻所持で事件になったあとの流れの2つ目は、起訴・不起訴についてです。

検察官は、勾留期間内に起訴・不起訴を判断します。

検察官は、受理した大麻所持事件の被疑事実について、的確な証拠に基づき有罪判決が得られる見込みが高い場合は、原則として起訴することになります。一方で、検察官は起訴しない場合には被疑事実については、「起訴猶予」「嫌疑不十分」などの理由で不起訴の処分をします。

起訴後は公判

大麻所持で事件になったあとの流れの3つ目は、公判についてです。

大麻の所持で起訴された場合、審理は公判廷で行われます。裁判所は審理の結果を踏まえ、最終的に有罪・無罪を決定します。有罪であれば、執行猶予付きか実刑かの判決の言い渡しを受けます。

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大麻所持での事件発生前後に弁護士ができること

大麻所持での事件発生前後に弁護士ができることについて2つ解説します。

  • 事件発生前
  • 事件発生後

1つずつ解説します。

事件発生前

1つ目は、大麻所持での事件発生前に弁護士ができることです。

弁護士は、被疑者には処罰の可能性についての考え方を示すこと、また、被疑者が否認している場合は、逮捕回避へのアドバイスをすることが可能です。さらに、大麻所持での事件についての身柄拘束や、その時点で可能であれば起訴・不起訴の今後の見通しを伝えるとともに、このままの状態が続いた場合のリスクについても説明します。

そして、依頼を受けた場合には、弁護士は、大麻所持での事件について事実関係を確認した上、逮捕された場合の接見や差入れ、家族との連絡などについて説明し、警察への出頭に同行することが可能です。

事件発生後

2つ目は、大麻所持での事件発生後に弁護士ができることです。

具体的には、以下のことを考えていきます。
事件発生後であれば、弁護士は、逮捕後間もない段階から本人と接見し、今後の戦略について話し合いなどを行います。

  • 逮捕中に釈放される見込み
  • 検察官の勾留請求・勾留期間延長請求や裁判官の勾留決定
  • 勾留期間延長決定の見通し
  • 不服申立て(準抗告)の方法
  • 取調べを受けるにあたってのアドバイス
  • 起訴・不起訴の見込み
  • 起訴された場合の保釈や判決の予測

これらに合わせた方針で弁護活動を行います。

関連記事:大麻で逮捕されたらどうする!?逮捕の流れと釈放・不起訴の可能性を弁護士が解説

大麻所持に対する弁護士介入による3つの解決策

大麻所持で事件になったときに、弁護士が介入して行う3つの解決策について解説します。

  • 逮捕のみで釈放
  • 不起訴処分獲得
  • 起訴後の執行猶予獲得

1つずつ解説します。

逮捕のみで釈放

1つ目は、逮捕のみで釈放についてです。

弁護士は、司法警察員に面談を申し入れ、被疑者が大麻所持の事実関係を素直に認めていること、定まった住居があること、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを訴えて、被疑者を釈放するように働きかけます。

勾留請求される前の段階で検察官に面談を申し入れ、被疑者には勾留の理由や必要がなく、在宅捜査で足りる旨を訴え、勾留請求をしないよう意見書を提出するなどを行います。

不起訴処分獲得

2つ目は、不起訴処分の獲得についてです。

被疑事実について犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分な場合には、捜査に対して的確な対応を助言するとともに、検察官に対して証拠不十分ゆえに不起訴処分とすべきことを訴えます。

一方、大麻所持を認めている場合には、犯行の悪質性・常習性が低いこと、更生の意欲とそれを支える環境などを主張して起訴猶予として不起訴とするよう検察官に訴えます。

起訴・不起訴の判断で、嫌疑不十分による不起訴を獲得できるよう、弁護士は弁護活動を行います。

起訴後の執行猶予獲得

3つ目は、起訴後の執行猶予の獲得についてです。

令和2年版犯罪白書によれば、地方裁判所における大麻取締法違反の罪の科刑状況については、有罪の総数が1,778人で、一部執行猶予を含む実刑が約251人(一部執行猶予含む実刑率14.1%)、全部執行猶予が約1,527人(執行猶予率85.9%)となっています。

このように特に初犯であれば執行猶予が付く可能性は高いため、執行猶予を獲得できるよう捜査、公判の対応をします。

一方、再犯の場合には実刑判決の可能性が高くなりますが、このような場合にも再度、執行猶予が付くよう充実した弁護活動を展開します。

出典:令和2年版 犯罪白書 第7編/第4章/第1節/3 | 法務省
関連記事:大麻事件で起訴されても執行猶予にできるのか!?弁護士が徹底解説

まとめ

今回は、薬物事件に精通した実績のある弁護士が、大麻は所持するだけで処罰されること・大麻所持で事件になったあとの流れ・大麻所持での事件発生前後に弁護士ができること・大麻所持に対する弁護士介入による3つの解決策などについて解説しました。

大麻所持の嫌疑がある場合に、早い段階から弁護士が関与すれば、逮捕中の釈放の可能性があるだけでなく、不起訴の余地があります。そして、もし起訴となっても、弁護士の戦略的で熱心な弁護活動によって執行猶予が得られることが期待できるのです。

そのため、大麻を所持してしまっている場合は、早期に弁護士に相談し、弁護士の助言を受けることをおすすめします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設