薬物事件では裁判は回避できない?裁判の種類・流れを弁護士が解説

  • 薬物事件で裁判になった場合の流れが知りたい
  • 薬物事件では裁判は避けられないのか?
  • 薬物事件で裁判を回避するための方法があれば知りたい

覚醒剤、大麻といった薬物事件で逮捕されてしまった場合でも、すぐに有罪は確定しません。検察官から起訴され、裁判の判決が出て初めて有罪か無罪かが確定します。

そこで今回は、薬物事件に詳しい専門弁護士が、裁判が行われるまでの基本的な流れの他、薬物事件の通常裁判・即決裁判手続について解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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薬物事件で裁判が行われるまでの基本的事項

ここでは、薬物事件で裁判が行われるまでの基本的事項について、以下3つについて解説します

  • 起訴されるとは?
  • 裁判とは?
  • 起訴から裁判までの流れ

それでは、1つずつ解説します。

起訴されるとは?

1つ目の起訴されることについて解説します。

起訴とは、検察官が刑事事件の審理を進めるよう裁判所に申請をすることです。起訴には2パターンあり、公開される通常の公開法廷と、書面のみで裁判官が判断する略式起訴があります。なお、薬物事件の場合は、略式起訴はありません。

裁判とは?

2つ目の裁判とは何かについて解説します。

裁判とは、裁判所や裁判官による法的な判断ないし意思表示のことです。裁判に関しては、判決・決定・命令の3種類があります。

判決は、必ず法廷を開き口頭弁論を行い、なぜその結論に至ったのかの理由に関しても述べることを手続として行います。命令に関しては、決定と異なり裁判所の合議制で行われた判断ではなく、裁判官単独の判断になります。

起訴から裁判までの流れ

3つ目の起訴から裁判までの流れについて解説します。

逮捕されてから検察官に事件が送致されて勾留されると最大20日間は身柄の拘束を受けます。その後、捜査の結果、検察官が被疑者は刑罰を科すにあたいすると判断をした場合は起訴をします。

起訴されると今まで被疑者と呼んでいた方が被告人になります。裁判所に裁判を求めることで起訴ができるのは、原則検察官のみです。検察官が起訴をして裁判を行う場合の初公判までは約1ヶ月とされておりますが、具体的に、いつまでに公判が開かれるという規則はありません。

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薬物事件の裁判の種類

ここでは、薬物事件の裁判の種類について以下2つについて解説します。

  • 通常裁判
  • 即決裁判手続

それでは、1つずつ解説します。

通常裁判

1つ目の通常裁判について解説します。

通常裁判は、検察官・弁護士がそれぞれの立場で証拠を提示・証言を立証し、裁判官に訴えます。最終的には、判決を下します。原則的には、通常裁判で進行するケースが多くなります。

即決裁判手続

2つ目の即決裁判手続は、2004年の刑事訴訟法改正により新設された制度です。

事案が明白であり、軽微で争いがなく執行猶予が見込まれている事件については、速やかに公判期日を指定して原則即日で執行猶予判決を言い渡す手続のことです。

通常裁判よりも早く公判が開かれるので、事件が終了するまでの時間短縮、即日判決言い渡しのため裁判所に1回だけ訪れればよく、執行猶予判決になる点がメリットです。一方で、事実誤認があっても控訴・上告ができないため、即決裁判手続をする場合は、被告人・弁護人の同意が必要とされています。

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薬物事件における裁判の流れ

ここでは、薬物事件における裁判の流れについて以下2つについて解説します。

・通常裁判
・即決裁判手続

それでは、1つずつ解説します。

通常裁判

1つ目の通常裁判に関しては、以下4つの流れで進みます。

  1. 冒頭手続
  2. 証拠調べ手続
  3. 弁論手続
  4. 判決の宣告

1.冒頭手続

冒頭手続では、公訴をされている被告人で間違いないかの確認、審判の対象を確認するための起訴状朗読、被告人の黙秘権などの権利有無の説明、被告人の事件に対する陳述を行います。

2.証拠調べ手続

証拠調べ手続は、冒頭手続が終わった後で行います。証拠調べ手続は検察官が裁かれるべき罪状を証明するために行います。法廷で提出された証拠から審理を進め、裁判官は判決を下すことになります。証拠には、証人・証拠書類・証拠物の3種類があり、その証拠に基づいて犯罪の事実を確認します。

なお、証人とは法廷において事件や事件の関係者について証言する人のことです。証人は、尋問を行い事実関係を整理します。証拠書類には、被告人や被害者の供述調書などの書類があります。証拠物とは、犯行に使用された凶器などのことです。証拠書類・証拠物は、朗読し裁判官に示したうえで証拠になるのかを判断します。

3.弁論手続

弁論手続は、証拠調べ手続が終わり裁判官の一定の心証が形成されてから行われます。検察官が法廷で確認をされた証拠に基づき、事実面・法律面で意見を述べ、最後にどの程度の刑に処すことが相当なのか意見を述べ、求刑をします。その後、弁護人が被告人の立場からみた事実面・法律面の意見を述べ、被告人の陳述を聞き、判決をします。

4.判決の宣告

判決の宣告とは、被告人が有罪か無罪かを判断し、どのような刑罰を科すのかを裁判所が宣告することです。公訴事実の存在が証拠調べにより確からしいことが証明され、刑罰法令に触れるときは有罪になり、逆に事件自体が罪にならない場合や、犯罪の証明ができない場合は無罪判決を言い渡すことになります。

即決裁判手続

2つ目は、即決裁判手続の場合です。

即決裁判手続は、起訴されてから14日間以内に公判期日が決まります。

即決裁判手続では、検察官の冒頭陳述は省略され、証拠調べ手続も裁判を短期間で終えるために簡略化され裁判所が適当と認められる方法で進めることができます。また、証拠については異議を述べない限り、事件の目撃者や被告人の供述が証拠として採用されます。手続きとしては裁判の開始から判決の言い渡しまで原則1日で終えます。

薬物事件での裁判を回避するためは発覚後すぐに弁護士に相談することがおすすめ!

薬物事件での裁判を回避するためには、逮捕後にすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

逮捕されたら有罪が確定するわけではなく、起訴されたのち裁判によって有罪・無罪の判決が言い渡されます。刑事事件の場合、起訴されれば有罪がほぼ確定してしまうものがほとんどです。そのため、起訴される前に弁護士とともに早期釈放・不起訴を目指すことが重要です。

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まとめ

今回の記事では、薬物事件に詳しい専門弁護士が、裁判が行われるまでの基本的な流れの他、薬物事件の通常裁判・即決裁判手続について解説しました。

逮捕されれば有罪というわけではなく、検察官に起訴されてから裁判が行われ、有罪が確定します。なお、起訴されてから無罪判決になることはほとんどないため、逮捕された場合は早急に弁護士に相談をし今後の対応方法について検討すべきでしょう。

また、即決裁判手続に関しても執行猶予がつくとしても有罪判決になるため安易に同意すべきではありません。いずれにしても、弁護士とよく相談をしたうえで今後の社会的影響も鑑み、早期に社会復帰できる方法を考えていきましょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設