- 大麻取締法違反により、家族が裁判にかけられることが決まった
- 大麻取締法違反の裁判の流れは?
- 大麻取締法違反で逮捕された家族にしてあげられることは?
新聞やテレビなどのメディアを通じて大麻事件の報道を目にすることは多くあるかと思います。万が一、家族や友人が大麻に関わってしまい逮捕された場合、どのように対応すればいいのか不安に思う方もいらっしゃることでしょう。逮捕・起訴されれば、限られた時間で適切な対応をすることが重要です。
そこでこの記事では、大麻事件を多数解決に導いてきた専門弁護士が、大麻取締法違反で逮捕されてしまった場合の裁判の流れや、裁判前にできることを解説します。
大麻事件での裁判前に知っておくべき基本事項
ここでは、大麻事件での裁判前に知っておくべき基本事項として、以下の2つのポイントで解説します。
- 大麻取締法違反の罰則
- 大麻取締法違反で実刑になる確率
それでは1つずつ解説します。
大麻取締法違反の罰則
裁判前に知っておくべき事項の1つ目は大麻取締法違反の罰則についてです。
大麻取締法では違反行為が非営利目的か営利目的かによって罰則内容が変わってきます。
- 大麻の栽培、輸出、輸入
非営利目的の場合は7年以下の懲役に処されます。営利目的の場合は10年以下の懲役または、情状により10年以下の懲役と300万円以下の罰金に処されます。
- 大麻の所持、譲渡、譲受
非営利目的の場合は5年以下の懲役に処されます。営利目的の場合は7年以下の懲役または、情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処されます。
大麻取締法違反で実刑になる確率
裁判前に知っておくべき事項の2つ目は、大麻取締法違反で実刑になる確率についてです。
「令和3年版 犯罪白書」をもとに、令和2年の実刑になった人数などを以下の表にまとめました。
有罪人員 | 実刑 | 執行猶予 | 一部執行猶予 | 実刑になる確率 |
2,004人 | 228人 | 1,735人 | 41人 | 11.3% |
大麻取締法違反で実際に実刑になる確率は、低いことがわかります。
大麻取締法違反の裁判の流れ
ここでは大麻取締法違反による裁判の流れを、以下の5つのポイントで解説します。
- 冒頭手続
- 証拠調手続
- 最終弁論
- 結審
- 判決言渡し
それでは1つずつ解説します。
冒頭手続
裁判の流れの1つ目は冒頭手続きです。
裁判が始まると裁判官が被告人の氏名や生年月日・住所などを確認する人定質問が行われます。その後、検察官によって起訴状が朗読されます。
起訴状に記載されているのは、被告人が罪に問われるべきと思われる行動の内容や罪状です。起訴状朗読を経た後に、被告人は自らが起訴された罪を認めるか否かを明らかにする罪状認否を行います。罪状認否で罪を認めない場合は、認めない部分を明確にしたうえで、本格的に裁判によって争うことになります。
証拠調手続
裁判の流れの2つ目は証拠調手続です。
刑事裁判は証拠をもって事実の認定を行います。証拠調手続では検察官と弁護士が、裁判所に対してそれぞれの証拠を取り調べるように請求しなければなりません。請求が認められれば、裁判所はその証拠に対する双方の意見を踏まえたうえで、その証拠を認めるか否かを法廷にて判断します。
裁判において証拠は「書類」「証人」「物」の3つに区分されます。裁判は被告人の有罪を検察側が立証することを前提に行われます。有罪の証拠が十分でなく、証拠として認められなければ被告人は無罪となります。したがって、証拠調手続はまずは検察側から出される証拠調請求によって始まります。
最終弁論
裁判の流れの3つ目は最終弁論です。
冒頭手続で明確になった争点に対し、証拠調手続で明らかになった事実を踏まえ、検察側と弁護側が最終的な意見を述べます。このうち、弁護側の意見を最終弁論と言います。
最終弁論では主に検察側の意見の矛盾や不足を指摘したり、被告人の考えや反省の程度を主張したりすることによって被告人の弁護をはかります。
結審
裁判の流れの4つ目は結審です。
結審とは、最終陳述が終わり、当事者による主張や証拠の提出が済んだとみなされ、裁判所が裁判の審理をおえる段階のことです。最終陳述とは、最終弁論のあとに行われる被告人の発言です。
罪状認否で罪を認めればわずか1時間ほどで結審にいたります。一方、罪を認めない場合や複数の罪が起訴されている場合などは、公判期日が複数回に渡って設けられ結審まで数年かかることもあります。
判決言渡し
裁判の流れの最後は判決言渡しです。
これまでの審理を経て、最終的に有罪とするか、無罪とするかを言い渡します。有罪の場合は、刑罰の内容をはじめ、執行猶予の有無や保護観察処分をつけるか否かなども併せて告げられます。言い渡された判決の内容に納得がいかない場合には、14日以内に控訴することができます。
大麻取締法違反で裁判になる前に家族ができること
万が一、家族が大麻取締法違反で逮捕され裁判になってしまった場合、何ができるのでしょうか。
ここでは、大切な家族が一刻も早く日常を取り戻すための取組みについて、以下の3つのポイントで解説します。
- 弁護士に相談する
- 更生施設を探す
- 薬物依存から脱するための協力体制を家庭内で構築する
それでは1つずつ解説します。
弁護士に相談する
家族ができることの1つ目は、弁護士に相談することです。
逮捕され、身柄が拘束されたあとしばらくの間は、家族であっても逮捕された人との接見は許されません。勾留後は家族の接見も可能になるものの、厳しい回数制限が設けられたりなど、非常に限られた条件下での接触となります。しかし、弁護士であれば時間や回数の制限を受けることなく接見が可能です。
逮捕後すぐに弁護士へ相談し、弁護活動を開始することで早めに釈放される可能性があります。また、検察官への働きかけによって起訴を免れる確率も高まるでしょう。早めに弁護士に相談し、活動を開始してもらうことが重要です。
更生施設を探す
家族ができることの2つ目は、更生施設を探すことです。
大麻には強い依存性があります。本人の意志のみに頼って薬物依存から立ち直る事は非常に困難です。専門家のいる施設を利用し、時間をかけて丁寧に薬物依存から脱する手助けをしましょう。大麻事件を多数解決してきた専門弁護士であれば、有用な更生施設を紹介してもらえることもあります。気兼ねせずになんでも相談してみましょう。
薬物依存から脱するための協力体制を家庭内で構築する
家族ができることの3つ目は、薬物依存から脱する為の協力体制を家庭内で構築することです。
大麻事件は薬物犯罪であるため、大麻や大麻を使用してしまった被疑者に対して、恐怖感を抱くこともあるかもしれません。
そのためまずは、大麻や大麻依存症についてよく学ぶ事が重要です。そのうえで対応法を知り、家庭内での協力体制を整えましょう。大麻は脳に強く働きかけ、本人の意志では抗いがたい力で再発へといざないます。本人の様子をきめ細かに見守ったり、大麻の使用を促す第三者との連絡を断たせたりするには家族の協力体制の構築が必要不可欠です。
大麻事件に強い弁護士であれば、被疑者である家族が戻ってきたときにどのようなサポートが望ましいか相談しながら検討することができます。また、家族の協力体制の構築を検察官へアピールすることで本人が更生する可能性を高め、結果的に不起訴となる確率を上げることができます。
まとめ
この記事では、万が一家族が大麻に関わってしまい逮捕された場合の流れや、どのように対応すればいいのかについて解説しました。
大麻は依存性の強い薬物であるがゆえに非常に厳しく規制されています。犯した罪に応じた償いと同時に、社会復帰への道筋をしっかりと確保する必要があります。そのためには、家族をはじめとした周囲の人たちの迅速な対応が必要不可欠です。
弁護士に対して敷居を高く感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事を参考に、まずはお気軽にご相談ください。