- 危険ドラッグによる逮捕をされるとどうなるのか家族が危険ドラッグで逮捕されたら何をすべきか
- 危険ドラッグで逮捕されたときにはどのような弁護が可能なのだろう
危険ドラッグは、以前まで「合法ハーブ」、「脱法ドラッグ」などと呼ばれ、雑貨屋などで容易に入手できました。しかし、危険ドラッグの犯罪事例が多く発生し、現在はその危険性の高さから、様々な法律・条例によって所持や使用が規制されている薬物です。
危険ドラッグで逮捕された場合は、最長20日間勾留されます。では、危険ドラッグで逮捕された場合、どのような影響が出るのでしょうか。
今回は、多くの薬物事件を解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、危険ドラッグで逮捕されたときに周りに与える影響や、事件の解決を弁護士に依頼すべき理由などを解説します。
危険ドラッグによる逮捕に関する法律の基礎知識
ここでは、危険ドラッグによる逮捕に関して知っておきたい法律の基礎知識として、以下の3つを解説します。
- 危険ドラッグの基礎知識
- 逮捕の根拠となる法律
- 逮捕された後の流れ
では、1つずつ解説します。
危険ドラッグの基礎知識
基礎知識の1つ目は、危険ドラッグの基礎知識です。
危険ドラッグとは、覚醒剤や麻薬と同じく、精神に影響を及ぼす物質を含んだ薬物です。
以前は「脱法ドラッグ」と呼ばれていましたが、危険性の高さを認識させるため2014年に「危険ドラッグ」へ名称が変更されました。
危険ドラッグの定義は法律上ありませんが、一部の警察や東京都福祉保健局では、覚醒剤や麻薬と酷似した化学物質を含む規制薬物としています。主に合法ハーブやお香などとして流通しており、これらを吸引すると以下の症状を引き起こします。
- 幻聴
- 集中力や判断力の低下
- 激しい倦怠感
- 興奮
- 全身痙攣
また、危険ドラッグは他の犯罪を誘発する危険性もあります。2014年には、危険ドラッグを使用した容疑者が車を運転し、7人を死傷させたとして、危険運転致死傷の罪に問われた事件も発生しました。
事件の発端となったのは、危険ドラッグの使用です。この事件をきっかけに、事故を起こさなくても、危険ドラッグを使用して運転することは過労運転等の禁止に該当し、現行犯逮捕とするよう道路交通法が改正されました。
逮捕の根拠となる法律
基礎知識の2つ目は、逮捕の根拠となる法律です。
危険ドラッグは以下の法律・条例によって刑罰の対象となります。
医薬品医療機器等法84条26号 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
関税法109条1項 | 10年以下の懲役または3,000万円以下の罰金 |
東京都薬物の濫用防止に関する条例22条1号 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
東京都薬物の濫用防止に関する条例22条2号 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
医薬品医療機器等法では、危険ドラッグの製造・輸入・販売・授与・所持・購入・譲受が対象となります。関税法は危険ドラッグの輸入が対象となります。
つまり、危険ドラッグの輸入は2つの法律に違反することになりますが、重複した場合は罪の重い法律が適用されるため、この場合は関税法違反となります。
東京都薬物の濫用防止に関する条例は、東京都知事が指定した薬物の禁止条例です。
なお、営利目的の場合とそうではない場合で刑罰の重さが異なります。
逮捕された後の流れ
基礎知識の3つ目は、逮捕された後の流れです。危険ドラッグを含めた薬物事件では、逮捕された後48時間以内に警察から検察に事件が送致されます。さらに、24時間以内に検察が裁判官に勾留請求を行います。
勾留が認められると、10日間の身柄拘束が行われます。この期間で捜査が完了しなければ、さらに最長10日間の勾留延長が行われます。なお、犯罪を証明する証拠が足りなければ、不起訴処分で釈放されます。
危険ドラッグによる逮捕は周りにも大きな影響を与える
ここでは、危険ドラッグによる逮捕が周りにどのような影響を与えるかについて、以下の3つを解説します。
- 職場の懲戒解雇
- 学校からの退学処分
- 家族への影響
では、1つずつ解説します。
職場の懲戒解雇
影響の1つ目は、職場の懲戒解雇です。危険ドラッグで逮捕された場合は、基本的に勾留されることになります。勾留期間は、最長20日間です。
この期間は外部への連絡ができません。ここで、長期間の無断欠勤は会社の解雇事由に該当する恐れがあります。また、危険ドラッグによる逮捕が判明した場合は、そのことも懲戒解雇の事由にあたる可能性があります。
自営業においても同様で、長期間取引先と連絡がとれない状態が発生すると、信用を大きく落としてしまいます。最悪の場合、廃業に追い込まれる可能性もあるでしょう。
学校からの退学処分
影響の2つ目は、学校からの退学処分です。
危険ドラッグで逮捕された場合、学校にその事実を隠し通すことは難しいことです。事実が判明すれば、学校によっては退学事由に該当する可能性もあります。すでに就職先が決まっている場合、内定取り消しの事由になるかもしれません。
そもそも、長期間の無断欠席により周囲の目が冷ややかとなることでしょう。学校で処分を受けなくても、被疑者自身が冷ややかな目に耐えられず自主退学に追い込まれる恐れもあります。
家族への影響
影響の3つ目は、家族への影響です。
危険ドラッグで逮捕された場合、その影響を受けるのは決して被疑者だけではありません。
まず、報道機関において実名報道される恐れがあります。実名報道は、公務員や大企業の会社員、教師などがその対象となりやすいでしょう。もちろん、それ以外の職種でもローカルニュースなどで報道される可能性はあります。
その場合、被疑者だけでなくその家族にも大きな影響を与えます。そのため、被疑者以外の方も社会生活がしにくくなってしまう恐れがあります。
危険ドラッグで逮捕されたときに弁護士に依頼すべき理由
ここでは、危険ドラッグで逮捕されたときに事件の解決を弁護士に依頼すべき理由として、以下の4つを解説します。
- 釈放・不起訴・執行猶予獲得サポート
- 再犯防止サポート
- 学校や職場などへのやり取りを代行
- 社会復帰サポート
では、1つずつ解説します。
釈放・不起訴・執行猶予獲得サポート
弁護士に依頼すべき理由の1つ目は、釈放・不起訴・執行猶予獲得サポートを受けられることです。まずは、証拠隠滅や逃亡の可能性が薄いことをアピールして、早期の釈放を目指します。
次に、起訴に向けて証拠が十分でないと判断してもらうことで、不起訴処分の獲得を目指すことになります。そのために不正確な供述調書作成や強引な取り調べを防止します。
さらに、起訴されても執行猶予付きの判決を勝ち取れれば、すぐに刑務所に行かなくても済みます。再犯防止策や反省していることなどをアピールできるよう、弁護士にサポートしてもらいましょう。
再犯防止サポート
弁護士に依頼すべき理由の2つ目は、再犯防止サポートを受けられることです。
危険ドラッグなどの薬物事件は、他の刑事事件と比べて再犯率が高い特徴があります。これは、高い依存性が要因です。そのため、危険ドラッグの被疑者は専門の医療機関でカウンセリングなどのサポートを受けながら、薬物治療を行っていくことが必要です。
しかし、薬物依存治療できる医療機関は、そう多くはありません。薬物事件に強い弁護士であれば、そのような情報も多く有しているため、再犯防止の観点からも弁護士は重要な存在と言えるでしょう。
学校や職場などへのやり取りを代行
弁護士に依頼すべき理由の3つ目は、学校や職場などへのやり取りを代行してくれることです。危険ドラッグで逮捕されたときには、会社や学校などにどのように連絡すればよいかわからないものです。伝え方一つで、被疑者のその後の社会生活が大きく変わってしまう可能性もあるでしょう。
薬物事件に強い弁護士であれば、会社対応や学校対応も心得ています。現在の状況と今後の流れなどを踏まえて、被疑者にとって最善の方法を選択してくれるでしょう。
社会復帰サポート
弁護士に依頼すべき理由の4つ目は、社会復帰サポートをしてくれることです。
危険ドラッグで逮捕された前後で、自分の周囲の状況は大きく変化します。公務員など、一部の職業には就けなくなります。また、資格取得においても、薬物事件で逮捕された前科があると制限されることもあります。このように、社会復帰には様々な制限が存在します。
それでも、薬物事件に強い弁護士であれば、釈放後の社会復帰サポートのノウハウを有しています。そのサポートを活用して、1日でも早い社会復帰を目指しましょう。
危険ドラッグで逮捕されたときの弁護ポイント
ここでは、危険ドラッグで逮捕されたときの弁護ポイントについて解説します。
危険ドラッグを含む薬物事件では、証拠隠滅や逃亡を防ぐために、疑いがある場合即逮捕が基本です。しかし、早い段階で弁護士をつけることで、逮捕を回避できる可能性があります。具体的には、危険ドラッグの所持で職務質問を受けて任意提出をした段階で、弁護士に依頼しましょう。
また、薬物事件では、初犯であっても公判請求されるため、軽くても執行猶予付きの懲役刑となるケースが多いとされています。
危険ドラッグの所持を認めても、深い反省の態度や再犯の可能性が低いことを示して、不起訴処分となった事例もあります。大切なことは、早い段階で弁護士をつけることです。これにより、被疑者にとって最善な方法を模索できることでしょう。
まとめ
今回は、多くの薬物事件を解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、危険ドラッグで逮捕されたときに周りに与える影響や、事件の解決を弁護士に依頼すべき理由などを解説しました。危険ドラッグは、心身に与える影響や依存性が強い薬物です。
危険ドラッグで逮捕された場合は、高い確率で勾留されてしまいます。勾留期間は最長で20日間となっており、その期間は身柄が拘束されます。そのため、会社や学校など社会生活に大きな影響を及ぼします。
しかし、薬物事件に強い弁護士に依頼することで、被疑者にとって最善の策をとってくれます。費用はかかりますが、弁護士をつけるメリットはかなり大きいと言えるでしょう。