- コカインを所持・使用していることが警察に見つかった
- コカインを所持・使用した場合に背負う罪は何か?
- コカインの所持・使用による事件では、どの弁護士がおすすめか?
令和3年の厚生労働省の「薬物乱用対策」によると、令和2年の薬物事犯の検挙人員は、14,567人と前年よりも増加傾向にありました。特に若年層による乱用拡大が顕著となっています。中でもコカインの押収量は 821.7 kgと前年よりも181.8 kg(28.41%)増加しています。
コカインを所持・使用して警察に見つかった場合、その後はどのようになるのでしょうか?また、逮捕されて弁護士を探す場合、薬物事件に強い弁護士をどのように見つけられるのでしょうか?
そこで今回は、薬物事件に詳しい弁護士が、コカインの所持や使用に関する基礎知識、コカインで逮捕された場合のその後の流れ、前科がつくのか否か、コカインの所持や使用で頼りになる弁護士を探すときの特徴、弁護士費用について解説します。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
弁護士が解説するコカインの所持・使用に関する基礎知識
まず、コカインの所持・使用に関する基礎知識について弁護士が解説します。以下のポイントが重要になります。
- コカインの法的な扱い
- コカインの所持・使用を罰する法律
1つずつ、見ていきましょう。
コカインの法的な扱い
基礎知識の1つ目は、コカインの法的な扱いです。
コカインとは、南米に自生するコカの葉から抽出されるアルカロイドです。無色の結晶または白色の結晶性粉末で、無臭で苦みがあります。粉末状のものを鼻から吸引して使用する方法の他、注射や喫煙によって使用することもあります。
中枢神経を刺激して多幸感や高揚感が得られますが、乱用によりパニック・意識障害・幻覚・妄想・痙攣といった症状をおこします。また、コカインは医療麻酔薬としても活用されています。
コカインの効果の持続時間は30分程度ですが、覚醒剤と同じように神経を興奮させる作用があります。気分が高揚し多幸感を高め、眠気や疲労がなくなったような錯覚をおこします。コカインの持続時間が短いため、依存症になると1日のうちに何度もコカインを服用するようになり、非常に常習性の高い危険な薬物です。
乱用すると幻覚等の症状が現れたり、虫が皮膚内を動き回っているような不快な感覚に襲われるという理由から、自傷行為に至るケースも見られます。コカインを大量に摂取すると、呼吸困難により死亡するケースもあります。
コカインの所持や使用などの行為は法律により規制されている重罪であるので、発覚すれば逮捕そして起訴されやすい犯罪です。
コカインの所持・使用を罰する法律
基礎知識の2つ目は、コカインの所持・使用を罰する法律です。コカインの所持・使用などの行為は、「麻薬及び向精神薬取締法」によって処罰されます。その他にも「麻薬特例法」による規制があります。コカインは、麻薬及び向精神薬取締法の別表に規定されている「麻薬」に該当するため、所持・使用・製造・輸出入・譲渡・譲受などの行為は、同法により処罰されます。
コカインの所持等の罰則は、以下のようになります。
輸出・輸入・製造 | 1年以上10年以下の懲役 |
営業目的で輸出・輸入・製造 | 1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金が併料 |
譲渡・譲受・所持・使用 | 7年以下の懲役 |
営利目的で譲渡・譲受・所持・使用 | 1年以上10年以下の懲役で、情状により300万円以下の罰金が併料 |
コカインによる逮捕とその後の流れを弁護士が解説
コカインによる逮捕とその後の流れを解説します。
- 逮捕から勾留決定まで
- 勾留期間満了
- 起訴から釈放まで
1つずつ、見ていきましょう。
逮捕から勾留決定まで
1つ目は、逮捕から勾留決定までです。
コカインで逮捕された場合、警察で最大48時間の身柄を拘束されます。警察では48時間以内に被疑者を検察庁に送致します。検察庁では、裁判官に対して被疑者を10日間の勾留請求をするか否かを決定します。この決定は、逮捕から72時間以内に行わなければなりません。
裁判所では、検察庁からの勾留請求に対して、これを認めるか否かの決定をします。勾留を認める必要がないと裁判所が判断すれば勾留請求を却下して、被疑者は釈放されます。。
一度でも逮捕されると、あっという間に勾留までの手続きが進められてしまいます。思わぬ逮捕に困惑して、どうしてよいのかわからぬまま動揺しているとその間に勾留が決まってしまうというケースが多く見られます。
コカイン事件で逮捕され、家族にまでその事実が連絡されている場合は、すでに一定の手続きが済んでいる状況です。家族は、逮捕の事実を知ったときから、ただちに弁護士に相談をして、その後どうすべきであるのか専門的なアドバイスを求めることが賢明です。
勾留期間満了
2つ目は、勾留期間満了です。
留置場などで勾留される期間は、原則として勾留請求の日から10日間です。これにまた、最大10日間の延長が認められます。コカインで逮捕されると、多くの場合10日間の勾留延長がなされるので、逮捕の日数を足すと合計23日間は留置所に勾留されることになります。
被疑者は、裁判所の勾留決定及び勾留延長決定に対して、準抗告という不服申立ての手続きができます。例えば、裁判所の勾留決定に理由がない場合は、勾留決定が取り消されるので被疑者はただちに釈放となります。
また、勾留延長の期間が長すぎる場合、準抗告の申立てをすることで勾留延長決定自体が取り消されたり、あるいは延長期間が短縮されることもあります。
起訴から釈放まで
3つ目は、起訴から釈放までです。
コカインで起訴された後は、被疑者は被告人に変わります。起訴された後は、約1か月前後で第1回公判の期日が決まります。公判が開始されれば、証拠などを提出して事件が審理され、最終的には判決が言い渡されます。
コカイン事件の公判審理は、事件の内容により長期化する場合も多くあります。コカインの所持・使用を認めて争いがなければ審理は比較的早く終わりますが、事件を否認している・共犯者がいる・コカイン以外の事件もある、という場合などは、審理が1年以上かかる場合もあります。
コカイン事件では、起訴された後は保釈を請求することができます。保釈とは、保釈金を裁判所に納めて釈放してもらう手続きです。保釈の請求は、原則として請求を拒否する事由がない限り認められます(刑事訴訟法第89条第1号〜6号)。これを権利保釈といいます。
また、権利保釈の要件がなくても、逃亡や罪証隠滅のおそれがなければ、裁量保釈により釈放されることもあります(刑事訴訟法第90条)。
保釈の条件が揃えば、裁判所から保釈決定とともに保釈保証金の金額が通知されるので、この金額を裁判所に納めることで釈放されます。
保釈請求から保釈決定までは、数日を要することもあります。東京地裁では、原則として保釈請求をした日の翌々日に保釈に関する決定がされています。
コカイン所持・使用で前科がつくのか?弁護士が紹介
コカインの所持・使用などで逮捕された場合、起訴されて刑事裁判を受ける可能性が高くなります。裁判で有罪になれば前科がつくことになります。たとえ執行猶予が付されても、有罪判決が確定すれば初犯であっても前科がつく可能性は十分にあるのです。
コカイン所持・使用で逮捕された場合、コカインの量や使用頻度、営利目的の有無などが考慮されます。微量で常習性がない、また自己使用であれば執行猶予がつく可能性はありますが、そうでない場合は初犯であっても執行猶予がつかずに刑務所に入る可能性があります。
中でも、営利目的がある場合は、不起訴処分で事件が終了する可能性は低くなり、初犯であっても実刑になる可能性が高いでしょう。
コカインによる事件で頼れる弁護士の特徴
コカインによる事件で頼れる弁護士の特徴は、以下の3つです。
- コカイン事件の解決実績が豊富
- すぐに対応してくれる
- 精神的な支えになってくれる
1つずつ、見ていきましょう。
コカイン事件の解決実績が豊富
1つ目は、コカイン事件の解決実績が豊富なことです。
弁護士に依頼する際は、コカインなどの麻薬を含めた薬物事件の解決実績がどれくらいあるのかを確認しておくことが重要になります。弁護士は全ての事件の取り扱いをしますが、それでもやはり、それぞれに専門分野や得意分野があります。
過去に薬物事件を担当した弁護士で、解決実績が最低でも10件以上ある弁護士であれば、
過去の経験から適切なアドバイスが期待できます。弁護士に相談する際には、過去の実績を確認してみましょう。
すぐに対応してくれる
2つ目は、すぐに対応してくれる弁護士です。
刑事事件では初動の早さが事件解決の鍵になります。事件後、家族からの依頼に応じて、すぐにでも駆けつけてくれる弁護士がおすすめです。
精神的な支えになってくれる
3つ目は、精神的な支えになってくれる弁護士です。
薬物事件で逮捕された場合、身柄を拘束・勾留されるので誰もが不安になります。また被疑者の家族も、どのような状況になっているのか詳細がわからずに心配になるでしょう。
被疑者やその家族と密にコミュニケーションをとることで、今後の展開を打ち合わせることも可能になり、依頼者は見通しを持てます。また、心配する家族にもこまめに進捗を報告してくれる弁護士であれば心強いでしょう。
事務所の電話番号だけではなく、担当弁護士の電話番号・LINEなどいつでも連絡がとれるようにしてくれる弁護士に依頼しましょう。
関連記事:コカイン事件で逮捕された後の流れや影響などを専門弁護士が解説
コカイン事件に対する弁護士費用
コカインの事件で弁護士に依頼する場合に必要となる費用は、状況によりそれぞれ以下のような相場になります。
着手金 | 成功報酬金 | |
すでに釈放されている | 30万円 | 不起訴 20~50万円 |
逮捕・勾留されている | 30万円 | 釈放・勾留短縮 20万円 不起訴 20~50万円 |
裁判 | 30万円 | 保釈 10~20万円 執行猶予 0~50万円 |
まとめ
今回は、薬物事件に詳しい弁護士が、コカインの所持や使用に関する基礎知識・コカインで逮捕された場合のその後の流れ・前科がつくのか否か・コカインの所持や使用で頼りになる弁護士を探すときの特徴・弁護士費用について解説しました。
コカインなどの薬物事件は、被害者がいないため示談などによる事件の解決が望めません。一度でも逮捕されると、厳格な規則に従って刑事手続きが進められます。薬物事件には専門的な弁護活動が不可欠となり、早期の段階から弁護士に介入してもらうことが重要です。
弁護士と綿密な戦略を立てることで、不起訴や執行猶予を勝ち取れる可能性があります。コカイン事件が発覚した場合は、ただちに解決実績が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設