• 薬物事件で不起訴を獲得したい
  • 薬物事件では不起訴の獲得は難しいのだろうか
  • 薬物事件でどういうケースが不起訴になるのか

薬物事件で逮捕された場合、事件が事件なだけに絶対に有罪になるのでないかと、不安を抱くでしょう。また、被疑者の家族も、被疑者本人の将来を想い、何とか不起訴を獲得できないものかと強く望むことでしょう。

そこで今回は、薬物事件の弁護実績のある専門の弁護士が、薬物事件で不起訴になることがあるのかどうか、薬物事件で不起訴になるケース、不起訴にならなかった場合に起こること、不起訴を獲得するために弁護士ができることなどについて解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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薬物事件で不起訴になることはあるのか?

不起訴とは、検察官が起訴しないと決める処分のことをいいます。不起訴になると、刑事裁判が行われず事件終結となります。当然、有罪判決が下されることもないため前科はつきませんが、前歴として記録が残ります。では、薬物事件で不起訴になることはあるのでしょうか。以下の観点から解説します。

  • 不起訴の種類と獲得の意義
  • 起訴猶予とは?

不起訴の種類と獲得の意義

不起訴には、「罪とならず」・「嫌疑なし」・「嫌疑不十分」・「起訴猶予」の4種類があります。不起訴のまま事件が終結すれば、早期の社会復帰が可能になり、社会的な不利益を最小限にとどめることができます。また、裁判に必要な時間と労力から解放されることになるため、刑事事件の場合、不起訴になることは非常に重要なことだといえます。

起訴猶予とは?

起訴猶予は、犯罪の嫌疑がある場合において、検察官が被疑者の性格・年齢及び境遇・犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときにする処分を指します。

薬物事件で起訴猶予になるためには、犯罪の軽重(薬物事件として重大悪質かどうか)が重視され、反省悔悟の有無・犯人の生活状況・身元引受人の有無・保護環境の有無・前科前歴の有無などの事情もが重視されるといえますます。

検察官が起訴猶予にするかどうかは、個々の具体的事件に対し諸般の事情を考慮すべきだと言えますが、最も重要な点は、刑罰を科さないことが犯人の社会復帰を著しく容易にするかどうかや、刑罰を科さなくても社会秩序の維持を図ることができるかどうかであるとされています。比較的軽微な犯罪であって、被疑者に前科がなく犯行を反省していることが認められると、起訴猶予を理由とする不起訴処分になることがあります。

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薬物事件で不起訴になるケース

薬物事件で不起訴になるケースについて3つ解説します。

  • 初犯の場合
  • 所持量が微量
  • 共同所持容疑が晴れる

1つずつ、解説します。

初犯の場合

1つ目は、初犯の場合です。

検察官が起訴猶予とする判断基準からすれば、被疑者に前科前歴がないことは重要な要素になるといえます。しかし、薬物事件といっても、薬物の種類にはさまざまなものがあり、犯行の態様も、使用・所持・譲渡などと一律ではなく、態様ごとにその悪質性にも違いがあります。

したがって、薬物事件が初犯だからといって、必ず不起訴処分などの前科のつかない軽い処分で済むというわけではありません。前科前歴がなく、普段はまじめに生活していること・常習性がないこと・薬物に対する依存性や親和性が低いこと・通院して薬物を断つ取組みをしていることなどを検察官に伝えるなどして、起訴猶予による不起訴処分が得られる可能性が高まります。

所持量が微量

2つ目は、所持量が微量なことです。

一般に認知されている1回の使用量以下の微量といえる薬物を所持していたという場合であれば、所持としての悪質性は低いと考えられるので、薬物事犯での前科前歴がなければ、起訴猶予による不起訴の可能性が高まります。

共同所持容疑が晴れる

3つ目は、共同所持容疑が晴れることです。

薬物の共同所持が疑われている場合に、購入資金を負担していないことや、薬物を相手に遠慮なく使える関係になかったことなどの事実が判明し、共同所持の容疑が晴れれば、罪とならず嫌疑なしによる不起訴の可能性が高まります。

関連記事:薬物での逮捕で問われる罪や必要な弁護活動とは?強い弁護士が徹底解説

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薬物事件で不起訴にならなかった場合に起こること

薬物事件で不起訴にならなかった場合に起こることについて2つ解説します。

  • 学校の退学や会社からの解雇
  • 前科がついてしまう

1つずつ、解説します。

学校の退学・会社からの解雇

1つ目は、学校の退学や会社からの解雇です。

被疑者が逮捕された場合、そのことを学校や会社に知られたくないでしょう。しかし、事件が報道されれば「犯人」として氏名が明らかにされてしまう場合があります。このとき、学校や会社に知られる可能性が高まり、学校や会社によっては退学や解雇となってしまう危険性があります。

報道されなかった場合、警察が逮捕されたことを学校や会社に知らせることは原則的にはありません。一方で学校や会社に知られないようにすることは、身体拘束が長引けば長引くほど、難しくなります。

一般的に薬物事件は勾留率が高いため、身体拘束が長期に及び、学校や会社に事件のことを知られる可能性が高い傾向にあります。勾留されていることを知られても不起訴で終われば退学や解雇は避けられる可能性が大いにありますが、不起訴にならなかった場合には、このような事態は避けられないといえるでしょう。

前科がついてしまう

2つ目は、前科がついてしまうことです。

薬物事件で不起訴にならなかった場合には、起訴されることになります。薬物事件で不起訴にならなかった場合、すなわち起訴となれば、有罪率が99.9%という裁判の実情では、ほぼ確実に有罪になり、非常に高い確率で「前科」がついてしまいます。

薬物事件で不起訴を獲得するために弁護士ができること

薬物事件で不起訴を獲得するために弁護士ができることについて、3つ解説します。

  • まずは逮捕回避を目指す
  • 逮捕後の勾留回避・期間短縮
  • 不起訴

1つずつ、解説します。

まずは逮捕回避を目指す

1つ目は、まずは逮捕回避を目指すことです。

薬物事件は、証拠隠滅や再犯の可能性があるうえ、身柄を確保しないと薬物仲間に情報が漏れる可能性があるため、逮捕して身柄を確保する必要性が高いと考えられます。しかし、身柄状況を見る限り、一定数、逮捕されない者たちがいるのも事実です。

弁護士としてはまず、被疑者が逮捕されているか否かにかかわらず、被疑者と面会して事実関係や身上関係を確認するとともに、家族からも家族状況などの事情を聴取します。

そして、被疑者には「捜査機関からの出頭要請があればいつでも出頭する」旨の出頭誓約書を作成させます。また、親族・雇用主・職場の上司など適切な身元引受人を確保し、「被疑者を監督し、捜査機関からの出頭要請に応じて必ず被疑者を出頭させる」旨の身元引受書を作成してもらいます。

そのうえで、弁護士は、司法警察員に面談を申し入れ、上記の出頭誓約書や身元引受書を提出して、被疑者が逮捕されないように対応します。

このように弁護士は、まずは被疑者の逮捕回避を目指します。

逮捕後の勾留回避・期間短縮

2つ目は、逮捕後の勾留回避・期間短縮についてです。

通常、被疑者が逮捕されたとき検察官は勾留請求をします。弁護士は、被疑者の逮捕中、検察官に面談を申し入れ、勾留の理由や必要性がないことを訴え、勾留請求をしないように働きかけます。また、検察官が勾留請求をしたときは、担当裁判官に面談を申し入れ、勾留の理由や必要性がないことを訴え、勾留決定をしないように働きかけます。

また、弁護士は、検察官が勾留期間の延長請求をする前に面談を申し入れ、勾留期間を延長するだけのやむを得ない事情がない旨を訴えることで、勾留期間の延長請求をしないように働きかけます。検察官が勾留期間の延長請求をしたときは、担当裁判官に面談を申し入れ、勾留期間を延長するだけのやむを得ない事情がない旨を訴え、勾留期間の延長決定をしないように働きかけます。

勾留決定がなされたとき、あるいは勾留期間の延長決定がなされたときは、弁護士はその都度その決定の取消し又は変更(勾留期間延長の場合)を求めて準抗告を申し立てます。

このような方策を講じ、検察官が勾留請求や勾留期間の延長請求をしないで釈放したり、裁判官が勾留請求や勾留期間の延長請求を却下したり、準抗告審が勾留決定や勾留期間延長決定を取り消したりすることで、勾留の回避あるいは勾留期間の短縮につながります。

不起訴

3つ目は、不起訴です。

薬物事件の事案にもよりますが、被疑者が事実関係を争い、犯罪の成否に疑いがあるときは、弁護士としては、「嫌疑なし」あるいは「嫌疑不十分で不起訴処分」とするように検察官に働きかけます。捜査段階では、捜査機関の捜査資料は開示されないので、弁護士は接見で被疑者から得た事実関係を含む情報をもとに、検察官を説得することになります。

そして、被疑者がすでに犯罪を行ったことを認めている場合に弁護士は、不起訴処分の1つである起訴猶予を求めます。薬物事件で起訴猶予による不起訴処分を獲得するためには、被疑者の前科前歴の有無のほか、被疑者の上申書(薬物事件に対する反省悔悟の気持ち、同じ過ちを繰り返さないためにはどうすべきか、社会内で更生するためにはどういう心構えで生活しなければならないかなどの気持ちを記した書面)や身元引受人の身元引受書(被疑者に対する今後の監督と就職を含む援助協力を約束する内容の書面)が重要な判断要素になると考えられます。その上で弁護士は、犯行態様が悪質でないことや被疑者の反省悔悟の気持ちや社会復帰後の更生意欲から再犯のおそれがないことなどを主張して、起訴猶予にされたい旨を検察官に働きかけます。

薬物事件で不起訴を獲得するためには家族から弁護士に相談がおすすめ

薬物事件で不起訴を獲得するためには、家族から弁護士に相談することがおすすめです。

被疑者が逮捕された場合、不起訴を目指すためには初動の速さが重要になります。被疑者家族はできるだけ早期に弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士は家族から依頼を受ければすぐに被疑者と面会し、被疑者に対し事実関係を確認したうえで今後の戦略をたて、不起訴に向けて手を尽くします。

被疑者本人はもちろん、家族の不安な気持ちにも寄り添ってくれる弁護士であれば、被疑者や家族にとっての精神的な支えになり、不安や悩みを軽減することができます。

まとめ

今回は、薬物事件に対する経験が豊富な弁護士による薬物事件での不起訴について解説しました。

薬物事件には薬物の種類によってもさまざまな態様の犯罪があります。どんな薬物であれ、一度手を染めれば取り返しがつかないことになります。早めに薬物を断つことが肝要なのはいうまでもありません。

他方、事件に対して弁護士が早い段階から関わることで、薬物事件で逮捕された者にとって有利な結果が得られることも多いといえます。薬物事件で逮捕された場合、被疑者本人はもとより、その家族もふくめ、今後の処遇に不安を感じているのであれば、ぜひ一度専門の弁護士にご相談ください。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
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