覚醒剤の所持は重罪!?生活に与える影響や弁護ポイントなどを覚醒剤事件に詳しい弁護士が解説

  • 覚醒剤事件で逮捕されてしまった
  • どのような法律で覚醒剤は裁かれるのか
  • 覚醒剤事件で不起訴を獲得することは可能なのか

覚醒剤事件が疑われた場合、証拠隠滅を防ぐため即逮捕が基本です。また、使用だけでなく所持も刑罰の対象になります。覚醒剤事件で逮捕されると、72時間以内に勾留請求が行われ、それが認められると最大20日間勾留されます。

このように、覚醒剤事件で逮捕されると最大23日もの間身柄を拘束されるので、社会生活に与える影響は計り知れません。その影響を少しでも抑えるには、弁護士による弁護活動が欠かせません。

そこで今回は、多くの覚醒剤事件を解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、覚醒剤の所持が生活に与える影響を解説した上で、覚醒剤の所持で逮捕されたときに頼りになる弁護士ができることや弁護ポイントなどを解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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覚醒剤の所持に関する基礎知識

ここでは、覚醒剤の所持に関する基礎知識として、以下の2つを解説します。

  • 覚醒剤の法的な扱い
  • 覚醒剤の所持は覚醒剤取締法により禁止

では、1つずつ解説します。

覚醒剤の法的な扱い

基礎知識の1つ目は、覚醒剤の法的な扱いについてです。

覚醒剤は、覚醒剤取締法で規制されている物質です。主に、アンフェタミンやメタンフェタミンおよびそれらの塩類を指しています。覚醒剤を使用すると、交感神経や中枢神経などを刺激して、快感をもたらします。

しかし、覚醒剤を使用することで知覚過敏や幻覚などを発生させます。

また、依存性が高いので、一度使用すると簡単にはやめられません。このように、覚醒剤は強い依存性があり、心と体に大きなダメージを与えることから、危険薬物に指定されています。

覚醒剤の所持は覚醒剤取締法により禁止

基礎知識の2つ目は、覚醒剤の所持を取り締まる覚醒剤取締法についてです。

覚醒剤取締法により、覚醒剤の製造・使用・所持・譲受などは禁止されています。また、営利目的で製造・輸入・輸出した場合は特に重い罪となり、最大で無期懲役刑です。覚醒剤取締法による罰則を、以下の表にまとめました。

通常 営利目的
輸入・輸出・製造 1年以上の懲役 無期懲役または3年以上の懲役、情状により1,000万円以下の罰金と併科
所持・譲渡・譲受 10年以下の懲役 1年以上の懲役、情状により500万円以下の罰金と併科
使用 10年以下の懲役

覚醒剤事件は、所持量が多い場合や、営利目的だった場合は、初犯でも実刑判決となる可能性が高いとされています。ただ、そうでない初犯では執行猶予付きの判決を勝ち取れる可能性も低くありません。

出典:覚醒剤取締法 | 法務省

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覚醒剤の所持は重罪!?逮捕後の流れとともに解説

ここでは、覚醒剤の所持はどれほどの重罪か解説します。併せて、逮捕後の流れも解説します。

覚醒剤などの薬物事件は、他の刑事事件のように被害者が存在しないため、示談交渉ができません。そのため、不起訴処分や執行猶予獲得が難しいという特徴があります。また、覚醒剤事件は物的証拠が多く出る傾向にあります。さらに、証拠隠滅がないよう、逮捕後に身体拘束が解かれにくいことにも留意しなければなりません。

次に、逮捕後の流れを解説します。覚醒剤事件を疑われて逮捕された後は、警察で48時間以内に取調べを受けます。その後検察へ送致され、24時間以内に勾留請求か釈放か決定されます。勾留された場合、最長で20日間身柄を拘束されることになります。その後、勾留期間中に集めた証拠を基に、起訴になるか不起訴になるか判断されます。

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覚醒剤の所持が生活に与える影響

ここでは、覚醒剤の所持が生活に与える影響として、以下の2つを解説します。

  • 学校や仕事
  • 日常生活

では、1つずつ解説します。

学校や仕事

生活に与える影響の1つ目は、学校や仕事における影響です。

覚醒剤事件は、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるため、疑われた場合は基本的に逮捕されます。その後は警察の取調べを含めて、最大23日間、身柄が拘束されます。

その間、会社や学校に行くことはできません。そのため、場合によっては解雇や退学の事由になるでしょう。また、覚醒剤事件で逮捕された前科があると、公務員など一部の職業を選択できなくなります。

さらに、資格取得にも影響が出る可能性があります。たとえば、宅地建物取引士は刑の効力が失われてから5年間は資格取得ができません。また、医師や看護師などの免許も取得できなくなる恐れがあります。

日常生活

生活に与える影響の2つ目は、日常生活における影響です。

覚醒剤を使用した人は、その依存症による副作用に悩まされます。覚醒剤の依存症には、以下の表に示す3つの周期があります。

1 連用の時期 不眠や食欲減退などの症状が続く
2 つぶれの時期 脱力や倦怠感を覚え、長時間睡眠や意欲減退状態になる
3 薬物渇望期 薬切れによって食欲亢進や薬物探索行動を起こす

覚醒剤使用者には、周期的にこれらの症状が発生します。そのため、まともな社会生活を送ることは困難になります。

覚醒剤の所持で逮捕されたときに弁護士ができること

ここでは、覚醒剤の所持で逮捕されたときに弁護士ができることとして、以下の3つを解説します。

  • 不起訴に向けた弁護活動
  • 早期釈放に向けた弁護活動
  • 起訴後の執行猶予・無罪獲得に向けた弁護活動

では、1つずつ解説します。

不起訴に向けた弁護活動

弁護士ができることの1つ目は、不起訴に向けた弁護活動です。

検察官から有罪にする証拠が十分に揃っていないと判断された場合には、不起訴処分を勝ち取れます。不起訴処分であれば、前科はつきません。ただ、被疑者が自白すると起訴がほぼ確定するため、取調べ対応が重要になります。

特に、覚醒剤の所持に心当たりがない場合は、不起訴処分を目指せるか弁護士に判断してもらいましょう。

早期釈放に向けた弁護活動

弁護士ができることの2つ目は、早期釈放に向けた弁護活動です。

早期保釈を勝ち取るには、逃亡や罪証隠滅の恐れがないことを示し、速やかに手続きを行う必要があります。また、すでに覚醒剤が押収されて鑑定結果が得られているときには、勾留延長決定の取消しや短縮を勝ち取れることもあります。

さらに、捜査官が作成する供述調書は、必ずしも被疑者の供述通りに記載されているとは限りません。この場合は、弁護士を通じて不当な捜査に対処する手続きをとってもらいましょう。

関連記事:覚醒剤で保釈許可されるにはどうすべきか?弁護士がポイントを徹底解説

起訴後の執行猶予・無罪獲得に向けた弁護活動

弁護士ができることの3つ目は、起訴後の執行猶予・無罪獲得に向けた弁護活動です。

起訴された場合でも、覚醒剤の常習性や依存性が低いことや、再犯防止の方策などを裁判官にアピールできれば、執行猶予を勝ち取れる可能性があります。また、無実であれば、警察が逮捕した証拠の問題点を適切に示して反論できれば、無罪となる可能性もあります。

ただ、これらを行うには、法的な知識や薬物事件を解決した豊富な経験が必要です。そのため、薬物事件に強い弁護士の力が欠かせません。

関連記事:覚醒剤で執行猶予を決める判断ポイントとは?強い弁護士が徹底解説

覚醒剤の所持で逮捕されたときの弁護ポイント

ここでは、覚醒剤の所持で逮捕されたときの弁護ポイントとして、以下の3つを解説します。

  • 自白事件
  • 否認事件

では、1つずつ解説します。

自白事件

1つ目は、自白事件における弁護ポイントです。

覚醒剤の自白事件で逮捕された場合、最大20日間の勾留期間を経て起訴される可能性が高いでしょう。しかし、早い段階で弁護士をつけていれば、起訴後でも保釈請求が認められることもあります。

早い段階で保釈されれば、判決までに依存症治療ができ、再犯の可能性の低さをアピールできます。そのような点が評価されれば、執行猶予の獲得も期待できるでしょう。ただ、覚醒剤事件は依存性の高さから再犯率が高いとされています。そのため、簡単に保釈や執行猶予を勝ち取れるわけではありません。

それでも保釈や執行猶予を勝ち取るには、被疑者は薬物を絶つ強い意志と、社会復帰に向けた意欲をしっかり持って、それらを裁判所にアピールすることが大切です。

否認事件

2つ目は、否認事件における弁護ポイントです。

否認事件で逮捕された場合、不起訴処分や無罪判決を目指すことになるでしょう。この場合、覚醒剤であると認識していなかったと主張することが多いです。

否認事件では、不利になる供述調書を作らせないことがポイントです。場合によっては、捜査官が「被疑者は覚醒剤の認識をしていた」とする調書を作成し、署名・押印をさせる事例もあります。このような調書ができると、被疑者には非常に不利に働きます。

そのため、逮捕された時点で弁護士に相談して、取調べの受け方について十分にシミュレーションしましょう。場合によっては黙秘権を行使することも有効です。また、否認事件では、捜査機関の手続きなどに不当な部分があれば、それを主張することで無罪判決を獲得できる可能性があることも覚えておきましょう。

まとめ

今回は、多くの覚醒剤事件を解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、覚醒剤の所持が生活に与える影響を解説した上で、覚醒剤の所持で逮捕されたときに頼りになる弁護士ができることや弁護ポイントなどを解説しました。

覚醒剤は、覚醒剤取締法で規制されている禁止薬物です。使用だけでなく所持も処罰の対象になります。逮捕されると身柄が拘束されるため、会社や学校の生活にも大きな影響を及ぼすでしょう。

また、自白事件と否認事件では弁護ポイントが異なります。ただ、事件の解決には法律の知識や薬物事件を解決した経験が必要です。そのため、覚醒剤所持の疑いで逮捕されたときは、薬物事件に強い弁護士に依頼しましょう。

費用はかかりますが、プロの弁護士に解決を依頼することで、早く確実に解決できる可能性が高まるメリットの方が大きいでしょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設