向精神薬で在宅起訴されたらどうしたらいい?起訴の種類・条件・弁護活動を徹底解説
向精神薬の在宅起訴は何の罪に問われるのだろう
向精神薬で在宅起訴となる可能性を知りたい
向精神薬で在宅起訴となったら弁護士は何をしてくれるのだろう

向精神薬で在宅起訴された場合、どのように対処したらよいのだろうと不安に感じる方も多いかもしれません。鎮痛剤や睡眠薬等の向精神薬は、覚醒剤等の違法薬物に比べて入手難易度も低く、あなた自身やその家族が薬物事件の当事者となる可能性を、否定できません。

向精神薬事件をきっかけに在宅起訴された場合には、社会的信用を失うばかりか、多くの場合、自分自身だけでなく家族の日常生活にまで悪影響を及ぼすことになります。

そこで今回は、向精神薬事件に詳しい専門弁護士が、在宅起訴で問われる罪、在宅起訴の種類、在宅起訴となるための条件、在宅起訴となった場合に必要となる弁護活動について解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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向精神薬の在宅起訴で問われる罪

まずは、向精神薬事件で在宅起訴された場合に問われる罪について、以下3点を解説します。

  • 刑罰
  • 前科がつく
  • 在宅事件から起訴となる可能性

1つずつ解説していきます。

刑罰

向精神薬を医療目的外で譲渡したり、譲り渡す目的で所持したりした場合には、「麻薬及び向精神薬取締法」違反の罪に問われ、3年以下の懲役となります。さらに、金銭を得ることを目的に所持していたケースでは、5年以下の懲役及び100万円以下の罰金が科せられる場合があります。

また、向精神薬を製造・輸出入・小分け・製剤した場合は5年以下の懲役が科せられ、その目的が金銭を得ることであった場合には、7年以下の懲役及び200万円以下の罰金が科されることもあります。

このように、向精神薬事件における刑罰は決して軽いものではありません。日常生活に及ぼす影響の大きさも考慮すれば、執行猶予付き処分の獲得や減刑等を目指す重要性がわかります。

前科がつく

在宅起訴となった場合、拘置所や留置施設などにおける身体拘束を受けることはなく、刑事裁判の公判期日に支障がない限りは、通学や通勤、外出など、これまで通りの日常生活を送ることができます。

一般的に、前科がつけば社会的信用を大きく失い、学校や職場などを辞めざるをえないケースへと追い込まれてしまいます。また、家族までもが嫌がらせや、いわれのないバッシングの的にされてしまうケースも珍しくありません。

公務員・警備業者・士業などの一部職業へ就くことの制限や資格を剥奪されること、将来別の刑事事件を起こしてしまった場合には前科の存在が量刑に大きな影響を及ぼすこともあります。

このように、身体的拘束が無い場合においても前科がつくことで、今後の人生に非常に大きな影響をおよぼします。万が一、在宅起訴されてしまった場合には早急に弁護士に相談することが重要です。

在宅事件から起訴となる可能性

在宅事件は逃亡・証拠隠滅の恐れがなく、身柄拘束を行う必要がない場合において行われます。一方で、在宅事件の場合でも、行為の悪質性・前科の有無などから起訴相当と判断されれば、検察官による起訴処分が行われることは決して珍しくありません。

在宅事件と逮捕事件とで起訴される可能性に大きな違いはなく、不起訴処分を勝ち取るためには、在宅事件の場合でも弁護士による早急な弁護活動を受ける必要があるといえます。

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向精神薬で取られる在宅起訴

次に、向精神薬事件で取られる起訴について見ていきましょう。

向精神薬の在宅起訴では、正式起訴が基本です。

正式起訴された場合には、裁判所から自宅宛に起訴状謄本が郵送され、第1回公判期日の指定が行われます。

事案によって、その後の公判期日が何度開かれるかという点は異なり、初犯で被告人本人に反省の色が見られ、執行猶予が相当であると判断されたケースでは、第1回公判期日ですぐに判決が宣言される場合もあります。

一方で、事実関係に争いがある事件などでは、被告人質問や証人尋問などに多くの時間を要するため、複数回の公判期日が設けられる場合があります。

在宅事件では、内容によっては略式起訴されるものもありますが、向精神薬においては略式起訴はありません。

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向精神薬で在宅起訴となる条件

ここまで、向精神薬の在宅起訴で問われる罪と種類について解説しました。それでは、向精神薬事件において在宅起訴となるためには具体的にどのような条件やケースがあるのでしょうか。ここでは、3つの事例を踏まえて紹介します。

  • 処方量を超えた使用
  • 処方された薬の販売
  • 処方箋の偽造

1つずつ解説していきます。

処方量を超えた使用

1つ目の条件は、処方量を超えた使用です。

医師や薬剤師等の医療関係者が、正式な手順を踏まずに酢酸メチルエステルやペンタゾシンなどの向精神薬を持ち出して、自分で使用して罪に問われた事例があります。

向精神薬の処方には通常の薬品とは異なる手続きを踏む必要があります。もし違反した場合は「麻薬及び向精神薬取締法」の罪に問われ、在宅起訴となる可能性があります。

処方された薬の販売

2つ目の条件は、処方された薬の販売です。

処方された向精神薬を販売すると、「麻薬及び向精神薬取締法」に違反し、在宅起訴される可能性があります。

被疑者の前科歴や事件の悪質性(販売期間や利益額等)を勘案して罪状が決定されますが、金銭を得る目的で向精神薬を販売した場合、5年以下の懲役及び100万円以下の罰金を科される場合があります。

処方箋の偽造

3つ目の条件は、処方箋の偽造です。

処方箋を偽造・変造して不正に向精神薬を入手すると、20万円以下の罰金刑に問われる場合があります。 処方箋の偽造・変造とは、カラーコピー機等を用いて複写することや、処方箋に書かれていない薬を書き加えること等があります。

近年は、向精神薬の入手を目的とした処方箋の偽造・変造が多発しています。処方箋の偽造・変造は実施した時点で犯罪となるため注意が必要です。

向精神薬で在宅起訴となった場合の必要な弁護活動

在宅起訴となった場合には、自身や家族の日常生活を守るためにも、薬物事件に強い弁護士による早急な弁護活動が必要不可欠です。ここでは弁護活動について、以下4点を紹介します。

  • 捜査のアドバイス
  • 裁判所への主張
  • 無実の証明
  • 執行猶予

1つずつ解説していきます。

捜査のアドバイス

弁護活動の1つ目は、捜査のアドバイスです。

在宅事件では、検察官や警察官の呼び出しによって、取り調べを受けることとなります。向精神薬事件においては、犯行を認めて協力的に取り調べに応じている場合や反省の色が見られるケースでは不起訴処分などの被疑者にとって有利な結果を勝ち取れる可能性が高まります。

しかし、正直に犯行について伝えるつもりでいたはずなのに、「逮捕されるのではないか」「正直に話すと非常に重い刑罰を受けるのではないか」などといった不安感やから、事実や認識とは違った供述をしてしまうケースは決して珍しくありません。

薬物事件に強い弁護士であれば、取り調べに臨むうえでのアドバイスを行い、依頼者にとって不利となる供述調書の作成を防ぐことができます。

裁判所への主張

弁護活動の2つ目は、裁判所への主張です。

刑事裁判において有利な結果を勝ち取るためには、弁護士の知識は勿論、活動実績や熱意なども重要となります。

薬物事件での実績が豊富な弁護士であれば、これまでの経験を元に依頼者に対して的確なアドバイスや弁護活動を行い、不起訴処分や執行猶予付き処分、減刑の獲得を目指すことができます。

無実の証明

弁護活動の3つ目は、無実の証明です。

向精神薬を使用していない場合や、自身が全く知らない内に所持・服薬させられていた場合など、依頼者が容疑を否認しているケースでは、弁護士は無罪を勝ち取るための証拠収集を行います。

取り調べの中で行われた尿の採取過程に問題はないか、違法捜査が行われていないかなどを注意深く確認したうえで裁判所や検察官に対して正しい主張を行います。懲役や禁錮によって長期の身柄拘束を受けることは勿論、一度前科がついてしまえば日常生活に大きな影響を及ぼすことになります。

自身や家族の日常生活を守るためにも、薬物事件に強い弁護士による無罪獲得に向けた弁護活動を受けることが重要です。

執行猶予

弁護活動の4つ目は、執行猶予です。

依頼者が罪を認めている場合には、少しでも罪を軽くするために執行猶予付き処分の獲得に向けた弁護活動を行います。向精神薬事件においては、同一人物による再犯・営利目的での製造、輸入などの悪質性の高い事案の場合には実刑判決となる可能性が高いですが、初犯や個人使用のケースでは執行猶予付き処分となる場合も多いといわれています。

薬物事件に強い弁護士であれば、生活の見直しや薬物を止めるための具体的な行動など(医療機関への入院、ダルクや自治体が主催する自助グループへの参加等)、依頼者にとって有利となる事情を主張することで、執行猶予付き処分の獲得を目指します。

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今回は、向精神薬事件の在宅起訴で問われる罪、在宅起訴の種類、在宅起訴となるための条件、在宅起訴となった場合に必要となる弁護活動について解説しました。

向精神薬事件で在宅起訴された場合には、あなた自身やあなたの家族の社会的信用の失墜を招くばかりでなく、日常生活へも大きな影響を及ぼすこととなります。薬物事件に強い弁護士であれば、取り調べ中のアドバイス・不起訴処分・執行猶予付き処分・減刑などの獲得に向けた弁護活動を行うことができるのはもちろん、依頼者の社会復帰に向けた支援も行えます。

万が一、あなた自身やあなたの家族が向精神薬事件で在宅起訴された場合は、薬物に強い専門弁護士への相談をおすすめします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設