コカインの在宅起訴について薬物に強い弁護士が徹底解説コカインで在宅起訴されるのか
在宅起訴となった場合の流れを詳しく知りたい
コカインで在宅起訴で実刑にならない条件を知りたい

コカインで在宅起訴になるのか調べている方もいらっしゃるかと思います。コカインを嗜好品として使用すると逮捕・起訴される可能性がありますが、起訴には通常の身柄拘束を前提とした起訴と在宅起訴の2種類があり、それぞれ被疑者の状況によって在宅となるかが決まります。

そこで今回はコカインに詳しい弁護士が、コカインで在宅起訴があり得るのか、また在宅起訴の流れと、無罪判決を得る方法にどのようなものがあるかなどを解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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コカインで在宅起訴されるのか?

まずは、コカインで在宅起訴されるのかに関わる、以下3点について説明します。

  • コカインとは
  • 現れる症状
  • 在宅起訴となる可能性

1つずつ解説していきます。

コカインとは

コカインとは、麻薬及び向精神薬取締法に規定された麻薬の一種で、南米原産の「コカ」という植物の葉から作られる精神刺激薬のことを指します。中毒性・依存性が高く、医療従事者が特定の外科手術において麻酔に使用する以外の用途では使用が禁止されています。

一般的に小麦粉やコーンスターチなどで薄められて販売され、利益をあげる構造となっています。また、覚醒剤などの薬物と混ぜて販売されていることもあります。混ぜられている薬物によっては過剰摂取によって命を落とすこともあり、非常に危険です。

出典:麻薬及び向精神薬取締法|e-Gov法令検索

現れる症状

コカインの使用で現れる症状としては、大きく分けて「短期症状」「長期症状」があります。短期症状とは、主に使用から30分以内程度で現れる可能性がある症状のことです。長期症状とは、長期間にわたって使用し続けたときに現れる症状を指します。

短期症状としては、たとえば以下が挙げられます。

  • 極度の高揚やエネルギーに満ち溢れた気分になる
  • 精神的に覚醒した状態になる
  • 視覚・聴覚・触覚などが過敏になる
  • 他人への極端、かつ不合理な不信感を持ちやすくなる
  • 感情的に怒りやすくなる

長期症状としては、以下が挙げられます。どのような方法で摂取したかで現れる症状が違うのが特徴です。

  • 鼻からによる吸引:嗅覚障害・鼻血・鼻水・嚥下障害
  • 喫煙による吸引:咳・喘息・呼吸困難・肺炎などの感染症リスク増大
  • 口からによる摂取:血流低下・重度の腸内環境悪化
  • 注射による摂取:HIV・C型肝炎・血液や皮膚などの感染症・注射痕の常態化

特に気をつけなければならないのが、注射による摂取です。コカインには多くの混入物や汚染物が含まれており、注射すると、感染などの合併症を引き起こすことがあります。また、長期的な使用は呼吸器や嗅覚などに影響し、体内に重大な障害を起こす恐れがあります。

在宅起訴となる可能性

コカインで在宅起訴となる可能性について説明します。

在宅起訴となるためには、まずは在宅事件として扱われる必要があります。在宅事件として扱われる条件には以下があります。

  • 単身身軽ではないこと
  • 証拠隠滅の恐れがないこと
  • 住所不定でないこと
  • 身体拘束の必要性がないこと

各条件の共通事項として、「逃亡の恐れがない」「重大事件ではない」「実刑となる可能性が少ない」ということが特徴です。

コカインで在宅起訴される場合には、元々軽微な事件であると判断されていることが多いです。しかしながら本人に前科があったり、前歴に問題が見られたりする場合は、実刑になる可能性も考えられます。在宅起訴から実刑となる可能性は一般的に高くはないものの、本人に前科・前歴がある場合は注意が必要です。

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コカインで在宅起訴となる場合の流れ

コカインにより在宅起訴となる場合があることが分かりましたが、実際に在宅起訴となると、どのような流れになるのでしょうか。

コカインで在宅起訴となる場合は、以下の流れとなります。

  • 逮捕
  • 在宅事件としての扱い
  • 起訴状が届く
  • 刑事裁判
  • 判決
  • 前科がつく

1つずつ解説していきます。

逮捕

1つ目は逮捕です。

事件の発覚後、警察の捜査の結果次第で逮捕されます。逮捕され身柄拘束を受けたまま起訴される身柄事件に対して、逮捕された後に釈放され、そのまま捜査が続行される場合は在宅事件として扱われます。

事件の内容によっては最初から逮捕されずに、在宅事件として取り扱われることもあります。在宅事件の場合は、日常生活を送りながら警察からの出頭要請や任意同行などに応じて捜査に協力するため、身柄拘束は受けません。

在宅事件としての扱い

2つ目は在宅事件としての扱いです。

警察に逮捕された後でも、「証拠隠滅の恐れがない」「身柄拘束の必要がない」などに当てはまる場合は、釈放されて在宅事件としての扱いに変わることがあります。日常生活を送れるとはいえ、事件であることに変わりはなく、捜査は続行されます。

在宅事件は捜査期間に決まりがありません。長いときには1年以上にわたって捜査が続けられることもあります。在宅であるとはいえ、都度警察からの出頭要請に応じて捜査協力をしなければなりません。

出頭要請や連絡を無視すると、証拠隠滅の恐れありとして逮捕される可能性もあります。

起訴状が届く

3つ目は起訴状が届くことです。

コカイン事件で在宅起訴となると、まずは被疑者の自宅に裁判所から起訴状が届きます。起訴状により、被疑者は自分が起訴されたことを通達されるのです。

起訴状には、なぜ起訴され処罰を求められるのかなどの内容、被告人の特定に関する事項が記載されていますので、届いたら必ず中身を確認しましょう。

場合によっては、事実と違うことが書かれているかもしれません。たとえ罪を認めていても、起訴状の内容に事実と異なる内容が少しでも書かれていれば、それは認めるべきではありません。

細かいところまでしっかりと確認するようにしましょう。

刑事裁判

4つ目は刑事裁判です。

コカインの在宅起訴で起訴状が届いた後、概ね2か月前後で1回目の刑事裁判が行われます。刑事裁判の流れは「冒頭手続→証拠調べ→論告弁論→判決」の順です。

その中でも主に時間を要するのが証拠調べで、検察官の請求する証拠の取り調べが行われます。検察官の証拠調べが終わった後、被告人も弁護人を通じて証拠提出ができます。

証拠調べが終わると、検察と弁護士が事件について意見を述べる論告弁論が始まります。ここでも弁護人は被告人に有利となるように意見を述べることができます。

1回の裁判で全てが終わらない場合は、2回目以降の裁判に判決が持ち越されます。

判決

5つ目は判決です。

在宅起訴の場合は、被告人が罪を認めていることが多く、1回目で全ての裁判手続きが終わることも珍しくはありません。一般的に、裁判から2週間前後で判決が言い渡されます。

裁判で言い渡される判決の内容としては、懲役刑・禁錮刑・罰金刑などがあります。懲役刑や禁錮刑の場合は、執行猶予がつくことがあります。

執行猶予期間に再犯した場合には、再び裁判にかけられます。たとえ同じコカインの所持や使用であっても、初犯よりも重い刑罰が科され、実刑判決となる可能性が高くなります。

麻薬及び向精神薬取締法では、コカインを「所持・使用」すると、7年以下の懲役となると定められています。また所持及び使用が営利目的であると認定された場合は、1年から10年以下の懲役と情状により300万円以下の罰金が併科されます。

製造・輸入・輸出は1年から10年以下の懲役となり、営利目的の場合は1年以上の有期懲役と情状により500万円以下の罰金が併科され、さらに重い刑罰となります。

出典:麻薬及び向精神薬取締法|e-Gov法令検索

前科がつく

6つ目は、前科がつくことです。

実刑判決・執行猶予付き判決どちらの場合でも、前科がつきます。コカインは、麻薬及び向精神薬取締法にて「製造・所持・使用・譲渡・譲受・輸出・輸入」が規制されています。違法に当たる場合は前科がつきます。

関連記事:薬物の使用の影響と事件になった後の流れなどを弁護士がまとめて解説

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コカインで在宅起訴後に無罪判決を得る方法

コカインで在宅起訴後に無罪判決を得る方法もあります。ここでは以下2点を解説します。

  • 違法な成分だと知らない
  • 所持に気づいていなかった

1つずつ解説していきます。

違法な薬物だと知らない

1つ目の条件は、違法な薬物だと知らないことです。

自分が使用したものがコカインであるとは知らず、違法な薬物であることを認識していない場合、無罪判決を得られることがあります。

たとえば海外の土産物として購入し使用していて、実はコカインが含まれていた場合などが挙げられます。この場合においては、本当にその成分について知らなかったかが争われます。

購入した先でコカインとして売られていないこと、一般的に販売されている土産物と同じ包装であることなど、客観的に違法性を知ることができないことを証明する必要があるでしょう。

所持に気づいていなかった

2つ目の条件は、所持に気づいていなかったということです。

本人が所持していたことに全く気づいていなかった場合、無罪判決を得られる可能性があります。

たとえば、海外に行ったときに知らないうちに荷物に混入されていたり、コカインが入っていることを全く知らずに知らない人から荷物を渡されていた、というケースです。

この場合は故意に所持していないこと、そもそも所持に気づきようがないことを示す必要があります。起訴前にこの点について説得力のある主張や証拠を出すことができれば、嫌疑不十分として、不起訴処分を得られる可能性が高くなるでしょう。

コカインで在宅起訴された場合の弁護活動

コカインで在宅起訴された場合、弁護士はどのような弁護活動を行ってくれるのでしょうか。ここでは在宅起訴における弁護士の主な弁護活動について3点を解説します。

  • 事実確認
  • 執行猶予を目指す
  • 無罪を目指す

1つずつ解説していきます。

事実確認

1つ目の活動は事実確認です。

具体的には被疑者と面談し、どのような理由で法律に違反したと考えられるのか、その理由が悪質なもの(営利目的など)ではないかを確認します。さらに、起訴状の内容を確認し、起訴された内容が本当に事実であったかを確認します。

事実確認で得られた内容によって、弁護士は執行猶予を目指すか無罪を目指すか、方針が変わります。被疑者がコカイン使用などの法律違反行為を認めている場合は執行猶予を、否認している場合は無罪を目指します。

執行猶予を目指す

2つ目の活動は執行猶予を目指すことです。

起訴状に書かれている内容が事実だと本人が認めている場合には、執行猶予付きの判決を目指します。家族のサポート体制を整えること、更生プログラムへ参加の意思を確認するなど、本人が二度とコカインと関わらない体制を徹底して整えて、執行猶予獲得に向けて尽力します。

無罪を目指す

3つ目の活動は無罪を目指すことです。

本人が否認している場合、無罪を目指します。本人からの情報や客観的な証拠を集め、違法的な捜査が行われていないか確認をし、犯罪を犯したというには合理的疑いが残ることを示していきます。証拠が見つかれば、事実が起訴状と違っていること、無罪であることを裁判所・検察官に主張していきます。

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本記事では、コカイン事件において、在宅起訴される可能性や流れ、条件、弁護活動について解説しました。コカインの罪を犯していても、場合によっては在宅起訴になったり、執行猶予を得られたりする可能性が十分にあります。

ただし弁護士に依頼せずに自分一人で解決しようとすると、上手くいかないことが多いです。裁判所・検察官に見られている中で、正しく反論すること、自分の意思を表明することは難しいものです。可能な限り早く、弁護士へ相談して適切な対応をとりましょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
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