- LSDの初犯で、早期釈放は可能なのか?
- LSDの初犯で、不起訴は可能なのか?
- LSDの初犯が発覚したとき弁護士は何をしてくれるのか?
LSDの初犯でも逮捕されるのかと不安な気持ちでいる人もいることでしょう。LSDの初犯であれば逮捕されても早期釈放・不起訴は可能なのか、その見込みを知りたいと考えている人がいるかもしれません。
そこで今回は、薬物事件に精通している実績のある弁護士が、LSDでの初犯で知っておきたい基礎知識・逮捕されるケース・早期釈放・不起訴は可能か・LSDの初犯が発覚したら弁護士への早急な相談をおすすめする理由などについて解説します。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設
LSDでの初犯で知っておきたい基礎知識
LSDでの初犯で知っておきたい基礎知識について2つ解説します。
- LSDとは?
- LSDを取り締まる法律は?
1つずつ解説します。
LSDとは?
1つ目は、LSDについてです。
LSDは、lysergic acid diethylamide(リセルグ酸ジエチルアミドまたはリゼルギン酸ジエチルアミド)のドイツ語の略称です。LSDは、ライ麦などで育つ真菌に含まれるアルカロイドに由来する半合成の幻覚薬です。
LSDは、合成麻薬の一種で、後述するように、「麻薬」として規制されています。LSDの純粋な形態は透明な結晶ですが、市場に流通しているものは液体か、液体を染み込ませたミシン目入りの数センチ角の厚紙、錠剤、カプセル、ゼラチンなどがあり、経口または飲み物とともに飲むなどして乱用されています。
LSDを乱用すると、幻覚、幻聴、時間間隔の欠如などの強烈な幻覚作用が現れます。特に幻視作用が強く、ほんのわずかな量で、物の形が変形、巨大化して見えたり、色とりどりの光が見えたりする状態が8~12時間続きます。
また、身体的な作用としては、漠然とした不安感や悪心で、その後に頻脈、体温・血圧・心拍数の上昇、食欲減退、気分の高揚、不眠などの他、口の中に金属的な味を感じます。乱用を続けると、長期にわたって精神分裂などの精神障害を来すこともあります。
LSDを取り締まる法律は?
2つ目は、LSDを取り締まる法律についてです。
LSDを取り締まる法律は、麻薬および向精神薬取締法(以下「麻薬取締法」という)です。麻薬取締法2条は、同条1号の「麻薬」について、別表第1に掲げる物をいうとしています。
そして、別表第1の75号では、
前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であって、政令で定めるもの
とし、その「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」1条は、麻薬取締法別表第1の75号の規定に基づき、次に掲げる物を麻薬に指定するとして、147号で「リゼルギン酸ジエチルアミド(別名リゼルギド)及びその塩類」と定めています。
この「リゼルギン酸ジエチルアミド(別名リゼルギド)」がLSDなのです。麻薬取締法は、同法12条1項本文でLSDの「輸出入、製造、製剤、小分け、譲渡・譲受、交付、施用、所持、廃棄」を禁止しています。
LSDでの初犯で逮捕されるケース
LSDでの初犯であっても逮捕されるのでしょうか。逮捕される場合のケースについて3つ解説します。
- 尿検査で陽性になった
- 家宅捜索で見つかった
- 売人が捕まった
1つずつ解説します。
尿検査で陽性になった
1つ目は、尿検査で陽性になったケースです。
たとえば、警察官から職務質問を受け、Aさんが尿を任意提出したところ、尿の簡易検査で違法薬物の陽性反応が出たとします。AさんがたとえLSDの初犯であっても、違法薬物の施用が判明したため、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあるとして、現行犯されることになります。
また、たとえば警察官から職務質問を受けた際、所持品検査の結果、ミシン目入りの厚紙の切れ端が見つかったため、AさんにLSDの施用が疑われて尿の任意提出を求められたものの、Aさんがこれを拒否したとします。
このような場合、LSD被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在などの事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められて強制採尿令状が発付され、強制採尿手続きがとられることもあります。しかし、令状を示されることで、強制採尿されることを嫌い、尿を任意提出するのがほとんどのようです。
家宅捜索で見つかった
2つ目は、家宅捜索で見つかったケースです。
たとえば、Aさんが任意提出した尿から陽性反応が出たことから、AさんにLSD所持の疑いがあるとして、被疑事件を「麻薬取締法違反被疑事件」、捜索場所を「Aさん方」、差し押さえるべき物を「液体を染み込ませたミシン目入りの数センチ角の厚紙・錠剤・カプセル・ゼラチン・LSD施用器具・LSD取引関係文書・手帳・メモ類、A使用の携帯電話など、本件に関係する一切の物件」とする捜索差押許可状が発付され、Aさん方の家宅捜索が行われたとします。
その結果、LSDが発見された場合には、Aさんは現行犯逮捕されることになります。
このように、警察官や検察官の捜査機関は、家宅捜索の際、発付を得た捜索差押許可状に基づき、同許可状に記載された被疑事件に関係する物件を捜索し、発見されればこれを差し押さえることができます。しかし、発付を得た捜索差押許可状の被疑事件に関係のない物件を捜索し、差し押さえることはできません。
売人が捕まった
3つ目は、売人が捕まったケースです。
たとえば、売人が捕まり、その後の取り調べにおいて、売人がLSDを譲り渡した相手としてAさんを自白したことから、AさんのLSD被疑事件が発覚したとします。この場合には、Aさんは通常逮捕状により後日逮捕されることになります。
また、たとえば、捕まった売人の自宅の捜索により、パソコン・携帯電話・取引メモ・住所録などが押収され、共犯者や複数の客の連絡先が明らかになったとします。この場合には、共犯者や複数の譲受者が特定され、その者らが芋ずる式に逮捕されることもあるのです。
LSDの初犯で逮捕されても早期釈放・不起訴は可能か!?
LSDの初犯で逮捕されても早期釈放・不起訴は可能かについて2つの点から解説します。
- LSDの初犯で逮捕されても早期釈放は可能か!?
- LSDの初犯で逮捕されても不起訴は可能か!?
1つずつ解説します。
LSDの初犯で逮捕されても早期釈放は可能か!?
1つ目は、LSDの初犯で逮捕されても早期釈放は可能かについて解説します。
LSD事犯が発覚した場合には、社会問題となっている薬物事件であるだけに、逃亡のおそれがあり、LSDのような薬物は隠匿・投棄・滅失・焼却などが容易で証拠隠滅のおそれがあるため、一般的には、逮捕されて勾留される可能性が高いといえます。
そうはいっても、LSDの初犯で逮捕されても早期釈放が考えられないわけではありません。警察官や検察官が、留置(身体拘束の継続)の必要がないと判断したとき、または裁判官が、勾留の理由または勾留の必要がないと判断して、検察官の勾留請求を却下したときは釈放されることになります。
この「警察官や検察官が留置の必要がないと判断するとき」とは、被疑者の身体を拘束しなくても、すなわち在宅のままでも、捜査に支障がない場合です。被疑者がLSDに関する被疑事実を認め、定まった住居があり、罪証隠滅のおそれも、逃亡のおそれもない場合には、留置の必要がない場合といえます。
具体的には以下のような場合が考えられます。
- 高齢
- 病気にり患している
- 解雇のおそれがあり、家族の生活を支える基盤が失われるおそれがある
- 人生の転機となる結婚・就職・試験などを控えている
- 介護を必要とする家族がいる
これらの場合には、被疑者の留置を継続することが被疑者やその家族に与える不利益が大きいため、留置の必要がない場合と判断されます。さらに、検察官の終局処分の見通しが、当該LSD事犯について、初犯で起訴価値が乏しいと考えられる場合には、留置の必要がないともいえます。
LSDの初犯で逮捕されても不起訴は可能か!?
2つ目は、LSDの初犯で逮捕されても不起訴は可能かについて解説します。
被疑者が初犯で、LSDの所持量も微量で悪質性に乏しい場合には、不起訴の可能性があります。また、LSD所持の嫌疑で逮捕されたものの、被疑者にLSDを渡した者が、規制薬物以外の物を指すことが一般化している名称でLSDのことを伝えている場合には、被疑者の故意の成立に疑いが残るため、「罪とならず」「嫌疑なし」「嫌疑不十分」などの理由で、不起訴の可能性もあります。
LSDの初犯が発覚したら弁護士にすぐ相談がおすすめ
LSDの初犯が発覚しても不起訴になる可能性があることがわかりました。
この場合、弁護士への早急な相談がおすすめです。ここではその理由について3つ解説します。
- 弁護士が自首に付き添ってくれる
- 弁護士以外の接見禁止期間に戦略を練ることができる
- 残された家族のサポートをしてくれる
1つずつ解説します。
弁護士が自首に付き添ってくれる
1つ目は、弁護士が自首に付き添ってくれるためです。
自首は、捜査機関に対して自ら自分の犯罪事実を申し出て、その処分をまかせることです。
自首をすることによって逮捕を回避できる可能性が高まり、また不起訴処分や執行猶予の可能性も高まります。
誰しも、自首後の逮捕は覚悟しているとはいえ、捜査機関に一人で出頭することには勇気がいるものです。その上、自首後の取調べの対応や、残された家族のことが気がかりで、自首することにちゅうちょを覚えることもあるでしょう。
そのような場合には、弁護士に相談すれば、弁護士が自首に付き添ってくれます。そして、弁護士からは、逮捕後の取調べについてアドバイスを受けられるほか、残された家族との仲介の労もとってもらうことも可能になります。
弁護士以外の接見禁止期間に戦略を練ることができる
2つ目は、弁護士以外の接見禁止期間に、一緒に戦略を練ることができるためです。
逮捕後の最大72時間は、家族は被疑者と接見できず、接見できるのは弁護士のみです。そして、逮捕直後の取り調べ対応がその後の展開を決することはよくあります。
逮捕直後から弁護士が関与すれば、弁護士は、家族の接見禁止期間中も、逮捕中の被疑者の早期釈放を目指し、不起訴に向けて弁護活動ができ、釈放までの戦略を練ることができます。
残された家族のサポートをしてくれる
3つ目は、残された家族のサポートをしてくれるためです。
被疑者が逮捕された場合、家族の不安は計り知れないことでしょう。そのような不安な家族に寄り添い、被疑者家族のサポートをしてくれるのが、弁護士です。そして、残された家族に思いを馳せ、被疑者家族に弁護士直通の携帯電話やLINEを教えて、いつでも連絡できるように対応してくれる弁護士ほど、心強く頼りがいのある弁護士はいません。
まとめ
今回は、薬物事件に精通している実績のある弁護士が、LSDでの初犯で知っておきたい基礎知識・逮捕されるケース・早期釈放・不起訴は可能か・LSDの初犯が発覚したら弁護士への早急な相談をおすすめする理由などについて解説しました。
LSDの初犯であれば、逮捕されても早期釈放や不起訴は可能だといえましょう。しかし、そのためには、LSDの初犯が発覚した早い段階で弁護士のサポートを得る必要があります。
LSD事犯で逮捕された被疑者やその家族の方は、被疑者が早期に釈放されたり、不起訴処分で終わったりする可能性もありますので、ぜひ一度、専門の弁護士にご相談ください。
この記事を監修したのは
- 代表弁護士春田 藤麿
- 第一東京弁護士会 所属
- 経歴
- 慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設